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2009年6月 3日 (水)

第67期名人戦七番勝負第5局、挑戦者郷田真隆九段が羽生善治名人に完勝し、名人位奪取まであと1勝

将棋の第67期名人戦七番勝負第5局は、昨日(2009年6月2日)、飛車と角が飛び交う激しい切り合いの中、34手目を羽生名人が封じて初日を終えた。
一夜あけて、今日2日めは、昨日の羽生名人の封じ手の開封から始まる。封じ手は△5二歩打と玉頭に歩を打ち、自陣を守る辛抱の一手。やはり、昨日の時点での郷田九段の優勢は揺るがないようだ。
以降、今日を通じて羽生名人は辛抱の手が続く。郷田九段は羽生名人が2七に打った飛車を標的に▲1八角を打ち、飛車が逃げたところで、▲6三角成と2枚目の「馬」を作り、以後2枚の馬を自在に動かして、羽生陣営を揺さぶる。
途中、羽生名人の辛抱の指し回しが奏功して五分五分まで戻したのではないかと控え室でコメントが出たり、千日手(同じ手順が4回繰り返す)で指し直しになるのではないかとのいう局面が現れたりと小さな波乱はあったが、郷田九段の優勢が覆ることはなかったように思う。
四段目にいて行き場のない羽生名人の飛車をいじめつつ、郷田九段はどんどん陣形を作っていく。羽生名人も守りを固めるが、やはり1枚の飛車が相手に狙われるだけの役目しか果たしていないのがつらい。郷田九段の二丁拳銃のような2枚の「馬」とは、働きの雲泥の差がある。四段目を右往左往する飛車は、最終盤の130手めに銀との交換で切られたが、詰みを読み切っての飛車切りならばいざ知らず、相手を詰ますめどさえ立たない中での飛車切りは、実質的な敗北宣言だろう。
そこから8手目、午後7時25分に羽生名人は投了した。羽生玉は金銀に挟まれ、詰みまではまだまだ時間がかかると思われる局面だったが、飛車銀交換の駒損も加わり、彼我の形勢の差はあまりにも大きかった。
先手の郷田九段にはいくらでも攻め手が浮かぶが、後手の羽生名人には有効な指し手は浮かばないという状況で、投了もやむなしだったろう。あまり早く投了すると、関係者の予定を狂わすことになるし、仕事を終え、棋譜中継を見ようと帰宅したファンにも申し訳ないとある程度の時間まで粘ったのだと思う。

これで、郷田九段の3勝2敗。郷田九段は、名人位に王手をかけた。このシリーズ、第1局こそ、羽生名人のペースだったと思われるが、第2局の熊本での自玉に不詰みを見切って勝利をものにしてから、郷田九段のペースが続いているように思う。第3局は、終盤で劣勢の将棋を逆転したにも関わらず自らの錯覚で再逆転を許したが、羽生有利の将棋を逆転まで持ち込んだのは、やはり郷田九段の底力を見せつけた面もあるだろう。
第4局、第5局は完全に郷田九段ペースでの勝利である。郷田ファンの私としては、次の第6局で一気に決めて、4勝2敗での名人位獲得を願っている。

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