将棋の第67期名人戦第6局は羽生善治名人が終盤の読みあいを制し、挑戦者郷田真隆九段を降し、名人位のゆくえは第7局に持ち越し
昨日(2009年6月15日)から京都東本願寺で始まった、将棋の第67期名人戦七番勝負の第6局。挑戦者の郷田真隆九段が3勝2敗で名人位奪取に王手をかけており、勝てば名人位という一戦である。一方、羽生善治名人にとっては、名人位防衛のためにはどうしても勝たなくてはいけない一戦である。
先手の羽生名人は第1局、第2局で登場した矢倉囲いからの戦いを目指す。一方、挑戦者の郷田九段は、それに応じて過去2局と同様相矢倉にするかと見せ、飛車を振る陽動振り飛車に。おそらくは、郷田九段の作戦と思われるが、初日午後に羽生名人の指した手が、郷田九段の想定になかった手だったようで、2時間近い長考に。結局、一気に攻めを繰り出すのではと思われていた郷田九段も自重する手を指し、その次の手を羽生名人が封じて初日が終わった。
佐藤康光九段、谷川浩司九段、久保利明棋王、阿部隆八段、などが詰める控え室のコメントでは、2日午前は羽生名人優勢のコメントが続いた。午後の入り、後手の挑戦者郷田九段もずいぶん持ち直したのではないかとコメントにかわる。郷田ファンの私としては、期待したいところ。
夕食後の再開の場面前後で家に帰り着き、「名人戦棋譜速報」でのリアルタイムで観戦開始。羽生名人優位は崩れないようだが、郷田九段も徐々に羽生玉をがっちり守っていた矢倉囲いの金銀を玉から離し、つけいる隙を作ろうとする。102手目には、郷田九段は羽生陣に△6九角と角を打ち込み、羽生玉の横に控える金を狙う。さらに、106手目には△8六桂と6九に打った角が△7八角成と金を取って詰みですよという「詰めろ」を放った。打った桂馬を自玉を狙う銀で取らせ、その間に自分の銀と向き合っている羽生名人の飛車を取って挽回しようという勝負手である。
羽生名人がこれを回避するには、郷田玉に王手をかけるしかない。次の107手目から羽生名人の王手ラッシュが始まる。途中、郷田九段の必死の防戦に羽生名人が頭を抱える場面もあり、羽生名人が極度に緊張した場面でしか出ないと言われる、「手が震える」場面もあったという。それでも、羽生名人の王手は途切れることなく続き、最後は、131手目の羽生名人の王手を見て、郷田九段が投了した。
しかし、途中の郷田玉の逃げ方が1マス違えば、羽生名人の攻めが途切れ逆転のした可能性もあったのではないかと、控え室では検討が続いているほど、緊張感が途切れることのない一手一手の応酬だった。羽生名人が一手間違えれば、即逆転というギリギリの局面が続いた最終盤だった。
序盤の羽生名人優勢の駒組みから、本当の意味での一手違いまで迫ったのは、郷田九段の実力でもあるだろう。
これで両者3勝3敗。どちらが勝ってもおかしくないが、シリーズ6局を通じて、郷田九段らしさの出ているシリーズのような気がする。2年前の森内名人との七番勝負は、2連勝後3連敗し、カド番の1局を大逆転で勝ったものの、そこで精根使い果たした感があり、最終局は、あまり勝てそうな感じはしかなかった。
今回のシリーズは、第4局、第5局は郷田九段の完勝といえる内容である。第3局は、羽生名人が勝っているが、郷田九段の錯覚に乗じたもの。第6局も羽生名人が勝ったとはいえ、序盤の優勢の割には、最終盤の展開は、なんとか勝ちを拾ったという感じで、羽生名人の完勝とは言い難い。羽生ペースは、第1局のみであり、七番勝負をトータルすれば、やはり郷田九段の力、勢いが上回っているような気がする。
第7局は、郷田九段が持ち時間9時間の名人戦で、時間を十分に使いつつ、羽生名人という好敵手との間で、見る人を楽しませる気持ちを持ち続けていれば、将棋の神様は、郷田九段に微笑んでくれるだろう。
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コメント
拓庵さん、ご無沙汰しております。
一昨年と同じく最終局決戦となりました。
どちらが勝つか、神のみぞ知ることですが。しかし郷田九段がこの大事な第六局で振り飛車を採用したのは素人目にもかなり疑問ですね。一昨年も、森内名人に二連勝した後の第三局でやはり振り飛車を指して敗れました。何か、期するところがあるのでしょうか。その辺は余人には窺い知れぬものがあるのでしょうけど、凡人の私はやはり「先生、もっと欲を出して下さいよ」と、いつかこのサイトのコメントで書かせて戴いた叫びを叫んでおりました。
投稿: ドクトル・ジバコ | 2009年6月17日 (水) 06時43分