将棋の第67期名人戦最終第7局は、羽生善治名人が挑戦者郷田真隆九段を降し、4勝3敗で名人位防衛を果たす
羽生善治名人、挑戦者郷田真隆九段とのそれぞれ3勝ずつをあげ、最終第7局となった第67期の将棋の名人戦。最終決戦の場所は、愛知県豊田市。
昨日(2009年6月23日)から始まった第7局は、改めて振り駒となり先手が羽生名人となった。相矢倉模様の出だしで始まったが、郷田九段が囲いに組まず、左美濃に構える趣向を見せる。
初日の昨日は、開始直後に郷田九段が1時間以上の長考ををみせ、左美濃を選択。しかし、その後の羽生名人の応手が、郷田九段の想定外の手だったようで、再び郷田九段が長考。消費時間に差がついた。
立会人の石田和雄九段、衛星放送の解説の渡辺明竜王、新聞観戦記の解説に副立会人の先崎学八段と杉本昌孝七段が控え室で形勢を検討するが、初日から総じて羽生名人がやや優位かとの見方だった。
ずっと、反撃の機会をうかがっていた郷田九段が2日目午後、飛車取りの角打ちを放ち、一時は挑戦者が盛り返したのではとの観測も出たが、そこから羽生名人の攻めが途切れず、郷田九段は羽生玉に王手をけけることさえなく、81手で投了となった。
これまでの6局の中に何局かあった、終盤ギリギリまで1手違いのハラハラさせられる勝負と比べると、終始羽生名人ペースで郷田九段の良さは出ないままで終わった感じである。郷田九段完勝に終わった第5局のお返しをされたような印象である。
郷田九段にとっては、本局は記念すべき1000局目の対局で、勝って名人位につけば、1000局目で名人というキャッチコピーが作れたが、幻に終わった。
7局を通してみれば、郷田九段にも十分に名人獲得の可能性はあった。第3局での劣勢の将棋を終盤逆転したにもかかわらず、自らの錯覚でほぼ手中にした勝利を取り逃したことが、一番大きな逸機といえるだろう。単純な星勘定で言えば、あそこで勝っていれば、4勝1敗で郷田名人の誕生であった。(もちろん、3局目で2勝1敗とリードしていたら、4局目、5局目の連勝があったかはわからないが。)
もう一つの逸機は、第6局の最終盤、お互いギリギリの剣が峰の勝負で、羽生名人の王手が続く中、郷田九段が△8三玉と逃げたところを、△8二玉と逃げていれば、郷田勝ちもあったかもしれないというところであろう。羽生陣もとても盤石とはいえず、受け切れれば、郷田九段の勝ちという局面だった。第7局終了後の羽生名人のインタビューでも、第6局の終盤がきわどく、7局の中で一番印象に残る1局と語っている。
「タラレバ」は意味がないと思うが、郷田ファンとしては、あの時、△8二玉としていたらと、どうしても考えてしまう。
郷田九段は、2度A級から1期で降級という辛酸をなめながら、3度目の昇級でA級に残留を果たし、その翌期の第65期に名人挑戦を実現した。そして今期第67期が2度目の挑戦。A級への挑戦同様、名人位も3度目の挑戦でものにしてほしい。
今期第68期の名人挑戦者を争う第68期のA級順位戦は、名人戦と同時並行ですでに始まり、6月11日井上慶太八段●×三浦弘行八段○、6月12日木村一基八段●×谷川浩司九段○、6月18日丸山忠久九段●×森内俊之九段○の3局がすでに終了している。
郷田九段の初戦の相手は藤井猛九段。来期第68期での羽生名人への再挑戦に向け、気持ちを切り替えて、エンジン全開で臨んでほしいものである。
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