将棋の第80期棋聖戦五番勝負第1局は、羽生善治棋聖が挑戦者木村一基八段を破り、自らの連敗を4で止める
第67期名人戦七番勝負が挑戦者郷田真隆九段の3勝2敗と佳境を迎える中、名人戦で郷田九段の挑戦を受けている羽生善治名人が、今度は棋聖のタイトルホルダーとして挑戦者の木村一基八段の挑戦を受ける第80期棋聖戦五番勝負が新潟で開幕した。
昨年(2008年)の第21期竜王戦七番勝負のインターネットでの棋譜中継にアクセスが殺到したのに刺激されたのか、棋聖戦の主催社である産経新聞社は、今回の棋聖戦のネット中継を従来よりも充実させ、ネットの棋譜中継の画面にこれまで他棋戦では採用されていたものの、棋聖戦では採用していなかったコメント欄を設け、リアルタイムでの棋譜中継のほかに、控え室での他のプロ棋士の解説も載せるようになった。また、「中継ブログ」も今回から採用し、あわせて昨年の第1局でも好評だった『ウェブ進化論』著者梅田望夫氏によるネット上の「リアルタイム観戦記」がその中継ブログ上に掲載された。
第80期棋聖戦中継サイトhttp://live.shogi.or.jp/kisei/
解説陣も立会人の藤井猛九段、副立会人の飯塚祐紀六段、さらにネット棋譜中継や地元での大盤解説のため将棋連盟からタイトルホルダーの一人深浦康市王位が派遣されるという布陣で、将棋連盟の意気込みを感じられた。
棋聖戦は双方の持ち時間が名人戦(9時間)の半分以下の4時間で、1日での指し切り。
朝9時に始まった勝負は、私が家に帰り着いた夜8時にはすでに終局していた。戦型は昨年の第21期竜王戦七番勝負の第6局、第7局に登場した急戦矢倉。第7局の先手羽生名人対後手渡辺竜王と戦いと途中まで同型で、今回は先手を木村八段、後手側を羽生名人・棋聖が指すという展開だった。
途中までは、矢倉から穴熊へと囲いを組み替えより強固に低く構えた羽生棋聖と金銀を盤面中央まで進出させ駒の厚みと効率性の良さで勝る木村八段に対し、どちらを評価するか検討陣の評価も分かれ、いわば互角の戦いだったが、木村八段が攻めきれないうちに、羽生棋聖が木村玉の弱点であった端攻めを敢行し、手数はかかったものに、その後は木村八段に反撃の機会を与えずに攻めきった。
終わってから振り返ってみると羽生棋聖の強さばかりが目立った一局のように見えた。
これまで挑戦者として登場した2005年の第18期竜王戦七番勝負で渡辺竜王に4連敗、昨年の第56期王座戦でも3連敗と、タイトル戦でまだ勝ち星のない木村八段。タイトル戦でまず1勝がこの棋聖戦での最低限の目標だったが、この初戦でも果たされないまま終わった。
一方の羽生棋聖は、5月21日の名人戦第4局で挑戦者の郷田九段に敗れてから、竜王戦1組決勝(5月25日)で深浦王位に、王位戦挑戦者決定リーグ紅組最終戦(5月29日)で渡辺竜王に、さらに先週の名人戦第5局(6月3日)でも郷田九段に敗れ、4連敗と不調がささやかれていたが、ようやく連敗と止めた。
次はカド番に追い込まれている名人戦の第6局が来週6月15日~16日の両日行われる。郷田新名人が誕生するのか、羽生名人が勝って最終局までもつれ込むのか、ことらも目が離せない。
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