『ハチはなぜ大量死したのか』を読み始める
今週半ばに、プライベートちょっと人前で話をしなくてはいけないことがあって、その資料作成が優先で、ブログの更新が滞ってしまった。ようやく資料も完成したので、ブログに向かっているところだ。
小説以外の読書といえば、歴史か心理学系の自分の趣味として興味のある分野、また仕事の直結する経済・金融系のどちらかが多いのだが、時々、自然科学系のノンフィクションが読みたくなる。
最近では、『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)を皮切りに、『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス)、『もう牛肉を食べても安心か』(文春新書)、『できそこないの男たち』(光文社親書)、『動的平衡』と福岡伸一教授の一連の著作を読み、分子生物学の不思議を感じさせてもらった。
しばらく前からきになっていて、今日、再び家の近くの書店で見かけて、買ったのが、ローワン・ジェイコブセン著『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)だ。
2006年秋から2007年春にかけて、北半球でそれまでの四分の一に及ぶ大量のミツバチが死んだのだという。ミツバチは、蜂蜜(はちみつ)の生産のためにだけ利用されているとばかりおもっていたが、米国ではどうも事情が違うらしい。
商業養蜂家の仕事は、蜂蜜の生産よりも、ミツバチの巣箱を米国の東西南北に運び、農業生産に必要な作物の受粉の媒介者としてミツバチを働かせることの方が、いまや重要な仕事になっているようなのだ。
その農業生産に不可欠なミツバチの四分の一が一度に大量死したという事実。それは、単にハチミツの生産量が減って、ハチミツの値段が上がるといった単純な問題にとどまらず、米国の機械化・工業化された大規模農業のうち、受粉を必要とする多くの作物の生産に支障をきたすということでもある。本書の原題「Fruitless Fall(実りなき秋)」がそのことを暗示している。
そのミツバチ大量死の原因を解き明かしていくのが、本書のテーマである。果たして、何が結論なのか。下手な推理小説より、よほどスリリングな読み物である。
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