将棋第50期王位戦七番勝負第1局は挑戦者木村一基八段が千日手指し直しの上、深浦康市王位を破り、「いぶし銀」対決で先勝
これまでのタイトル挑戦で、1勝もできず、まずは1勝をと語っていた木村一基八段が、4回目のタイトル挑戦となった第80期棋聖戦五番勝負では、羽生善治棋聖(四冠)から2勝をあげ、今日(7月17日)が、松山市でタイトルのゆくえが決まる最終第5局である。
木村一基八段は棋聖位挑戦を決めた後も好調で、6月22日には第50期王位戦の挑戦者決定戦で橋本崇載七段を破って、棋聖戦に続き王位戦七番勝負にも登場することとなった。さらに6月28日に行われたネット将棋最強戦の準決勝でも森内俊之九段を破り、8月2日に行われる決勝戦で山崎隆之七段と対戦することが決まっている。
5回目のタイトル挑戦となった第50期王位戦七番勝負は、今週(2009年)7月13日に岐阜県下呂市で開幕した。過去2回、羽生対深浦のフルセットの激闘が続いた王位戦も、過去16期に渡り、タイトルホルダーか挑戦者として必ずこの王位戦の場に登場していた羽生善治四冠が挑戦者リーグ紅組2位に終わり、代わりに紅組を制した木村八段が挑戦者決定戦も制して挑戦者に名乗りをあげた。
深浦対木村のタイトル戦は初めて。両者の対戦成績は、七番勝負開始前までで、深浦王位6勝、木村八段5勝と拮抗しているが、直近は木村八段が3連勝している。
これまでは、羽生、佐藤、森内の最強世代3強が目立つ中、実力はありながら地味な「いぶし銀」のような存在だった2人だが、前々期の48期王位戦で深浦八段が羽生王位を破り念願の初タイトルを獲得、前期49期でも羽生の挑戦を退け、タイトル防衛。九段の資格も得て、最近はタイトルホルダーとしての風格も出てきた。
第1局の将棋は、初日終盤千日手になりかけたが、木村八段が回避して封じ手。しかし、2日目開始直後に千日手が成立し、先手・後手を入れ替えての指し直しとなった。指し直し局では先手となった挑戦者の木村八段。攻め合いとなった相矢倉の戦いで、要所要所で自陣の守りを補強し、「千駄ヶ谷の受け師」の存在感も十分見せつつ、攻め勝って七番勝負の初戦を白星で飾った。
木村八段は、棋聖戦と王位戦を連破して初タイトルはもちろん、一気に二冠となりたいところ。深浦王位にしてみれば、虎の子の「王位」タイトルを簡単に渡してなるものかということになる。
この「いぶし銀」対決 、最終的にどちらが制することになるのか、夏の楽しみが増えた。
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