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2009年7月25日 (土)

第50期王位戦七番勝負第2局も、挑戦者木村一基八段が深浦康市王位を破り2連勝、初タイトルに一歩前進

挑戦者木村一基八段の先勝で始まった第50期王位戦七番勝負、第2局は今週(2009年)7月22日・23日に北海道札幌に舞台を移しての戦われた。この時期の北海道は、東京よりは涼しくしのぎやすいに違いない。

深浦康市王位は6割7分以上、木村一基八段は6割8分以上と現役棋士の中でも高い勝率を残している。
今日は、2人のプロデビュー以降の順位戦での足取りを眺めた上で、第2局の将棋の内容を見ることにしたい。

深浦王位は昭和47年 (1972)年2月生まれの37歳。羽生名人、森内九段、郷田九段、丸山九段、藤井九段等の最強世代の一学年下となる。昭和59(1984)年12月に奨励会入りし、平成4(1992)年にプロ四段に昇段。第51期(2002年度)から順位戦C級2組に参加、3年目の第53期(1994年度))には同組の順位9位で9勝1敗の好成績をあげるも、さらに上位者3名がおり、昇級を逃した(昇級者は、久保利明四段(順位24位)10勝、三浦弘行四段(順位6位)9勝1敗、中川大輔六段(順位8位)9勝1敗の3名)。結局、C級2組の6年め第56期(1997年度)に8勝2敗、C級2組3位で昇級を決めた。(挑戦者の木村八段は、この第56期にプロ四段となり初めて順位戦に参加しているが、両者の対戦はない)
その後は、C級2組での足踏みのうっぷんをはらすように、昇級後の第57期(1998年度)のC級1組は9勝1敗の2位で一期で通過、B級2組を3年、B級1組を2年で通過し、第63期(2004年度)にトップ10のA級に昇級した。しかし、A級には定着できず、A級昇級と陥落を3回繰り返し、現在4回目のB級1組在籍で4回目のA級復帰を狙っている。

一方、挑戦者の木村一基八段は、昭和38(1973)年6月23日生まれで、現在36歳。深浦王位とは学年でみれば、2学年下ということなる。奨励会入りは、深浦に遅れること1年、昭和60(1985)年12月に入会。第56期(1997年度)からプロ四段として順位戦に参加。翌57期(1998年度)には9勝1敗で、C級1組昇級を決めている。C級1組を3年、B級2組を2年、B級1組を2年でそれぞれ通過し、第66期(2007年度)からA級に昇級、いきなり5連勝して勝ち越し・残留を決めたが、その後4連敗で5勝4敗に終わった。昨年度(2008年度)第67期も、第8局を終えて5勝3敗で、最終局の6勝2敗でトップの郷田九段戦に勝てばプレーオフという星勘定だったが、敗れ、2年連続5勝4敗。しかし、堂々の2年連続、A級勝ち越しで、A級5位の地位を維持して3年目を迎えている。
二人の順位戦での足跡を時系列で並べると以下の通りだ。

            深浦王位          木村八段
第51期:C級2組 7勝3敗(14位) :奨励会
第52期:C級2組 7勝3敗(10位) :奨励会
第53期:C級2組 9勝1敗(4位)   :奨励会
第54期:C級2組 7勝3敗(7位)   :奨励会
第55期:C級2組 7勝3敗(5位)   :奨励会
第56期:C級2組 8勝2敗(昇級) :C級2組 7勝3敗(12位)
第57期:C級1組 9勝1敗(昇級) :C級2組 9勝1敗(昇級)
第58期:B級2組 9勝1敗(3位)   :C級1組 7勝3敗(8位)
第59期:B級2組 6勝4敗(5位)   :C級1組 5勝5敗(13位)
第60期:B級2組 9勝1敗(昇級)  :C級1組10勝0敗(昇級)
第61期:B級1組 7勝4敗(4位)    :B級2組 6勝4敗(8位)
第62期:B級1組11勝1敗(昇級) :B級2組 7勝3敗(4位)
第63期:A級      4勝5敗(降級) :B級2組 9勝1敗(昇級)
第64期:B級1組10勝2敗(昇級) :B級1組 7勝5敗(4位)
第65期:A級      4勝 5敗(降級) :B級1組 9勝1敗(昇級)
第66期:B級1組 9勝3敗(昇級)  :A級      5勝4敗(5位)
第67期:A級      3勝6敗(降級)  :A級      5勝4敗(5位)
第68期:B級1組 2勝                 :A級      1敗

改めて、2人の順位戦での戦績を横比較してみると、世代が近いものの、A級昇級までは、深浦王位が常に一歩先を行っており、2人が順位戦で同じクラスに在籍したのは、前述の木村八段のプロ入り直後の第56期のC級2組、深浦王位の最初のA級陥落後の第64期のB級1組、深浦王位が3度目のA級昇級を果たし両雄がA級で激突し昨年度(第67期)のみである。
第56期のC級1組は対戦がなく、第64期のB級1組、第66期のA級ではともに木村八段が勝っている。特に、昨年度第66期のA級では8回戦で木村4勝3敗、深浦3勝4敗で対戦。深浦が勝ってともに4勝4敗となっていれば、深浦王位の残留も十分可能性のある。相矢倉模様の戦いだったが、最初に攻めた深浦王位が、「千駄ヶ谷の受け師」木村八段の前の攻めきれず、木村八段のカウンター攻撃に敗れた一戦だった。

順位戦では木村八段の二三歩先を進んでいた深浦王位を一定の間隔で追いかけていた木村八段が、ようやく追いつき、逆転したことになるが、それを象徴するのが前期のA級での戦いだったといえよう。

王位戦第2局では、相掛かりの戦型から後手の深浦王位が交換した角を木村陣に打ち込み、角を切って飛車側の金と交換、さらにその金を飛車取りに打って木村陣を乱しにかかったが、結局その打った金が攻めに十分活用されないまま終わり、一方、木村八段は深浦玉を巧みに1筋に追い込み、封じ込めた。
前期のA級での戦いや、王位戦での2局を見ていると、深浦王位の攻めが「千駄ヶ谷の受け師」木村八段の手堅い受けに翻弄され、決め手を欠いているうちに、木村八段の逆襲を受け、投了となるというパターンが続いている。
ただ、3局とも木村八段の先手、深浦王位の後手の戦いである(王位戦第1局は、深浦王位の先手だったが、千日手で指し直しとなったため先後が入れ替わった)。深浦王位の先手となる第3局で深浦王位が星を返せるかどうか、第3局は7月30日・31日の両日、神戸で行われる。第4局は深浦王位の出身県である長崎県の佐世保市で行われる。深浦王位としても、ふるさとに3連敗で帰りたくないだろう。第3局の深浦王位がどのような工夫をしてくるか、注目の一戦になる。

現在、深浦王位は木村八段がまだ手にしていないタイトルを手にしているし、木村八段は深浦王位が果たせなかったA級定着を実現した。これから先、さらに木村八段がタイトルまで深浦王位から奪うことになるのか、深浦王位がタイトル防衛、A級復帰を果たし、木村八段とA級の土俵で常に戦うことになるのか、「いぶし銀」の2人のドラマも見所が満載だろう。

今回の記事の執筆に際しては、Webサイト「将棋順位戦データベース」を参考にさせていただきました。ありがとうございました。

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