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2009年7月24日 (金)

第68期A級順位戦1回戦第5局に郷田真隆九段登場、二転三転の展開の中、藤井猛九段を破り今期も白星スタート

まだ、第67期名人戦七番勝負での羽生善治名人との激闘の余韻をさめやらぬ中、次回の名人戦七番勝負での挑戦者を争うA級順位戦の1回戦最終局に郷田真隆九段が登場した。

まだ第67期名人戦が戦われているさなかに、第68期 A級順位戦も開幕。すでに、4局が終了している。(左側が先手、○が勝ち、●が負け)

2009年6月11日:井上慶太八段●vs三浦弘行八段○
2009年6月12日:木村一基八段●vs谷川浩司九段○
2009年6月18日:丸山忠久九段●vs森内俊之九段○
2009年7月2日:高橋道雄九段○vs佐藤康光九段●

昨日(2009年7月23日)の郷田真隆九段vs藤井猛九段戦が1回戦の第5局となり、これでA級棋士10人が全員登場となる。
郷田ファンの筆者としては、名人戦で3勝2敗と羽生名人をカド番まで追い込みながら、その後2連敗で、名人位に手が届かなかった郷田九段が、無念の余り、調子を崩していないかが気になるところ。
第68期A級順位戦の初戦の相手藤井猛九段には20勝10敗と相性はいいが、名人戦のさなか、連敗が続いていた際に、王座戦の挑戦者決定トーナメントの1回戦で敗れている。

順位戦は、年度当初に組み合わせが決まった時から、先手・後手まできまっており、本局は郷田九段が先手、藤井九段が後手である。
両者の棋風通り、郷田九段は居飛車、藤井九段が振り飛車(四間飛車)を選択。藤井九段から角交換を行い、両者持ち駒に角を手にしながら序盤の駒組みが続いた。どちらもきっちりと玉を囲う前に、攻め駒のつばぜり合いが始まり、藤井九段が美濃囲いを固めないうちに藤井玉の玉頭にキズをつけた郷田九段が優勢の展開と言われていたが、その後、藤井九段が、飛車と銀・桂交換と若干の駒損とはなったものの、自陣の左辺で働き切れていなかった飛車・金・銀をうまく捌いて、角・金各1枚・銀2枚を手持ちにした。一方、郷田九段は、大駒の飛車・角を手にしたものの、藤井玉を詰ませるには小回りが効かない。
郷田九段の飛車2枚の攻めをしのぎつつ、藤井九段が反撃に転じ112手で郷田九段を受けなしに追い込んだ。
一方、郷田九段は2枚の竜で藤井玉を横から狙うも、金銀3枚の美濃囲いで容易には崩れそうにない。持ち駒は、角銀桂香に歩3枚。勝つには、王手を続け藤井玉を詰ませるか、王手の過程で、自玉の受けがない状態を解消するしかない。すでに、両者持ち時間を使い切り、1手1分の秒読み将棋に入っている。
そこから郷田九段の猛ラッシュが始まったが、渡辺明竜王などが陣取る控え室の検討では藤井玉に詰みはないとの見解だった。もちろんそれは、控え室の想定通りの指し手を藤井九段が指せばという前提である。しかし、1手1分の時間の中で、最善手を指し続けるのは至難に技であろう。122手目、藤井九段が郷田九段が王手に放った銀を自陣の守りの銀で取れば、控え室の予想通りだったが、そこで打たれた銀を取らずに、玉が逃げたことで、藤井玉に詰みが生じる可能性が出てきた。
今度は、郷田九段の攻めの読みが問われる。郷田九段は、控え室が予想した通りのおそらくは最善手を続け、135手目の桂成の王手を見て、藤井九段が投了した。受けなしに追い込み藤井九段必勝の状況から、藤井九段投了までその間の20分ほどだったのではないだろうか。朝10時から、指し続けて昼食と夕食休憩は入るものの、14時間以上最後の勝利を目指して指し続け、ほぼそれを手中にしていながら、一手のミスで体がそれが手中から滑り落ちていく様を、スローモーションで見るようであった。

郷田九段にとっては、命拾いの勝利。藤井九段にとっては、悔やみきれないない敗戦であろう。
これで郷田九段は3度目のA級復帰となった第64期順位戦から5期連続で初戦白星のスタートである。過去4回のうち2回は、挑戦権を獲得している。今期も白星を重ね、2年連続、3回目の挑戦、さらに今回こそ名人位奪取を果たしてほしいものである。

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