将棋の第50期王位戦七番勝負第4局は、深浦康市王位が故郷長崎県佐世保市で挑戦者木村一基八段を破り、タイトル防衛にむけようやく反撃ののろし
挑戦者木村一基八段が初戦から3連勝と一気にタイトル奪取に王手をかけた第50期王位戦七番勝負。第4局は、深浦康市王位の故郷長崎県佐世保市で8月4日・5日にわたり行われた。
木村八段の先手で、戦型は相矢倉の本格派の戦いに。さらに木村八段が矢倉から穴熊へと守りを固めようと玉側の香車を上がる。しかし、深浦陣に隙ありと見たのか、穴熊の完成前に戦端を開く。一方の深浦王位は、矢倉囲いの要の銀を相手の攻めに呼応して△3三銀の位置から△2四銀、さらに△1三銀と移動。さらに△1二香と、こちらも穴熊へと守りを固める姿勢を見せる。本格開戦の前に、△1一玉、さらに△2二玉と穴熊に潜り込むことに成功。香車の上に銀が乗るという、縦からの攻めにも強い穴熊が完成した。
一方、木村八段は自陣の穴熊を完成させるより手番を確保して先に攻めることを選択、駒損(桂馬)を覚悟で飛車交換に出て、手にした飛車をすぐ深浦陣に打ちこんだ。しかし、すぐ飛車を打ち返されて、飛車交換。結局、堅陣深浦穴熊の前に、持ち駒にした飛車を生かし切れず、逆に攻めに手間取る間に、深浦王位から飛車、角(馬)の大駒に、香車、銀、桂馬を織り交ぜた自玉にカウンター攻撃をかけられ、あっという間に投了となった。
木村八段の側も、長期戦覚悟で穴熊に組み、相穴熊の戦いになっていれば、別の展開に成っていただろう。タイトル奪取がちらついて先を急いだのか、木村八段の攻めに無理があったような気がする。
今回も、先に攻めた方が攻めきれず、相手の逆襲に負かされるという結果になった。
これで、深浦王位はこの七番勝負初勝利で1勝3敗。まだカド番は続く。第5局は8月20日・21日に四国・徳島で行われる。第5局も勝てば、第48期・49期と羽生四冠と死闘を繰り広げた、神奈川県秦野市の「陣屋」が第6局、第7局の舞台となる。
木村八段は王位戦挑戦を決めた6月は2敗のあと、棋聖戦での羽生四冠からの2勝も含め5連勝と好調だったが、7月以降この第4局も前まで、王位戦での対深浦王位戦3勝以外は、棋聖戦で羽生四冠に2敗、日本シリーズで丸山九段、ネット将棋最強戦決勝で山崎七段にそれぞれ敗れており、これまでの勢いにブレーキがかかった感じもある。
一方の深浦王位が5月19日以降、この第4局の前まで12戦して負けたのは王位戦での対木村戦3敗だけである。勝ち星の中には、竜王戦ランキング戦1組決勝での羽生四冠、日本シリーズでの鈴木大介八段、佐藤康光九段、銀河戦での久保棋王等トップクラスの棋士も含まれており、対木村戦以外は好調を維持している。
この第4局の深浦王位勝利で、この七番勝負の潮目を少し変わったのかもしれない。昨年の渡辺竜王に続き、深浦王位が七番勝負のタイトル戦での3連敗4連勝を記録する史上2人目の棋士になることになるのだろうか。
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