第68期A級順位戦4回戦、谷川浩司九段と森内俊之九段が勝って名人挑戦者レースのトップ、2番手を維持
将棋の第68期 A級順位戦は10月に入り4回戦が始まった。先週(2009年10月8日)、大阪で3連勝中の谷川浩司九段が3連敗とふるわない佐藤康光九段と対局、東京ではともに2勝1敗の森内俊之九段と三浦弘行八段が対戦した。
ホームグラウンドの大阪で戦う谷川九段は、ここで勝って4連勝とし、単独トップの地位を維持しておきたいところ。強敵である森内九段が星一つの差で追っていることもあり、森内九段との直接対決まで1勝の差は維持しておきたい。
一方、永世棋聖の資格を持つ佐藤九段はまさかの3連敗スタート。他に丸山九段、藤井九段と3連敗が2人いるが、4回戦で2人の対局が組まれており、どちらかは連敗を脱する。ここで敗れると最下位2人に入ることが確定すし、4敗となれば残り5連勝でも名人挑戦は絶望的になる。
東京で対局する森内九段、三浦八段の2人はともに2勝1敗であり、勝って3勝1敗とすれば、谷川九段の成績次第では名人挑戦者レースの同率首位の可能性も出てくる。負けて2勝2敗となれば、一歩後退である。
大阪の谷川vs佐藤戦は、谷川九段が先手。谷川九段から角交換のあと、後手の佐藤九段が向かい飛車に構える。腰掛け銀でお互い向かいあう。谷川九段の駒が、全体に前に進み、谷川陣にスペースができたところを狙い、佐藤九段が角を放ち馬作りを狙う一手で中盤戦に突入。谷川陣の守りが万全でないことを咎める狙いか、自陣を美濃囲いで固める佐藤九段は飛車切りまで敢行して攻める。しかし、谷川九段は手にした飛車、角を次々と佐藤陣に打ち、自陣に引き戻し、最後は自玉を金1枚、銀3枚に加え竜1枚、馬2枚で守る鉄壁の布陣。佐藤九段の攻めを受けきって、攻めが途切れたところで、端から攻め、守りの馬2枚も攻めに出動、佐藤九段を投了に追い込んだ。
これで、谷川九段は単独トップを守る4連勝。佐藤九段はまさかの4連敗となった。
東京の森内vs三浦戦は三浦八段の先手。後手の森内九段の一手損角換わりに対して、三浦八段は 4筋からの早繰り銀で対抗。将棋の流れは、森内九段の駒が手順にそって自然と前へ前へと進むのに対し、三浦八段の攻め駒の右銀や飛車が自陣で右往左往している。三浦八段も後半、飛車、銀、桂馬を動員して攻勢に出たが、森内玉は巧みに逃げ、最後は森内九段に王手飛車取りに角を打たれ、飛車を抜かれた。そこから10手もしないうちに三浦八段の投了となった。全体を通して、森内九段の懐の深さを感じさせるような指し回しで、竜王戦の挑戦を決め、気力充実をうかがわせる内容だった。4回戦では、2勝1敗どうしの星のつぶし合いが3局(森内vs三浦戦、郷田vs井上戦、木村vs高橋戦)あるが、まず森内九段が3勝1敗として谷川九段追撃に名乗りをあげた。
次は、木村八段vs高橋九段戦が10月15日に行われる。どちらが、名人挑戦者レースに踏みとどまるだろうか。
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