将棋第68期A級順位戦6回戦、郷田真隆九段がライバル森内俊之九段を降し、3勝3敗に
将棋の第68期A級順位戦も12月に入り6回戦。10人総当たりリーグ戦で、下位2人が降級となる。
今期は5回戦が終った時点では、2年前と同様、順位2位につける佐藤康光九段が開幕から5連敗。順位6位藤井猛九段も4連敗のあと5回戦の井上慶太八段戦でようやく初白星をあげ、1勝4敗。この2人が、いまのところ降級の候補になっている。
一方、挑戦者争いは、5回戦で4連勝の谷川浩司九段を3勝1敗の森内俊之九段が破ってともに4勝1敗。そこに、今期、A級に復帰した高橋道雄九段が同じく4勝1敗で並ぶ。
前期の名人挑戦者だった郷田真隆九段は、2勝1敗のあと、今期A級に復帰した高橋九段、井上八段に連敗し、2勝3敗となり、連続挑戦には黄色信号がともるどころか、降級の可能性さえある。2009年12月16日の6回戦の対戦相手は、1敗を堅持し、挑戦権レースのトップに並ぶ森内九段である。
郷田九段は負けて4敗となれば名人挑戦が絶望となるだけでなく、下位グループとなり、年明けの3戦は降級回避ための戦いとなる。一方、森内九段は、同じ1敗の谷川九段が6回戦井上八段を破り、先に5勝1敗としており、挑戦権獲得のためには、是が非でも勝っておきたい。
先手森内九段、後手郷田九段の戦いは、相矢倉模様で進む。郷田九段は5筋の位を確保し、駒を前に前にと進める。郷田九段は、森内玉の囲いが固まらないうちに、ジャブを出し、中盤戦では攻撃の主導権を握る。郷田勝勢に思えたが、森内玉は上部への脱出に成功し、入玉を目指す。
郷田九段の攻めの合間を見ながら、森内九段も反撃を試みる。郷田陣に王手の飛車打ちを行い、竜を作り、入玉のための橋頭堡作りに成功し、以前、郷田九段が多少有利かとは思われるが、戦況はにわかに流動的になってきた。
しかし、一度つかみかけた勝利をはなしてはならじと、自陣から逃げ出した森内玉を下から攻めあげる。最後に、敵陣にいた竜を自陣に引き戻し、森内玉の逃げ道を封鎖し、森内九段を投了に追い込んだ。
これで郷田九段が3勝3敗の五分に星を戻し、他力本願ではあるが、プレーオフでの名人挑戦権への希望を繋いだ。森内九段は4勝2敗となって、挑戦権レースの2番手に後退した。
本戦を含む、6回戦の結果と6回戦終了時点での暫定順位は以下の通りだ。
2009年12月10日:谷川浩司九段○×●井上慶太八段
2009年12月11日:高橋道雄九段●×○丸山忠久九段
2009年12月16日:森内俊之九段●×○郷田真隆九段
2009年12月17日:藤井猛九段●×○三浦弘行八段
2009年12月18日:佐藤康光九段●×○木村一基八段
6回戦終了時の暫定順位
(同成績の場合は、今期順位戦の順位(○印)が上位の棋士が上位)
1位)谷川浩司九段⑦:5勝1敗
2位)森内俊之九段③:4勝2敗
3位)三浦弘行八段⑧:4勝2敗
4位)高橋道雄九段⑨:4勝2敗
5位)郷田真隆九段①:3勝3敗
6位)丸山忠久九段④:3勝3敗
7位)木村一基八段⑤:3勝3敗
8位)井上慶太八段⑩:3勝3敗
9位)藤井猛九段⑥:1勝5敗
10位)佐藤康光九段②:0勝6敗
5回戦終了時に2勝3敗だった3棋士(郷田、丸山、木村)が揃って勝ち、1勝の藤井九段が負けたため2敗がいなくなり、下位2名と残り8名の間に大きな差ができた。佐藤九段は残り3戦で1敗すれば降級が確定する。順位1位の郷田九段は順位の関係で自分があと1勝するか、藤井九段があと1敗した段階で、残留が確定する。
残り3戦、トップ棋士10名の悲喜こもごものドラマが展開する。
| 固定リンク | 0
« APSフィルムの撮影日時データ読み取りのため、ネットオークションで12年前のオリンパスのフィルムスキャナ「キャメディア ES-10S 」を落札 | トップページ | 「過ぎたるは及ばざるがごとし」APSフィルムスキャンをやり過ぎてAPS用アダプタに故障続出 »
「将棋」カテゴリの記事
- 第65期王将戦七番勝負第1局、郷田真隆王将が最強の挑戦者羽生善治名人に完勝(2016.01.11)
- 第64期王将戦就位式、祝・郷田真隆王将!(2015.05.19)
- 郷田真隆九段、44歳で5回目のタイトル王将を獲得(2015.03.29)
- 郷田真隆九段、2つの三度目の正直で王将挑戦へ(2014.12.26)
- 第27期竜王戦、郷田真隆九段、今年もランキング戦1組4位で決勝トーナメント進出(2014.05.31)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント