ホンマタカシ著『たのしい写真』で知る「決定的瞬間」と「ニューカラー」
このところ1ヵ月ほど、読んでいるのは東浩紀、宇野常寛を中心としたアニメやゲームなどのサブ・カルチャーを中心とした時代批評だが、まだ読み進めている途中で、感想めいたものを書くには至らない。
一昨日(12月23日)の天皇誕生日、フィルムスキャナを修理に出すため新宿に行き、帰りに紀伊國屋書店に寄った。別に当てがあったわけないが、フィルムスキャナの修理にいったこともあり、写真関連の書籍のコーナーに行ってみた。写真の撮り方についてのテクニックについて書かれた本がほとんどで、それらは大同小異。私自身も何冊かもっている。
目をひいたのは、写真家のエッセイや写真論のような撮影テクニックとは直接関係ない本である。
その中の1冊ホンマタカシ著『たのしい写真』がおもしろそうだったので購入。著者のホンマタカシは1962年生まれの写真家。本書のベースは著者が雑誌の「Casa BRUTUS」に連載した「よい子のための写真教室」に、他の写真誌等への掲載記事をまとめて本にしたものである。
「よい子のための写真教室」というものの、写真の歴史から説き起こし、著名な写真家がとのような姿勢で写真に取り組んだのか、写真の撮り方にどんな潮流があるのか、そのようなことについて、つれづれに語られている。著者のあとがきでは、「大学の一般教養レベルの内容」と書かれている。
私が興味を持ったのは、写真の撮り方で「決定的瞬間」と「ニューカラー」というふたつの大きな考え方があるということ。
「決定的瞬間」とは、常にカメラを持ち歩きある決定的瞬間を逃さず撮影しようというもの、そのためのはシャッタースピードは早くなる。被写体の動きは止まり、背景はぼける。「ニューカラー」とは、「決定的瞬間」的写真がモノクロで撮られたのに対し、カラーフィルムを使い、大型のカメラを三脚で固定し、シャッタースピードを遅くし、ピントを絞ってカメラの視界に入るすべてを隅から隅まで等価値に写すというものである。
これまで、撮影テクニックの本を読んでも、絞り優先、シャッタースピード優先といったテクニックがあるのはわかっても、それをどう使い分けるなどという発想はなかったので、目から鱗が落ちた気がした。
単に、撮影テクニックを知るだけではなく、何故写真を撮るのか、どのような写真を撮りたいのか、時にはそのようなことを考えることも必要なのだろう。
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