将棋の第51期王位戦七番勝負での深浦康市王位への挑戦者は決定戦で羽生善治名人を倒した23歳の広瀬章人五段に
昨日(2010年6月11日)、東京の将棋会館で、第51期王位戦七番勝負での深浦康市王位への挑戦者決定戦が行われた。
挑戦者決定リーグ紅組を4勝1敗で制した広瀬章人五段と白組プレーオフで戸辺誠六段を破った羽生善治名人との初手合いとなった。
将棋界に君臨するトップ棋士羽生名人とC級1組在籍の新進23歳の広瀬五段の対戦となれば、当然実績にまさる羽生名人の圧勝かと思いきや、帰宅して王位戦のホームページで決定戦の棋譜を再生してみると、先手となった広瀬五段が得意の振り飛車(四間飛車)穴熊に構え、同じく穴熊に玉を囲った羽生名人の堅守を「馬切り」で崩し、自玉は安泰な中、羽生玉をあぶり出して、見事に勝利した。
広瀬五段はタイトル初挑戦。初の王位戦挑戦者リーグ入りのチャンスを活かし、大舞台へ登場することとなった。
将棋界には、7つのタイトル戦があるが、他の多くの棋戦の予選が、1次予選、2次予選等何層にも別れ、タイトルホルダーやA級棋士などにシード権を認めており、順位戦で下位のクラス在籍する実力派の若手棋士が挑戦権を得るのは至難の技であるのに対し、王位戦の場合、優遇されるのは、前期の挑戦者リーグの各組優勝者と2位の計4名まで。他の棋士は、タイトルの有無、順位戦のクラスに関係なく、新年度の挑戦者リーグに参加する8つの席は、20名前後で争う8つのトーナメントで争われる。
前期50期の王位戦リーグがタイトルホルダー、A級棋士と実力者揃いの顔ぶれだったのに対し、今期51期は挑戦者となった広瀬五段をはじめ、白組でプレーオフまで進んだ戸辺誠六段(23歳、C級1組でリーグ入り、リーグ中にB級2組昇級)、高崎一生五段(23歳、C級2組でリーグ入り、リーグ中にC級1組昇級)、大石直嗣四段(20歳、C級2組)など若手棋士のリーグ入りが特に目立った。
このような王位戦の挑戦者選抜システムは、過去も若い挑戦者、タイトルホルダーを誕生させている。1983年の第24期王位戦で内藤國雄王位からタイトルを奪取した高橋道雄五段は当時C級1組在籍の23歳、当時最も低段位者のタイトル獲得記録を作った。
さらに1992年の第33期王位戦では当時C級2組在籍の郷田真隆四段が22歳で、谷川浩司王位に挑戦、タイトルを奪取、高橋五段の低段位者のタイトル獲得記録を更新した。
王位戦を足がかりに飛躍した高橋道雄、郷田真隆の2人の棋士はその後A級まで昇りつめるとともに、複数のタイトルを獲得、九段となっている。
さて、広瀬五段が、深浦王位の連覇を阻み、高橋九段、郷田九段に続いて、20代に王位戦で初タイトルを獲得という快挙を成し遂げるのか、3連覇の3年間すべてが4勝3敗のよるタイトル奪取と防衛という苦しい戦いを勝ち抜いてきた深浦王位が、王位戦4連覇を成し遂げ、「永世王位」資格に王手をかけるのか、これまでにない七番勝負になりそうである。
<追記>広瀬五段はタイトル挑戦を決めたことで、六段への昇段用件のひとつである「五段昇段後タイトル挑戦」を満たし、昨日付けで六段に昇段した。
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