将棋の第58期王座戦挑戦者決定戦は、藤井猛九段が深浦康市王位を破り、10年ぶりに羽生善治王座へ挑戦
昨日(2010年7月30日)、将棋の第58期王座戦の挑戦者決定戦が東京・千駄ヶ谷の将棋会館で行われた。ここまで勝ち残ってきたのは二人のうち一人は、今期、棋聖戦の挑戦者にも名乗りを上げ、現在、王位戦七番勝負では新鋭広瀬章人六段の挑戦を受ける深浦康市王位。
もう一方は、かつては、自ら考案した四間飛車の新戦法「藤井システム」をひっさげて、竜王位3連覇を成し遂げたものの、近年はタイトル戦からは遠ざかっている藤井猛九段。
プロ棋士になったのは、藤井九段が1991年、深浦王位1992年と深浦王位が1年後輩だが、棋士になってからの通算成績は、王座戦サイトの棋譜中継の解説では、藤井486勝326敗(勝率0.599)、深浦647勝317敗(同0.671)とのことで、勝ち星、勝率とも深浦王位がリードしいる。これだけ見れば、深浦王位優位かと思われるが、今期のこれまでの成績は深浦王位が8勝9敗で負け越し、藤井九段が8勝5敗と勝ち越し。また、2人の過去の対戦成績は藤井17勝、深浦7勝と藤井九段が大きくリードしているという。(2001年度以降で見ると11戦で藤井6勝、深浦5勝と差はだいぶ縮まる。)
深浦王位にとって、藤井九段を超えられないものがあるとすれば、A級棋士としてのキャリアである。深浦王位は、過去3回(第63期-2004年度、第65期-2006年度、第67期-2008年度)A級に昇級したが、その都度、1期で降級の憂き目にあっている。いずれの期もあと1勝すれば残留だったが、強者揃いのA級でのあと1勝がなかなか遠い。
一方の藤井九段は、第60期-2001年度にA級に昇級以降、何回か降級の危機に見舞われながらもしぶとく踏みとどまり、今期2010年度でA級在位連続10期目となった。
挑戦者決定戦の方は、先手となった藤井九段が、得意の振り飛車ではなく、居飛車に構え、矢倉に囲うかと思われたが、8八に角をおいたままの変則の左美で玉を守り、深浦玉が完成した矢倉囲いの城内におさまる前に戦いを仕掛け、矢倉囲いを粉砕、流浪の深浦玉を左右と上部の三方から包囲し、自玉には攻めが及ぶ前に深浦玉を仕留めた。
第58期王座戦挑戦者決定戦:深浦王位vs藤井九段戦の棋譜中継
自玉の守りはそこそこにし、相手玉が守りの布陣を固める前にいっきの攻めつぶすというスタイルは、かつての四間飛車「藤井システム」の目指したところであり、今回は居飛車版藤井システムというところか。
この一戦に限ってみれば、藤井九段の巧みな駒捌きが印象に残る。
これで、羽生善治王座への挑戦権を得た藤井九段は、2010年9月9日に開幕する王座戦五番勝負で18連覇の羽生王座に挑む。藤井九段はちょうど10年前の2000年の第48期王位戦の挑戦者となっている。このときは、2勝3敗で惜しくも王座位を逃しているが、羽生王座18連覇の中で、羽生王座が2敗したのは、46期の谷川竜王(当時)、48期の藤井竜王(当時)、51期の渡辺五段(現竜王)の3回しかない。
7つのタイトル戦の中でも、羽生善治三冠がもっとも強さを見せつけるこの王座戦で19連覇に待ったをかけ、復活ののろしが上がれるか、藤井九段の真価が問われる五番勝負になりそうだ。
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