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2010年8月27日 (金)

将棋第69期A級順位戦2回戦最終局、郷田真隆九段vs藤井猛九段戦は郷田九段が勝って1勝1敗に

久々に将棋の記事。私は、贔屓にしている棋士郷田真隆九段が勝つと記事にすることにしているが、最近の2局は、棋王戦決勝トーナメントでは稲場陽四段に、王将戦2次予選では鈴木大介八段に敗れ、連敗。年度末の王将戦、棋王戦という年明け以降に行われるタイトル戦にへの可能性が相次いで消え、今年度の成績も6勝7敗と負け越しとなり、やや意気消沈していた。
残る期待は名人戦の挑戦者を争うA級順位戦。郷田九段は第64期にA級復帰を果たして以降、第65期、第67期と2回A級を制し挑戦者となり、それぞれ森内名人、羽生名人を相手にに3勝を上げた。1年おきの奇数期に挑戦者となってきた郷田九段の実績からすれば、今期は期待したい期である。
しかし、これも1回戦の丸山忠久九段戦が黒星スタート。2回戦の藤井九段戦で敗れると2連敗となり、今期の昇級者が渡辺竜王、久保二冠という実力者二人であることを考えると、挑戦どころか、陥落を心配しなくてはならなくなる。
対戦相手の藤井九段もこの数年不調が続いてきたが、昨年あたりから復調の兆しが見え始め、今期もここまで10勝5敗。先日行われた王座戦の挑戦者決定戦では深浦康市王位を降して久々のタイトル挑戦を決めた。
ただ、郷田vs藤井の対戦成績は、郷田九段が21勝10敗とダブルスコアで勝ち越しており、さらに順位戦では7勝1敗ということらしい。確かに、1回戦で両者が対戦した前期(第68期)のA級順位戦でも、藤井九段が必勝の態勢を築いたものの最後の最後で間違えて郷田九段が逆転勝利している。
さて、今回はこれまでの対戦成績通り郷田九段が勝利を手にするのか、最近の復調を反映して藤井九段が勝利するのか、どちらであろうか。

昨日(2010年8月26日)の午前10時から始まった今期の対局は郷田九段の先手。居飛車に構えた郷田九段に対し、振り飛車党の藤井九段は中飛車の美濃囲いから金銀1枚づつの銀冠に。郷田九段の玉の守りは舟囲いの変形。序盤の細かい応酬の中で角交換。郷田九段の2筋の歩が着実に前進し、73手目に「▲2三歩成」と「と金」に昇格した。一方、藤井九段は郷田陣の手持ちの角を打ち込み、馬を作った。この郷田九段の「と金」と藤井九段の「馬」のどちらがより働くかが焦点になる。
その後、郷田九段も藤井陣の角を打ち込み相手陣の桂馬を取って「馬」に成り、「馬」と「と金」で攻める体制を整えた。「馬」は飛車と差し違えの形で役目を終えたが、「と金」は藤井陣の飛車を取り、最後は▲7二まで進み、玉の守りの要の金を取って王手をかけるまで、大いに働いた。一方、藤井九段の「馬」は、△1九馬と郷田陣の香車を1枚取っただけで終局まで△1九から動けず不発、取った香車も使われないままだった。
郷田九段が馬と差し違えで手にした飛車は、すぐさま藤井陣に打ち込まれ、藤井玉を横腹から狙う。自陣にいたもう1枚の飛車取りを放置しての「▲7二と」は寄せに行った手で、すでに郷田九段勝勢。そこからほどなく藤井九段の投了となった。

これで郷田九段は1勝1敗の五分に戻し、藤井九段は2連敗。2回戦終了時のA級棋士10名の成績は以下の通りである。

2勝0敗:
森内俊之九段(今期順位3位)
谷川浩司九段(同6位)
1勝1敗:
三浦弘行八段(同1位)
丸山忠久九段(同4位)
木村一基八段(同5位)
郷田真隆九段(同7位)
渡辺明竜王(同9位)
久保利明二冠(棋王・王将)(同10位)
0勝2敗:
高橋道雄九段(同2位)
藤井猛九段(同8位)

郷田九段には残り7戦を全勝して、3回目の名人挑戦、初の名人獲得を成し遂げてほしいものである。

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