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2010年9月26日 (日)

NHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』最終回、これは大人のためのファンタジーではないだろうか

昨日(2010年9月25日)は、好評だったNHKの朝の連続ドラマ『ゲゲゲの女房』の最終回だった。漫画家水木しげるの夫人武良布枝のエッセイ『ゲゲゲの女房』(実業之日本社)を原案にドラマシナリオを作られ、主役の村井布美枝役を松下奈緒、夫である水木しげる役を向井理が演じてきた。
放送開始当初15%程度だった視聴率は、回が進むにつれ徐々に上昇し、最近では週平均で20%を超える人気となっているとのこと。最終回前日の昨日には、TBSの「金スマ」で 『水木しげる&「ゲゲゲの女房」布枝夫婦』と題したブームに便乗した番組まで放送されていた。

『ゲゲゲの女房』というタイトルの本を書店で最初に目にした時、そのタイトルにひかれ思わず手に取った。わずか6文字だが、すべてを語るのそのネーミング。このエッセイが広く読まれたことで、このドラマが生まれることになったのだろうから、このタイトルを思いついた編集者が今回のドラマヒットの功労者の最初の一人だろう。

ゲゲゲの女房
ゲゲゲの女房

1960年生まれの私は、小学生時代にTVアニメの初代『ゲゲゲの鬼太郎』(1968年放送開始)を見て育った世代であり、オープニングに流れる熊倉一雄が歌う「げっ、げっ、げげげのげ~」という独特のフレーズは今でも耳の残っている。また、人間の弱さ、ずるさを体現したような「ねずみ男」というキャラクターが、決して敵役になることなく鬼太郎の側にいることも、勧善懲悪のストリーになりがちだった当時の他のアニメとの違い印象に残っている。そんな鬼太郎が、どのように生まれてきたのか、おそらく我々の世代を始め、ゲゲゲの鬼太郎を見て育った世代にとってエッセイの『ゲゲゲの女房』に対する興味はそこにあったと思う。

これまで、NHKの朝の連続ドラマは、仕事の持つ女性の半生を描くものがほとんどだったが、今回は「専業主婦」の半生。そこが家庭の中で、家事・子育てなどに苦労する主婦層にとって自分たちを描くドラマとして支持されたのであろう。
また、ある経営者のブログで、ドラマ前半の極貧時代を自らの過去に重ねて見ているとの内容に記事を見かけたことがある。南洋の最前線で生き残り、復員後も何度もくじけそうになりながら、自らの才能を信じ、黙々と漫画を書き続け、最後には認められ成功をつかむ夫水木しげるの姿が、団塊世代あるいはそれ以前の世代の男性諸氏には、戦後日本での自らの半生と重ねるところがあり、共感を呼んだのだろう。

多くの人が興味を持ち、共感を持つドラマであったということだろう。

また、このドラマで描かれたのは、日本の高度成長時代、明日を夢見ることができた昭和の時代である。NHK版「ALLWAYS 三丁目の夕日」でもあった。また、その中で夫が懸命に働き、妻がそれを支えるという昭和の価値観を再現してみせた。

私の妻は、水木しげる役の向井理が二枚目すぎると評したが、私は、NHKはあえてハンサムな彼を選んだのではないかという気がする。
当代の美男美女の代表としての松下奈緒、向井理が水木夫妻を演じ、水木の両親を演じた風間杜夫、竹下景子はいわば昭和の2枚目俳優とお嫁さん候補No.1女優。布美枝の母親役の古手川祐子もかつての青春スターだった。

水木しげるの描く妖怪の世界は「見えないものを見る」世界であり、その背景のあるものはスピリチュアルなもの、日本のアニミズムでもある。それはある種のファンタジーでもある。

エッセイ『ゲゲゲの女房』の帯には、ドラマの原案とは書かれているが、原作とは書かれていない。それは、このドラマが武良布枝のエッセイ『ゲゲゲの女房』を下敷きに、水木夫妻の半生を再現しているように見えて、その実、夫妻の姿を借りて、不況にあえぐ現代の日本人が見たいと思っていた「古き佳き昭和を懐かしむ大人のためのファンタジー・ドラマ」を目指したからではないかと思う。
どこか昭和の雰囲気を感じさせる「いきものががり」の主題歌「ありがとう」の曲と共にドラマが始まる時、視聴者はつかの間にファンタジーの世界に誘われたのではないだろうか。
大人のためのファンタジーだからこそ、水木しげる役は、ご本人を彷彿とさせる少しおどけた三枚目の俳優ではなく、学生時代に生命科学を学び国際的な賞までとったという二枚目俳優の向井理だったのではないかと思う。(長身の主役松下奈緒の相手役には、彼女を上回る長身の俳優が求められたという理由もあるとは思うが)

<ドラマ放映前に私が読んだ水木しげるの関連書籍>

水木 しげる
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-03-25
<追記>
この記事をアップロードしたあとに、NHKドラマの制作に関わった人々のコメントをまとめているブログの記事を見つけた。NHKのホームページにも出ているようだが、ドラマの放映終了とともに、いずれ消されるだろうから、こちらにリンクを張らせていただく。
<ドラマのDVD>

ゲゲゲの女房 完全版 DVD - BOX 2
ゲゲゲの女房 完全版 DVD - BOX 2

ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX3(完)
ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX3(完)

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