« 久保利明棋王・王将への挑戦者は誰になるのか? | トップページ | 第5回国際会計基準(IFRS)検定を受検した »

2010年11月30日 (火)

第60期王将戦での久保王将への挑戦者は20歳の豊島将之五段

2011年1月から始まる将棋の第60期王将戦の挑戦者決定リーグの7回戦3局が10月29日にいっせいに行われた。

注目は、何と言っても注目は、4勝1敗どうしが激突する佐藤康光九段vs豊島将之五段戦。勝った方が、5勝1敗の単独1位となり挑戦者となる。
挑戦者を決める将棋は、お互いに角道を開け、飛車先の歩を伸ばしあう、横歩取り模様で進む(棋譜中継を見ると、本局も含め、羽生vs深浦、渡辺vs森内の3局全てが、申し合わせたように同じ出だしだった)。
先手の佐藤九段は横歩は取らず、▲2六飛と構えて浮き飛車に。豊島五段も△8四飛と構え、豊島五段が角交換に出て、盤上の中央で飛車が左右に動き、角を打ち合う展開となった。
佐藤九段は豊島陣に角を打ち、香車を取って「馬」作ったが、豊島五段は香損にかまわず、1筋から端攻めを敢行。連続攻撃で、佐藤陣の右辺の攻略に成功し、さらに質駒となっていた佐藤九段の飛車を角で取り、その飛車をすかさず守りの薄くなった佐藤陣に打ち込み、勝負に出た。
佐藤九段も香を打って王手をかけるなど、ジャブを繰り出しつつ、自陣には金を打って、防戦を試みるが、豊島五段が飛車が竜へと変わり、佐藤玉を容赦なく追い続ける。竜に下から追い立てられるようにして佐藤玉は、自分の馬が陣取る相手の8筋・9筋への入玉に一縷の望みを託し自陣を脱出。
入玉には成功するが、豊島五段は自陣でも佐藤玉に覆い被さるように、攻め続け、佐藤玉は受けなしに追い込まれた。佐藤九段も最後の反撃に出るが、豊島玉に詰みはなく、無念の投了となった。
弱冠20歳の新鋭豊島将之五段の久保利明王将への挑戦が決まった。タイトル挑戦を決めたことで、豊島五段は六段に昇段も決めた。今期、好調でタイトル復帰も間近かと思われた40歳の佐藤康光九段は、自分の半分の年齢の若者にその道をはばまれた。

第60期王将戦リーグ7回戦▲佐藤康光九段-△豊島将之五段戦の棋譜

豊島将之五段は16歳で四段昇段を決め、当時から「将来の名人候補」と言われていた。順位戦ではC級2組を3年で通過。今期からC級1組に在籍している。昨年度(2009年度)は、59戦で45勝14敗、勝率0.7627の成績を残し、最多勝利賞・勝率一位賞と、名人候補の名に恥じない実績を残した。

とはいえ、若い棋士がタイトル戦の挑戦者となるのは簡単なことではない。特に、王将戦は、B級1組以下の棋士で1次予選(8組~10組のトーナメント)があり、各組を制した8~10名程度の棋士だけが2次予選に進む。2次予選では、前期リーグ陥落者3名、タイトルホルダー、A級棋士計20名前後が3組のトーナメントに別れ、新たにリーグ入りする3名を決める。
さらに、前期からのリーグ残留者4名と今期リーグ入りを決めた3名でリーグ戦が行われ、その優勝者だけが、挑戦者となれる。

仮に1次予選が突破できても、タイトルホルダー、A級棋士の集まる2次予選で敗退してしまうケースが大半である。

豊島五段は、昨年度(2009年度)、1次予選を突破、2次予選でも横山泰明五段、高橋道雄九段、藤井猛九段を破って初のリーグ入りを果たした。しかし、リーグ戦では、2勝(渡辺竜王、三浦八段)4敗(久保棋王、深浦王位、佐藤九段、森内九段)に終わり、リーグを陥落。
今年度(2010年度)は2次予選からの再スタートだった。今回は、谷川浩司九段、丸山忠久九段を破って、リーグに復帰。リーグ戦では初戦の渡辺竜王戦には敗れたものの、森内九段、深浦九段、三浦八段、羽生名人に勝って4勝1敗。そして、最終戦で佐藤九段にも勝って挑戦を決めた。2年をかけての挑戦権獲得と言えるだろう。

どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語
どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語

昨日の記事で紹介した梅田望夫著『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語』(中央公論新社)での世代分類でいえば、今回の王将戦は、羽生世代の「ちょっと下の世代」である久保利明王将(1975年生)への挑戦権を「羽生世代」の佐藤康光九段(1969年生)と渡辺竜王(1984年生)より「もっと若い世代」の豊島将之五段(1990年生)が争って「もっと若い世代」が勝ったという構図になる。

これは広瀬新王位が誕生した今期の王位戦と同じ構図なのだ。「ちょっと下の世代」の深浦康市王位(1972年生)への挑戦権を、「羽生世代」の羽生名人(1970年生)と「もっと若いの世代」の広瀬章人五段(当時、1987年生)が争って、「もっと若い世代」が勝った。王位戦では、さらに「もっと若い世代」の広瀬挑戦者がタイトルまでもぎ取っていったが、果たして王将戦ではどうであろうか。

「もっと若い世代」が急激に台頭する中で、「渡辺竜王を中心とする世代」では、渡辺竜王以外にタイトルをつかめる棋士が出て来るのか。「羽生世代」やその「ちょっと下の世代」はどう迎え撃つのか。
『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?』で語られる通り、これから10年の将棋界の新旧世代の戦いは、その人間ドラマも含めて、目が離せないかも知れない。それを感じさせた、王将戦の挑戦者決定戦だった。

最後に、残る2局、羽生名人vs深浦九段戦は羽生名人の勝利。渡辺竜王vs森内九段戦は森内九段が意地を見せ、リーグ戦初白星をあげた。

今期の王将戦挑戦者決定リーグ戦の最終結果は以下の通り。

1位:豊島将之五段(5)5勝1敗(王将位挑戦)
2位:佐藤康光九段(2)4勝2敗
3位:羽生善治名人(1)3勝3敗(残留)
4位:渡辺 明竜王(5)3勝3敗(残留者決定戦戦へ)
4位:三浦弘行八段(5)3勝3敗(残留者決定戦へ)
6位:深浦康市九段(3)2勝4敗(陥落)
7位:森内俊之九段(4)1勝5敗(陥落)

( )内は今期のリーグ戦での順位・序列である。前期リーグ残留者は前期の成績で1位から4位までの順位付けがされていて、今期リーグ入りした3人は同列の5位。同成績の場合は、このリーグ戦順位が優先するので、3勝3敗で3人が並んだが、羽生名人の残留は確定。渡辺竜王と三浦八段は、後日、最後のリーグ残留枠を賭けて戦うことになった。

|

« 久保利明棋王・王将への挑戦者は誰になるのか? | トップページ | 第5回国際会計基準(IFRS)検定を受検した »

将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/168560/50170158

この記事へのトラックバック一覧です: 第60期王将戦での久保王将への挑戦者は20歳の豊島将之五段:

« 久保利明棋王・王将への挑戦者は誰になるのか? | トップページ | 第5回国際会計基準(IFRS)検定を受検した »