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2011年1月15日 (土)

第69期A級順位戦7回戦終了、6勝1敗の森内俊之九段を5勝2敗の渡辺明竜王が追いかける

先週、将棋のA級順位戦の7回戦の5局が3日連続で行われた。

まず、2011年1月12日(水)が、丸山忠久九段(3勝3敗、今期順位4位)と三浦弘行八段(2勝4敗、同1位)の対戦。前期名人挑戦者で今期のA級順位1位の三浦八段はすでに4敗で連続挑戦はほぼ絶望的な状況。これに負けて5敗となると、残り2戦の結果次第では、名人挑戦の翌期に降級という不名誉な記録を作りかねない。一方、丸山九段が勝って3敗を守れば、プレーオフによる挑戦権獲得の可能性が残る。
先手丸山九段居飛車、後手三浦八段中飛車から丸山九段が快調に攻めたが、三浦八段の要所要所での受けの妙手もあり、詰みそうで詰まず、三浦八段が勝利。ともに3勝4敗となった。

1月13日(木)には、大阪で3勝3敗どうしの郷田真隆九段(今期順位7位)と久保利明棋王・王将(今期順位10位)の対戦。勝った方はプレーオフの可能性が残るが、負けた方は、お互い順位が下位だけに2勝4敗の棋士の成績次第では、一気に残留争い組に転落する。
先手久保二冠の三間飛車を居飛車で迎えうった郷田九段だったが、馬を2枚作った久保二冠が局面を終始リードし、本格的な戦いを迎える前に、郷田九段としては攻め手を欠く状況に陥り85手で投了。久保二冠の作戦勝ちといった将棋だった。郷田九段の今期のA級の戦いの中で最も不出来な内容だった。4勝3敗とした久保二冠は挑戦者レースに踏みとどまり、A級残留に大きく近づいた。郷田九段は挑戦者レースから完全に脱落。順位7位のポジションでの3勝4敗は残留に黄色信号が点滅しそうだ。

同じく13日、東京では5勝1敗でトップを走る森内俊之九段(今期順位3位)に、藤井猛九段(2勝4敗、同8位)が挑む。藤井九段は、今期の順位が下位であるため、3人いた2勝4敗グループの中でも最下位。おまけに、前日、三浦八段が勝って3勝4敗と星を伸ばしたため、勝っておきたい。
先手森内九段の居飛車、後手藤井九段の四間飛車で始まったが、57手で千日手が成立。先後を入れ替えて、指し直しとなった。相矢倉の展開で、藤井九段は自玉は森内九段の攻めをかわして入玉に成功、一方森内玉をほとんど追い詰めたに見えたが、246手の末のまさかの大逆転。森内九段は6勝1敗として挑戦者レースのトップを守った。森内九段が6勝目をあげたことで、7回戦終了時点で4敗した棋士には名人挑戦の可能性はなくなった。2勝5敗となった藤井九段は他の棋士の成績如何ではあるが、A級残留が厳しくなってきた。

さらに翌14日(金)。大阪で2番手につける4勝2敗の谷川浩司九段(今期順位6位)と2勝4敗の高橋道雄九段(同2位)の対戦。谷川九段は勝って挑戦権レースに踏みとどまりたい。高橋九段は負けると、これも残留に黄色信号。勝てば、順位が2位といいだけに一息つける。戦型は後手の高橋九段の注文を谷川九段が受ける形で横歩取りに進んだ。谷川九段が角交換から高橋陣に角を打ち込み馬を作ったが、この馬が封じ込められてうまく働かない。一方、高橋九段は飛車先の突破をにと金作りに成功した。その後、飛車交換から飛車を相手陣に打ちあうが、後手番横歩取りにスペシャリスト高橋九段の攻めがまさり、午後9時20分74手で谷川九段の投了となった。谷川九段は4連勝後の3連敗で6勝1敗の森内九段と星2つの差となった。高橋九段は大きな3勝目をあげた。

同じ14日、東京では、これも4勝2敗の渡辺明竜王と(今期順位9位)と、2勝4敗(同5位)の木村一基八段の対戦。2人の事情は、前の谷川九段、高橋九段と同様である。
先手木村八段の▲7六歩に対して、後手の渡辺竜王は堂々と△8四歩。6回戦では、角換わりの将棋となり用意していた新手が郷田九段の応手の前に敗れたが、今回も採用した。木村八段も、先手有利とされる角換わりを選択。木村八段は角打ちから「馬」を作ったが、渡辺竜王はその代償に飛車が木村陣成り込みに「竜」となった。その後は、渡辺竜王が攻めの主導権を握り、渡辺竜王が細い攻めをつなげ、木村八段が受けの妙手を出しなんとかそれをかわそうとする展開が続いたが、最後は渡辺竜王が木村玉を追い詰め、木村八段の投了となった。
渡辺竜王は5勝2敗と2敗を維持し、森内九段を1差で追う。一方、木村八段は2勝5敗となり、藤井九段と2人、7回戦終了時点で「降級圏(下位2名)」に名を連ねることになった。また、5敗者が2名となったため、5勝目をあげた渡辺竜王のA級残留も確定した。今期のB級1組からの昇級者である渡辺竜王の残留が決まったことで、前期からのA級在籍者8名のうち森内九段を除く7名の中の誰か1名は降級せざるを得ないことが確定した。

7回戦を終えた時点の成績は以下の通り。
6勝1敗:森内九段(今期順位3位)
5勝2敗:渡辺竜王(同9位)
4勝3敗:谷川九段(同6位)、久保二冠(同10位)
3勝4敗:三浦八段(同1位)、高橋九段(同2位)、丸山九段(同4位)、郷田九段(同7位)
2勝5敗:木村九段(同5位)、藤井九段(同8位)

順位が8位の藤井九段はあと残り2戦のうち1敗すると、自分より下位の渡辺竜王、久保二冠がすでに4勝以上あげていること、3勝4敗者がいずれも自分より上位のため、9位か10位となることが確定してしまい降級が決まる。8回戦丸山九段戦、9回戦高橋九段戦はどちらも負けられない。
一方、木村八段より順位が上位で3勝4敗の三浦八段、高橋九段、丸山九段はあと1勝して4勝となれば木村、藤井が残り2戦全勝で4勝5敗となっても順位で上回るため、残留が確定する。

8回戦、9回戦では、現在の2勝5敗者と3勝4敗者の対戦が多く残されていて、その結果が、降級・残留に大きく影響する。
8回戦:三浦八段(3勝4敗)vs高橋九段(3勝4敗)、丸山九段(3勝4敗)vs藤井九段(2勝5敗)
9回戦:三浦八段(3勝4敗)vs木村八段(2勝5敗)、高橋九段(3勝4敗)vs藤井九段(2勝5敗)
毎年のことではあるが、やはり勝負の世界は厳しい。

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