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2011年2月 7日 (月)

第69期A級順位戦8回戦終了、挑戦も降級も最終戦へ持ち越し

2011年2月2日、将棋の第69期A級順位戦8回戦5局の一斉対局が行われた。下位のクラスと違いA級は7回戦までは全局を同日に行うことはないが、8回戦、9回戦は名人挑戦権、残留・降級にかかわる対局がほとんどなので、同日にいっせいに行われる。

7回戦までの成績は、
6勝1敗:森内俊之九段(順位3位)
5勝2敗:渡辺明竜王(同9位)
4勝3敗:谷川浩司九段(同6位)、久保利明棋王・王将(同10位)
3勝4敗:三浦弘行八段(同1位)、高橋道雄九段(同2位)、丸山忠久九段(同4位)、郷田真隆九段(同7位)
2勝5敗:木村一基八段(同5位)、藤井猛九段(同8位)

東京、大阪の将棋会館でそれぞれ対局が組まれていている。(▲先手、△後手)
東京が
△森内九段(6-1)-▲郷田九段(3-4)
▲三浦八段(3-4)-△高橋九段(3-4)
△丸山九段(3-4)-▲藤井九段(2-5)
大阪が
▲渡辺竜王(5-2)-△谷川九段(4-3)
▲久保棋王・王将(4-3)-△木村八段(2-5)

森内九段が勝って、渡辺竜王が負ければ森内九段の名人挑戦が決まる。
藤井九段は負ければ降級が決まる。木村八段は、郷田九段が勝った場合に、負けると降級が決まる。

最初に決着したのは、東京の三浦vs高橋戦。三浦八段の先手で始まった対局は双方が「得意とする横歩取りに進む。高橋九段の右の桂馬が二段飛びで盤中央に躍り出て、さらに三浦陣に成りこみ、三浦陣の左の桂馬と交換に。さらに、高橋九段は飛車交換を催促して飛車を展開して飛車取りにぶつけるが、三浦八段が飛車先に歩を打って拒否。結局、この手が疑問手だったようで、三浦八段の飛車の行き場が制限され、また玉に近いところに桂馬を成りこまれ桂交換となったことで守りの形も乱されて、以後は高橋九段が局面をリード。三浦八段に逆転の機会を与えずに押し切り、午後10時すぎには三浦八段の投了となった。
高橋九段は4勝4敗とし、今期の順位が2位と上位にいることから、上位8人以内に入ることが確定しA級の地位を維持した。一方、敗れた三浦八段は3勝5敗となり、残留が決まるかどうかは他の棋士の成績次第となった。

次は、同じく東京で行われていた森内vs郷田戦。後手の森内九段がゴキゲン中飛車に構える。居飛車党の印象がある森内九段なので意外な感じがする。先手郷田九段は居飛車で対応。ゴキゲン中飛車の定跡に余り詳しくないので、解説の受け売りだが、森内九段が△3三角と上がった角をを支えるためゴキゲン中飛車では実戦例の少ない△3二銀(12手目)と組んだのに対し、その後の応酬ののち郷田九段の19手目▲3八金がこれまで奨励会でしか指されたことがないようないわば新手。しかし、この郷田九段の▲3八金に森内九段側は思わしい対抗手がなく、一歩損を強いられることに。トップレベルの棋士同士での序盤での一歩の差は大きい。森内九段が局面を打開できない中、郷田九段が自陣の守りを、銀冠さらに穴熊へと固めていき、自陣を固めたところで開戦。序盤で手にした一歩得の歩を▲2二歩打ち込み、▲2ー歩成りと桂馬を捕獲した上、と金ができた。あとは、郷田九段が徐々にリードを広げていく展開。日付が変った直後、万策尽きた森内九段の投了となった。局後、「19手目の▲3八金以下は指してみただけ」と森内九段が語るほど、▲3八金の一手で決まった将棋だったようだ。
7回戦では、久保棋王・王将の作戦に序盤で完敗した郷田九段だったが、挑戦権レースを単独トップで快走していた森内九段を一撃で仕留め、郷田一刀流の面目躍如、会心の勝利だろう。
森内九段は6勝2敗。郷田九段は4勝4敗。すでに自分より順位が下位で2勝5敗の藤井九段が残りを連勝して4勝5敗でも順位差で上位となること、三浦八段が敗れて3勝5敗となり、木村八段が勝って3勝5敗としても、9回戦が三浦vs木村戦であり、どちらかが3勝6敗となるため、郷田九段の今期の8位以上が確定しA級残留が決まった。

残る3局は3日の午前1時を過ぎるまで戦われた。
3局目に決着したのは、挑戦権レース生き残りをかけた大阪での渡辺vs谷川戦。こちらも後手の谷川九段がゴキゲン中飛車を選択。攻めていた渡辺竜王がいったん受けに回るなど攻守に入れ替わりもあり、解説の棋士たちの見解も定まらない難解な勝負だったが、谷川九段の攻めが届かず、最後は渡辺竜王が谷川玉を追い詰め、午前1時11分谷川九段投了。
勝った渡辺竜王は6勝目をあげて森内九段と並び、9回戦で名人挑戦を目指す。一方、谷川九段は4連勝後の4連敗で挑戦レースからは脱落。5勝1敗から3連敗で挑戦を逃した前期と同じような展開になってしまった。

負ければ降級藤井九段、木村八段の対局が続く。

4局目に決着したのが、丸山vs藤井戦。先手の藤井九段が四間飛車。早々に角交換を行い、お互い持ち駒に角を持ちながら手を進める。結果的に藤井九段が攻めの主導権を握り、丸山玉を攻める。丸山九玉は早逃げで3筋から9筋まで攻めをかわしながら逃げたが、藤井九段も冷静に攻め続け、最後は角2枚が守る丸山玉をと金3枚が追い詰めた。双方1分将棋、155手の長手数の末、1時31分に丸山九段投了。
藤井九段は貴重な3勝目を上げ、8回戦での降級をなんとか回避した。順位戦終盤になるとしぶとさを見せる藤井将棋、今年も健在だ。

最後まで続いたのが、久保vs木村戦。順位7位の郷田九段が4勝目を上げたことで、順位5位ながらまだ2勝の木村八段は、負けると降級が確定するピンチとなった。相手は、昨年から好調の久保棋王・王将。A級も初戦勝利のあと3連敗と降級の危機を思わせたが、その後3連勝。4勝3敗と勝ち越し、勝って5勝目を上げれば、残留にとどまらず、上位棋士の成績次第では挑戦に向けたプレーオフの望みも出てくる。
先手久保二冠の中飛車穴熊に対して、木村八段の居飛車銀冠。この勝負は長かった。なんと198手。終了が1時50分。途中から、木村八段の攻めとなっったが、何度も穴熊を補強して粘る久保二冠。最後は、久保の勝負手も、木村にうまくかわされ、久保二冠の投了となった。

結局8回戦は、渡辺-谷川戦以外の4局は、7回戦までの成績が下位だった方が勝った。

6勝2敗:森内俊之九段(順位3位)、渡辺明竜王(同9位)
4勝4敗:高橋道雄九段(同2位)、谷川浩司九段(同6位)、郷田真隆九段(同7位)久保利明棋王・王将(同10位)
3勝5敗:三浦弘行八段(同1位)、丸山忠久九段(同4位)、木村一基八段(同5位)、藤井猛九段(同8位)

3敗がいなくなり、挑戦者レースは森内、渡辺に絞られた。一方、藤井、木村の二人に黄色信号が点いていた降級争いは混沌としてきた。3勝5敗の4人、9回戦は三浦vs木村戦が組まれているので、負けた方が降級。丸山、藤井が勝って4勝5敗となった場合に、久保二冠が負けて4勝5敗となると順位差で久保二冠に降級の椅子が回ってくることになった。

3月2日の最終9回戦の組み合わせは次の通りで、谷川vs郷田戦以外は挑戦、残留が懸った戦いになる。
▲森内(6-2)-△久保(4-4)<挑戦vs残留>
△渡辺(6-2)-▲丸山(3-5)<挑戦vs残留>
▲谷川(4-4)-△郷田(4-4)<来期の順位争い>
▲高橋(4-4)-△藤井(3-5)<藤井は負ければ降級>
△三浦(3-5)-▲木村(3-5)<勝った方が残留、負けた方が降級>

降級の可能性が残る久保二冠以下の5人の残留の条件は以下の通り。

久保二冠:勝ち→残留、負け→丸山・藤井のどちらかが負ければ残留
丸山九段:勝ち→残留、負け→藤井が負ければ残留
藤井九段:勝ち→久保・丸山の両方勝てば降級、どちらかが負ければ残留、負け→降級
三浦八段・木村八段:他棋士の成績に関係なく、勝ち→残留、負け→降級

(訂正:正しくは負けて即降級は木村八段のみ、三浦八段は負けても、藤井九段・丸山九段がともに敗れれば降級を免れる)

3月2日のA級順位戦最終9回戦、今年の「将棋界の一番長い日」は、すさまじい一日になりそうだ。

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コメント

いきなり失礼致します。
三浦八段は最終9回戦に敗れた場合でも、丸山・藤井両方が敗れれば残留となりますよhappy01

投稿: | 2011年2月24日 (木) 01時53分

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