第69期名人戦七番勝負第2局も挑戦者森内俊之九段が羽生善治名人を破り2連勝
挑戦者森内俊之九段の先勝で迎えた第69期名人戦の第2局は、2011年4月 20日、21日と浜松市で行われた。
第1局は振り駒で先手となった森内九段が勝ち、第2局では羽生名人が先手。戦型は相矢倉模様の展開となり、初日午後に指された28手目△5三銀までは、2009年度の第68期A級順位戦6回戦の森内九段vs郷田九段と同じ手順で進んだ。その時は、先手:森内、後手:郷田で郷田九段が勝利しているが、今回は先手側を羽生名人、後手側を森内九段と森内九段は立場が入れ替わっている。
羽生名人が29手目▲5八飛と指し、▲5四歩とした森内vs郷田戦と離れたが、羽生名人の▲5八飛は森内vs郷田戦の感想戦の中で、有力な変化手順として検討されたことが、当時の「棋譜速報」の解説に追記されている。
羽生名人が選択した▲5八飛は、その後、お互いの飛車・角を取り合う激しい展開となり、初日の封じ手を挟んで、一気に終盤戦に突入した。その後、羽生名人に有力手の見落とし、森内九段に受けの妙手が出て、形勢は一気に森内優位に傾き、森内九段の68手目△2二玉を見て羽生名人が投了。2日制の対局にしては早い16時28分の終局となった。
2度目の名人復位を目指す森内九段は、羽生名人の先手番を破っての2連勝。前回2人が戦った第66期名人戦の帰趨が、後手番での勝利にあったことを思えば、相手の先手番を破っての2連勝で更に次は自分の先手番という有利な状況で、森内九段は第3局を迎えることになった。また、森内九段はこの勝利で通算800勝を達成、白星に花を添えた。
これまで、森内九段は挑戦者として名人戦に4回登場しているが、初挑戦だった第54期こそ羽生名人の前に1勝4敗で敗れたものの、第60期(対丸山忠久名人)、第62期(対羽生善治名人)では、いずれも2連勝のスタートで、それぞれ4連勝、4勝2敗で名人位を奪取している。
ここまでの2戦の内容を見ると、完全に森内九段ペースの七番勝負の展開になっているように見える。とはいえ長丁場の名人戦七番勝負。ちょっとしたことで勝負の流れが代わるのもままあることでもある。
森内九段がこの流れに乗って、一気に名人復位を果たすのか、羽生名人が底力を見せつけるのか、やはり宿命のライバル対決は、目が離せない。
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