「ボクらの時代」をきっかけに、有川浩の『図書館戦争』シリーズにすっかりはまる
1ヵ月ほど前だったか日曜日の朝、起き抜けにたまたまテレビをつけるとトーク番組「ボクらの時代」(改めてネット検索で確認すると、放映日は2011年5月1日(日)、フジテレビ)とを放送中だった。
話していたのは、原作が映画化された作家ということで、万城目学(まきめまなぶ)、有川浩(ありかわひろ)、湊かなえの3人。
ちょうど、その頃、映画の原作として文庫化されたばかりの万城目学の『プリンセス・トヨトミ』を読んでいた。
すでに『鴨川ホルモー』、『鹿男あおによし』は読んでいて、関西3部作の最後を飾る『プリンセス・トヨトミ』も文庫化されたら読もうと思っていたのだ。
3作とも奇想天外、荒唐無稽なホラ話だが、ホラ話もここまで大ボラになれば、笑うしかない。しかし、背景にある歴史の知識や、リアリティーのある作中の人物像は、ホラ話をひょっとするとこんなこともあるかもと思わせるところがあり、読み始めるや、読者はあっという間に万城目ワールドに引き込まれてしまう。
そのホラ話の作者はどんな人だろうという興味で見始めたが、いったて普通の青年あった。
この番組を見て、一番驚いたのは、有川浩が女性だったことである。漢字の名前から、てっきり「ありかわひろし」という男性だとばかり思っていた。(Wikipediaにも「名前の浩が「ひろし」と読めるため男性だと勘違いされることも多い」と書かれている。)
こちらは『阪急電車』が映画化。
「子どもの頃からお話を考えるのが好きだった」という。関西弁も交えた軽妙な語り口は、どこか人を惹きつけるものがある。
すぐに本屋で『阪急電車』とこれも文庫化されたばかりの図書館戦争シリーズ2冊『図書館戦争』『図書館内乱』を買った。
『図書館戦争』もその一風かわったタイトルからずっと気になっていたが、手に取ったのは初めて。私が夢中で読んだ佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』が2007年の第4回本屋大賞を受賞した時の第5位が『図書館戦争』だった(ちなみに第6位が『鴨川ホルモー』)。
『図書館戦争』を読み始めると、すっかり引き込まれてはまってしまった。舞台は、近未来をイメージしているのか、図書に検閲が行われるようになっている日本。メディア良化委員会という組織が有害図書を検閲し没収する。そのような時代の中で、図書館は「図書館の自由」の精神のもと、検閲本も含め、収集・閲覧・貸出を続けるが、それを守るためための組織として武装した図書隊という組織を有している。
話は、志願して図書隊に入った女性新人隊員笠原郁と彼女の周りの人間関係を描く。
この図書館シリーズも万城目ワールドとは趣は違うが、架空の作り話(その後、東京都で性描写等で有害とされた漫画を規制する条例改正案が可決されたことを思えば架空の話ともいえないかしれない)であるのだが、登場する人物像は実に丁寧に描かれており、こんな人いるかもしれないというリアリティが作品世界を支えている。
すでに『図書館戦争』『図書館内乱』は読み終わり、文庫化されたばかりの3作目の『図書館危機』を読み始めたところ。
これから、2011年6月に4作目『図書館革命』、7月にスピンオフ作品である『別冊図書館戦争Ⅰ』、8月に『別冊図書館戦争Ⅱ』が文庫化される。しばらく、良質のエンターテイメントが楽しめそうだ。
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