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2011年6月の記事

2011年6月22日 (水)

第69期名人戦七番勝負第7局、挑戦者森内俊之九段が羽生善治名人を破り3度めの名人位へ

挑戦者森内俊之九段の3連勝で始まった第69期名人戦も、その後復活した羽生名人が3連勝し、3勝3敗の五分に戻して、名人位の行方を決める第7局を迎えた。
羽生名人が七番勝負のタイトル戦では史上3回目、名人戦史上では初の3連敗後の4連勝で名人位の防衛を果たすのか、それとも最後の最後で森内九段が踏ん張り3度めの名人位を勝ち取るのか、宿命の戦いが昨日(2011年6月21日)から、甲府市で始まった。

振り駒で森内九段の先手。第1局、第5局に続き戦型は横歩取りとなった。後手の羽生名人は△8五飛に構え、47手目までは、前期の王将戦挑戦者決定リーグの羽生名人vs深浦九段戦と同じ展開とのこと。その時は、先手の羽生名人が勝っているが、今回は羽生名人が後手を持っている。
先手の森内九段は両方の桂馬を▲4五桂、▲6五桂と跳ね出して、後手の5三の地点を狙う。両者が守りを固める前に戦いが始まり、大駒の飛車と角が激しく動き回る。しかし、徐々に森内九段の攻めごまが羽生陣に橋頭堡を築きはじめる。
羽生名人もジャブを繰り出し粘るが、中盤以降は森内九段がややリードしていたということだろうか、いつの間にか羽生玉を守る駒は銀一枚となり、森内九段の攻め駒の包囲網が少しづつ狭められていく。その銀も剥がされ、万策尽きた羽生名人の投了となった。

これで、七番勝負は4勝3敗で森内九段の勝利。第66期名人戦七番勝負で羽生に敗れ、無冠となってから、約3年ぶりの名人復位である。この間、タイトル戦登場は2009年の第22期竜王戦七番勝負だけで、それも渡辺竜王の前に4連敗で敗退。その他の棋戦では挑戦者にもなれずとあきらかに不調だったが、得意の順位戦でA級を制し、宿敵羽生を破り、無冠を返上した。
羽生名人は、名人戦第4局で勝って以降、王位戦での挑戦権獲得、棋聖戦五番勝負第1局での勝利 、竜王戦の決勝トーナメント進出を8連勝と絶好調だったが、宿敵鉄板森内の前に3期維持した名人位を明け渡し、棋聖・王座の二冠となった。

これで、七大タイトルの分布は、羽生世代が羽生2冠(棋聖・王座)、森内1冠(名人)、羽生世代の直後の世代が久保2冠(棋王・王将)、渡辺世代が渡辺1冠(竜王)、渡辺より下の世代が広瀬1冠(王位)と各世代がタイトルを分け合う群雄割拠の時代となった。
40代を迎え、下の各世代からの追い上げられる羽生世代がまだまだ力を示し続けるのか、徐々に世代交代が進むのか。
当面は、羽生vs深浦の棋聖戦、広瀬vs羽生の王位戦の結果次第ということになるだろう。

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2011年6月21日 (火)

有川浩作品を続けて読んだ(2)、『県庁おもてなし課』、『三匹のおっさん』、『フリーター、家を買う。』

有川浩作品の世界にはまってしまった私は、文庫化されていない作品は図書館で借りようかと、一度、地元の図書館に行って書架をのぞいてみるが、「あ」行の棚にはそれらしい本は一冊もない。
備え付けの検索システムで作者「有川浩」で検索してみると、蔵書としての在庫は各作品5~8冊程度はあるのだが、もののみごとに、すべて貸出中となっていた。やはり、人気作家なのだと、おっくればせながら改めて認識した。

図書館が無理なら、自分で買うしかないと、最新刊で話題の『県庁おもてなし課』を買い、続けて『もう一つシアター!』にゲストとして登場する清田祐希のそもそもの登場作である『三匹のおっさん』、テレビドラマにもなった『フリーター、家を買う。』を順次読んだ。

『県庁おもてなし課』は、著者が出身地である高知県の観光特使に選ばれた経験をもとに書かれた作品。地元の観光振興のために作られた「おもてなし課」の職員の奮闘ぶりを描く。最初は、お役所仕事で格好悪いことこの上ない主人公の若き県庁マン掛水史貴が、仕事の中で、多くの人とかかわる中で、成長していく様子はほほえましい。
作品自体が、高知県の観光ガイドにもなっていて、一度、高知を訪ねてみたいと思わせる作品だ。著者の故郷への愛着を感じる。

県庁おもてなし課
県庁おもてなし課

『三匹のおっさん』は、還暦を迎えたキヨこと清田清一と子どもの頃からの遊び仲間であるシゲ(立花重雄)、ノリ(有村則夫)の三人(三匹)が自分たちの町で起きる数々の事件の解決に立ち上がるという話。そこに、キヨの孫である清田祐希と、祐希とは学校は違うが同い年になるノリの年の離れた娘有村早苗が絡んでくる。5人の周りでの巻き起こる様々な騒動を、三匹がいかに解決したかを、コミカルに語る。しかし、テーマとして取り上げられた騒動は、会社での不正、昔の同級生を語る詐欺、催眠商法など笑えない話題をさりげなく取り込んでおり、現代社会への風刺ともなっている。
うまく配役をすれば、テレビドラマにもなりそうな6話構成となっている。

三匹のおっさん
三匹のおっさん

『フリーター、家を買う。』は 、フジテレビで昨年(2010年)10月~12月にジャニーズの人気グループ嵐のメンバー二宮和也主演のドラマの原作である。ドラマは10回の放送の平均視聴率17.1%、最終回の視聴率は19.2%を記録した。                  
3ヵ月で就職先を退社してフリーターとなった武誠治が、母のうつ病をきっかけに再び働き始め、立ち直っていく姿を描くという基本的な枠組みは同じだが、ドラマの方が、話を膨らませてあり、原作にはない設定やエピソード含まれている。
小説自体は、他の有川作品とは異質の雰囲気を醸し出している気がする。あとがきによれば、フリーター生活を送る主人公は、作者有川浩その人と重なる部分も多いようだ。それゆえか、他作品では登場人物たちと適度な距離をおいて書かれているのだが、本作では、主人公と作者の距離感がすごく近いように感じた。

フリーター、家を買う。
フリーター、家を買う。

どの作品も、小説として読者を楽しませるという点では、高いレベルにあると思う。手元には、まだ読んでいない『阪急電車』と『レインツリーの国』があるし、今週中には図書館戦争シリーズの最終巻『図書館革命』が文庫化される。まだまだ、有川作品にはまる日々が続きそうだ。

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2011年6月20日 (月)

有川浩作品を続けて読んだ(1)、『図書館危機』、『シアター!』、『シアター!2』、『もうひとつのシアター!』

1ヵ月ほど前に、有川浩の『図書館戦争』シリーズを読み始めたら、すぐに既刊の『図書館戦争』『図書館内乱』は読み終わり、5月下旬の角川文庫の新刊『図書館危機』もすぐ読み終わった。(2011年5月25日:「ボクらの時代」をきっかけに、有川浩の『図書館戦争』シリーズにすっかりはまる)

シリーズ完結編の第4巻『図書館革命』の文庫化は6月下旬なので、その間、待ちきれないと、有川浩の作品を漁るように読んだ。

図書館戦争シリーズのアニメ化の際の声優の一人(沢城みゆき)が属している劇団の公演を見に行ったことがきっかけで作品が生まれた、劇団をテーマにした『シアター』シリーズ。

まずは、小説の『シアター!』、『シアター!2』。

劇団シアターフラッグを主宰する弟・巧(たくみ)が、劇団の赤字で300万円の借金を抱えることになり、サラリーマンの兄・司(つかさ)に泣きつく。弟には演劇に世界から足を洗ってほしいと思っている兄は、肩代わりを了解するが、今後、2年間の劇団の収益だけで返済すること、2年間で返済できない場合は劇団を解散することを条件として突きつける。そこから、兄と弟、劇団員たちの悲喜こもごもの日々が始まる。巧と個性的な劇団員たちは、果たして2年で300万円を返せるのか。

シアター! (メディアワークス文庫)
シアター! (メディアワークス文庫)

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)
シアター!2 (メディアワークス文庫)

シアターシリーズでは、モデルとなったシアター劇団子(げきだんご)が実際に公演した際のシナリオも『もう一つのシアター!』として文庫化された。
小説では、『シアター!』の話が終り、『シアター!2』の冒頭で、地方の高校から公演依頼が来てシアターフラッグが公演に行くというエピソードが挿入されているが、シナリオである『もう一つのシアター!』はその地方の高校での公演を巡るエピソードが有川浩の手でみごとに舞台化されている。

有川浩脚本集 もう一つのシアター! (メディアワークス文庫)
有川浩脚本集 もう一つのシアター! (メディアワークス文庫)

『シアター!』シリーズでは、作者有川浩は「何かを諦められる人は、それについて本気になって全力で取り組んだ人だけだ」というメッセージを伝えようとしている。本気になってそれでも自分の力が及ばないことを知ることが怖いので、本気を出し切れずにずるずるとやめきれないでいるのではないか?と問いかけている。

『シアター!』シリーズはまだ完結しておらず、話の結末が気になる。今後刊行予定の完結編『シアター!3』が待ち遠しい。

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2011年6月 2日 (木)

第69期名人戦七番勝負第4局の封じ手予想で当選、松尾歩七段の色紙が届いた

時々、自分では思いもしていなかったことが起きることがあるが、名人戦棋譜速報事務局から1週間ほど前に届いた「第69期七番勝負第4局「封じ手予想」当選のお知らせ」 というメールがそうだ。
思わず、我が目を疑った。郷田真隆九段のファンである私は、郷田九段が挑戦者として登場した第65期、第67期の七番勝負では毎回のように、封じ手予想に応募したが、予想が当たっても、正解者多数で、選に漏れ、賞品である扇子や色紙が送られてくることはなかった。

森内九段の4連勝での名人復帰か、羽生名人が土壇場で踏ん張るかで注目が集まった第4局。2日めの朝、何気なく棋譜中継の封じ手予想のリンクを開くと、森内九段の「見成」の色紙が目に入った。何となく惹かれるものがあった。羽生名人の封じ手は、候補にあがっている中では、森内玉に直接絡んでいく「▲1四歩」に違いないと思い、それを書いて応募。翌日、名人戦棋譜速報の掲示板で正解だったことを知ったが、何せ正解票は154票。
いくつ賞品が用意されているのかはわからないが、あとは自分には関係ない話と思っていた。
そうしたら、前述の当選お知らせメールである。あなたは当選してたので、賞品の送り先の住所を連絡せよとのこと。29日までに連絡がないと、他の応募者に権利を移譲するとのことで、すぐに住所を書いてメールを返信。

第5局の2日めを迎えた今日、賞品の色紙が届いた。開いてみると、中には、第4局の副立会人だった松尾学七段の「和楽」と書いた色紙。初めて手にしたプロ棋士の色紙である。

これも何かの縁と松尾七段について調べてみた。1980年3月生まれの31歳。所司六段門下で、弟弟子には渡辺明竜王がいる。驚いたのは、19歳で三段リーグに上がっているが、最初に参戦した平成10年度の後期の第24回三段リーグで14勝4敗で優勝。1期で三段リーグを抜けていることだ。
四段となりプロ棋士となってからも、C級2組3年、C級1組5年、B級2組2年とC級1組でやや足踏みしたとはいえ、順調に昇級し、「鬼のすみか」とも言われるB級1組でも1年目8勝4敗(5位)、2年目7勝5敗(4位)。7勝5敗で終えた昨年度も、最終戦で屋敷伸之九段とA級昇級を賭けた直接対決で惜しくも敗れ、A級昇級を逃したが、いつA級にあがってもおかしくない実力派である。
松尾七段の将棋で印象深いのは、3年前の第67期順位戦のB級2組9回戦ででの先崎学八段との一戦である。ここまで7勝1敗の先崎八段は勝てばB級1組復帰が決まる一番だったが、6勝2敗だった松尾七段が阻止。同じ7勝2敗となったことで、順位で上回っていた松尾七段が自力昇級の可能性をたぐりよせ、最終局も勝って昇級を決めた。

しばらく、松尾七段の将棋の内容も確認するようにしてみようと思う。

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