おくればせながら、なでしこジャパンのワールドカップ優勝の足跡をふりかえる
2011年の日本の10大ニュースを考えた時、まずトップに来るのが、東日本大震災とそれに続く東京電力福島第一原発の事故であることは間違いないと思うが、スポーツの分野では「なでしこジャパン(女子サッカー日本代表)のワールドカップ優勝」が必ず選ばれ、おそらくトップになるだろう。
しかし、日本では、そもそも今年女子サッカーのワールドカップが開かれることもどれだけの人が知っていたのかわからないし、彼女たちがいつ開催国ドイツに向けて出発しかたさえ知らなかったと思う。それほど、「なでしこ」への関心は薄かったし、期待もされていなかったように思う。
予選リーグが始まって2連勝し、決勝トーナメント進出が決まって、ようやくマスコミにも注目され出したように思うが、その矢先3戦目にイングランドに敗れ、予選B組2位となり決勝トーナメント初戦に優勝候補のドイツと戦うことになって、やはりここまでかと思った人も多かったに違いない。(少なくとも、私はそうだった)
いつも試合の中継が明け方だったこともあって、その後も結果は朝のニュースで聞くだけ。勝ったことのなかったドイツに途中出場の丸山の決勝ゴールで勝ってワールドカップ初のベスト4、メダルのかかる準決勝スウェーデン戦では初スタメンの川澄の2ゴールで快勝して銀メダル以上が確定と、あれよあれよというまに決勝という舞台に勝ち進んでいった。
難敵ドイツにとどめをさした丸山のゴールをゴールラインギリギリの浅い角度から蹴りこんでドイツゴールのサイドネットを揺らす技ありのシュートだった。
また、スウェーデンに戦意を喪失させたに違いない3点目、キーパーが前に飛び出したところを狙った川澄の弧を描くシュートがゴールに吸い込まれるシーンは、お見事というほかなかった。
結局、日本時間の7月18日(月)午前3時からの試合も、18日が海の日で休みということをすっかり忘れていて、月曜日の明け方だから仕事を考えると無理だなと、いつも通りに寝てしまった。18日の朝起きて気がついたが、既に遅い。おそるおそるTVをつけてみると、どうやら日本が勝ったらしい。
NHKのニュースで見ると、90分の本戦、30分の延長戦ともどちらも先制され、終了間際に追いついて、PK戦を制しての勝利だった。
ここでも、残り10分を切ったところでの宮間の同点ゴール、延長戦でも先制されこちらは残り3分で、宮間のCKをキャプテン澤が右足アウトサイドであわせた劇的な同点シュートで追いついた。
2度の復活ののち、PK戦では逆を突かれたかに見えたアメリカの1人目の選手のシュート、GK海掘は左に横っ飛びしている体の上を抜けて行きそうなボールにかろうじて右足を反応させ空中でボールをはじきとばした。
こうして思い出しながら書いていても、いずれも絵になるドラマチックなシーンばかりだった。
話は、先週の半ば8月4日(木)のこと。大阪に出張していた私は、一緒に出張した同僚と飲みに行って部屋に戻ると、テレビをつけたまま寝てしまった。たしかNHKのBS1でニュースを見ていたのではないかと思う。10時頃部屋に戻り、シャワーを浴びて着替えて、ニュースを見ているうちに寝入ってしまったのだ。
ふと気がつくと、時計は5日(金)の午前1時を指している。つけたままのTVからは、なでしこジャパン対ドイツ戦の再放送が始まるという。思わず、試合終了まで見てしまった。
ニュースでは、丸山の決勝ゴールばかりが放送されたが、改めて試合開始から終了までを通しで見ると、選手交代での監督の采配、直接得点はしていないものの、個々の選手の動きも見ることができた。
また、丸山がゴールを決めて1対0とリードしてから、10分以上ドイツの猛攻を凌いでの勝利だったことも分かった。
翌日、翌々日と準決勝、決勝が同じ時間帯に再放送されるということで、頑張って起きてその2試合も見た。
準決勝のスウェーデン戦で初スタメンで2点を取り、一気にシンデレラ・ガールとなった川澄がその後、途中交代していること。2点のリードを保って、最終盤を迎えた時、監督はこれまで出場機会のなかった2選手を出場させるなど、細かい気配りをしていることがうかがえた。
試合運び、試合内容を見る限り、対戦相手としてはドイツの方が日本にとっては厳しい相手で、スウェーデンはチーム力からするとドイツには及ばないようにも見えた。
決勝のアメリカ戦は、勝つという結果がわかった上で見ていたので、それほどでもなかったが、結果がわかっていても、「はらはら、ドキドキ」の展開で、当日リアルタイムで見ていたらさぞ心臓に悪かったに違いない。
日本が、延長での澤の奇跡的な同点ゴールで追いついた後に、何とか延長戦のうちのカタをつけてしまおうというアメリカの反撃に対し、ディフェンスの岩清水が止めようとしてレッドカードで退場。ペナルティエリアのわずかに外からのフリーキックをなんとか凌いで、PK戦に持ち込んだことを知った。
3戦をすべて見て、改めて分かったことは得点を上げスポットライトを浴びた選手以外の選手の動きも見逃せないということだ。左右の両サイドバック、近賀、鮫島の2人の前線へ切り込んでくる動きは男子サッカーの長友を思わせるし、澤と2人で中盤を守った坂口の冷静なパス回しは、何度も解説者が褒めていた。
今回の優勝は、何度も絶体絶命のピンチに見舞われながら、佐々木監督、キャプテン澤のもと、チーム「なでしこ」として乗り切り、つかんだ栄冠だと思う。
FIFAの2011年女子ワールドカップの全試合ハイライト
http://www.fifa.com/womensworldcup/highlights/video/index.html
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