第59期王座戦五番勝負、渡辺明竜王が3連勝で羽生善治王座の20連覇を阻む
今月(2011年9月)7日に開幕した将棋の第59期王座戦五番勝負。1992年の第40期王座戦で、当時の福崎文吾王座から3連勝でタイトルを奪取して以来、昨年(2010年)の第58期王座戦まで羽生善治王座が19連覇。
同一タイトル連覇の記録は、以前は大山康晴十五世名人の名人戦13連覇。羽生王座が14連覇を記録して以降は、タイトル防衛をする都度、自らの連覇記録を伸ばすということが1年毎に繰り返されていた。
14連覇となった第53期五番勝負で佐藤康光棋聖(当時)を3連勝で降して以降、昨年の第58期までの6年間は、全て3連勝でタイトル防衛を果たしており、王座戦では特に強さを見せつけていた。
今回の五番勝負では、次世代の旗手渡辺明竜王を迎えた。
渡辺竜王が王座戦に登場したのは2回目。前回は2003年の第51期。この時の渡辺竜王はまだ五段でタイトル初挑戦。初戦を羽生王座が勝ったあと、渡辺五段が2連勝して羽生王座をカド番に追い込んだが、その後羽生が踏ん張り2連勝、3勝2敗でタイトル防衛を果たした。
8年ぶりに挑戦者となった渡辺竜王は、竜王戦で羽生の2度の挑戦を退け永世竜王位の有資格者にもなるなど、大きく成長して、羽生に再挑戦してきた。
第1局、第2局と挑戦者渡辺竜王が連勝。羽生王座は、第51期で当時の渡辺五段を迎えて以来のカド番に追い込まれ、今日の第3局も敗れ、20連覇という偉業を果たすことなく王座のタイトルを手放すことになった。
この五番勝負の間にも、先行して行われていた第52期王位戦七番勝負では4勝3敗で広瀬章人王位から王位タイトルを5年ぶりに奪回するなど、決して不調だったわけではない。それでも、渡辺竜王の快進撃を食い止めることはできなかった。
これで将棋界の7大タイトルの分布は、羽生世代が、羽生二冠(棋聖・王位)、森内俊之名人の3冠、羽生世代の少し下の世代が久保利明二冠(棋王・王将)、そして渡辺明竜王が王座タイトルを加え二冠と、三世代にばらけることになった。
今回の羽生王座から渡辺王座へのタイトル移動が、本格的な世代交代の始まりになるのか?奇しくも、今日9月27日は羽生二冠の41歳の誕生日。これまで将棋界をリードしてきた羽生世代も40代を迎えた。その一角を占めていた藤井猛九段はA級から陥落後のB級1組でも5連敗で白星なしと精彩を欠く。数年前には、5タイトル戦連続で挑戦者となった佐藤康光九段も無冠となって久しい。
将棋界での次のタイトル戦は10月から始まる第24期竜王戦七番勝負。こちらは、渡辺明竜王に、羽生世代の一人丸山忠久九段が挑む。羽生、森内、佐藤という羽生世代の強者の挑戦をそれぞれ2回づつ退け七連覇まで記録を伸ばした渡辺竜王。丸山九段がどのような趣向で挑むのか気になるところだ。
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