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2012年2月 7日 (火)

ニコニコ動画で第37期棋王戦五番勝負第1局久保棋王対郷田九段戦を見る

2012年2月5日(日)に第37期棋王戦五番勝負が開幕した。棋王位4連覇を目指す久保利明棋王に挑むのは14年ぶりに挑戦者として登場した郷田真隆九段。郷田ファンの私としては、2年前の第67期名人戦七番勝負以来の郷田九段のタイトル戦登場は待ちに待ったもの。むしろ遅きに失したと言ってもいい。

『将棋世界』の2012年3月号に掲載された棋王戦挑戦者郷田九段のインタビューは、タイトル奪取に向けた郷田九段の意欲を感じさせるものだった。

棋王戦五番勝負は持ち時間4時間の1日制。朝9時から始まった勝負の内容は、主催者の共同通信社と将棋連盟が開設している「棋王戦中継サイト」で棋譜中継と中継ブログでリアルタイムで伝えられるのに加えて、今回、五番勝負の全局がニコニコ動画で中継される。第1局は対局場に設置されたカメラから対局者の様子が中継されるとともに、豊川孝弘七段の解説が生放送された。

豊川七段のダジャレを交えた解説は見ている者を飽きさせず、対局場から伝えられる対局者二人の最善手を求めて苦悩し呻吟する姿は、その場の張り詰めた空気を伝えてくる。
これまでの将棋の対局のテレビでのは、NHK杯のようにテレビの放送時間中に終局するよう持ち時間の短い早指し戦か、タイトル戦であれば名人戦や竜王戦の対局の一部がBSで放送されるかのどちらかで、インターネット中継とはいえ、今回のように対局の最初から最後までフルで対局の様子と解説が放送されるのは珍しい。ニコニコ動画では、これまでも前期の棋王戦、今期の棋聖戦や王座戦、王位戦などの番勝負のうち1局だけを中継することはあったが、タイトル戦の全てを中継するには初めてだろう。

第1局の結果は、序盤の駒組みで優位に立った久保棋王に対し、郷田九段が粘りをみせ追いすがる。将棋の真理の究明、美しい棋譜を残すことには熱心でも、勝負の結果には時として淡泊にも見える郷田九段が最後の最後まで逆転を狙い勝負手を繰り出し続ける姿は、タイトル奪取へ向けた郷田九段の意気込みを感じさせるものだった。結果は、追いすがる郷田九段を振りきり久保棋王が勝利したが、棋王タイトルのゆくえはまだまだこれからだろう。

ニコニコ動画には一般会員(無料)として登録していたが、中継開始から1時間ほどで、プレミアム会員の視聴が増えたようで、一般会員の視聴は不可となった。視聴継続のため、すぐさま、有料のプレミアム会員に登録し、視聴を続けた。
今回の中継の視聴者は13万人を超えた。テレビ中継で、対局の一部だけの中継される事に比べれば、終局まで放送されるインターネット中継は、ファンにはよろこばれるだろう。

特に、1日制で土日の対局が中心の棋王戦は、中継するコンテンツとしては、一番取り組みやすいものだったのだろう。ニコニコ動画としても、過去1年のマーケティングを経て、いよいよ今回の棋王戦から本格中継のスタートということだろう。

あえて、視聴者として今回の中継に注文をつけるとすれば、同じ中継の中で、同日に行われた女流名人戦の第3局の解説も行われたこと。棋王戦の指し手が止まったところを見計らって、解説の豊川七段が、女流名人戦に内容も解説を始めたが、その直後に、棋王戦の指し手が一気に進んだ。郷田ファンの私は、郷田九段の指し手やその意味が知りたくて、有料登録までして視聴しているのであって、女流名人戦の進捗や結果がどうなるかは全く関心がない。
一方、視聴者の中には、里見女流名人や清水女流六段のファンもいるだろう。本来であれば、別々の中継とし、視聴者が選べるようにするべきだっだ。今後、将棋連盟やニコニコ動画には検討してほしい課題である。

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