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2012年3月 4日 (日)

第37期棋王戦五番勝負第3局、挑戦者の郷田真隆九段が久保利明棋王に勝って2勝1敗としタイトル奪取まであと1勝

1勝1敗で迎えた第37期棋王戦の第3局。勝った方が、タイトル奪取にあと1勝となる大事な一局だ。
タイトルホルダーの久保棋王も、挑戦者の郷田九段も、2日前(2012年3月2日)にA級順位戦の最終戦を戦ったばかり。
郷田九段は残留は決まっていたが、最終戦の相手は全勝優勝がかかる羽生善治二冠(棋聖・王位)。後手の郷田九段は公式戦初採用である「一手損角換わり」で臨んだが敗れ、羽生の全勝を許すこととなった。
一方、A級残留がかかる久保棋王は、同じく残留を争う丸山忠久九段と。残留争いは、2人加え、高橋道雄九段を含めた3人のうち2人が降級するという厳しい戦い。久保二冠は勝星では2人を上回る2勝を上げているので勝てば自力残留が決まるが、敗れると、丸山九段と2勝7敗で並び順位差で降級が決まるという、勝ち負けで「天国と地獄」が分かれる勝負だった。後手の久保棋王はゴキゲン中飛車を採用し、丸山九段は居飛車で超速▲3七銀戦法で対抗。双方が穴熊に囲う持久戦、にらみ合いが続く展開となったが、最後は丸山九段が一瞬の隙をついて、遠見の角を久保陣に成り込み、穴熊崩しに成功して勝利。久保二冠の降級が決まった。(なお、谷川九段vs高橋九段戦で高橋九段がすでに勝利していたため、勝った丸山九段も降級が決まっていた)

両対局者ともA級順位戦の勝敗が決したのは、日付が3月3日(土)に変ってから。順位戦終了のその日に、第3局の会場静岡県焼津市に移動し、前夜祭を終え、今日の第3局に臨んだことになる。

第1局 は後手久保棋王のゴキゲン中飛車に郷田九段が超速▲3七銀で応じ、双方が穴熊に囲った。150手を超える長手数のねじりあいを後手の久保棋王が制した。第2局は先手の久保棋王の三間飛車からの急戦の仕掛けを、郷田九段が咎めて88手で久保棋王の投了となり1勝1敗。

郷田先手・久保後手の第3局は第1局と同じ「久保のゴキゲン中飛車に、郷田の超速▲3七銀」となった。今回は、久保棋王が角を切って(角銀交換)飛車を成り込み、竜を核にして先手で「攻める」急戦を挑んだ。 先に竜を作り、相手陣にもぐり込み、桂馬や香車を取って、相手陣を攪乱し、駒を捌きながら駒損を回復し、優位を築いていこうという狙いだろう。先後は入れ替わるが、第2局と同じような久保の急戦を郷田が受けるという展開になった。
郷田九段は、久保棋王の奇襲の代償で得た駒得を維持しながら、一手一手、久保の攻めを受ける。なるべく、駒を渡さずに反撃の芽を潰し、反撃を狙う。久保棋王は角との交換で手にした銀を打ち込んで来るが、結局、銀桂交換となり、久保棋王の攻めは切れ気味。
郷田九段の反撃に、手にした桂馬を自陣に打って粘りに出ざるを得なくなり、郷田優勢・久保劣勢は明らかに。郷田九段は、さらに、久保棋王の攻めの核だった竜も飛車との交換で盤上から消し去り、久保棋王の角銀交換による奇襲を完封。竜飛交換を余儀なくされたところで、勝機なしと見たのか久保棋王が投了。61手、午後4時47分のことだった。

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(第3局終局直後の郷田九段、出所「棋王戦中継plus」)

第2局、第3局と久保棋王の駒損覚悟の急戦の仕掛けを郷田九段が咎めるという同じような展開となり、いずれも久保棋王の仕掛けは不発、久保棋王はカド番に追い詰められることになった。
この2局の展開を見ていると、久保棋王の攻めが空回りしている印象が強い。「捌きのアーティスト」との自らの呼び名に縛られてしまっているのではないかという気がする。駒損を承知で急戦を仕掛けて、決まった時には鮮やかだが、今回の郷田九段のように徹底して捌きの芽を摘んでその動きを封じられると、駒損だけが残り劣勢は明らかとなり、そこからの挽回は難しくなる。
「捌きのアーティスト」に名に恥じぬよう、華麗に捌いて勝負を一気に勝負を決めたいという誘惑に駆られたのではないだろうか。すでに王将戦七番勝負ではカド番に追い込まれようやく1勝を返したものの、タイトル防衛は風前の灯火、2日前にはA級陥落も決まってしまい、なんとか現在成績タイの棋王戦ではせめてリードを確保しておきたいとの思いがより強まったのではないか。第2局を取り上げたブログでも書いたが、そこに久保棋王の焦りを感じるのは私だけだろうか。

郷田九段にとってタイトル奪取がかかる第4局は、約2週間後の3月17日(土)。久保棋王は、それまでの間に、中3日の休みでもう一つのタイトル防衛戦王将戦の第5局を戦う。
既に決まってしまったA級陥落に、王将・棋王の二冠の同時失冠という悪夢もあり得ない話ではなくなってきた。

改めて、考えてみると、今期は振り飛車党受難の年である。現在、振り飛車党の頂点に立つ久保二冠の苦境に加え、B級1組ではかつての振り飛車党の盟主藤井猛九段とやはり振り飛車党の実力者である鈴木大介八段の2人のうちどちらかが降級するというピンチ。

かつて一世を風靡した藤井九段の「四間飛車藤井システム」が、ライバル達に研究され、勝てなくなり、藤井九段自身もタイトルホルダーの地位を失い、A級でも降級争いをすることが多り、ついに前期A級から陥落した。
久保棋王も、先手では三間飛車石田流、後手ではゴキゲン中飛車という二枚看板で、それぞれに色々な工夫を施して、羽生世代の佐藤康光棋王を倒して念願の初タイトルを獲得し、翌年には羽生善治王将本人から王将タイトルを奪い、二冠となりA級復帰も決め、将棋界のトップの一角を担う存在となった。その「捌きののアーティスト」の久保二冠の戦い方も研究され壁にぶつかったということだろうか。

しかし、王将戦も棋王戦も勝負が決まったわけではない。郷田ファンの私としては、郷田九段には、勝利に向け手綱を緩めることなく、郷田九段の誕生日でもある3月17日(土)の第4局で一気にタイトル奪取を決めてほしい。

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お誕生日の棋王奪取おめでとうございます!棋聖戦でも健闘をお祈りいたします。

投稿: 郷田棋王を応援しています | 2012年3月17日 (土) 19時17分

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