漫画『坂道のアポロン』ボーナス・トラックとのファンブック、ログブックを読み、アニメ『坂道のアポロン』のブルーレイディスクで見た制作関係者の本気
今年(2012年)4月~6月にフジテレビの深夜のアニメ枠である「ノイタミナ」で放送されたアニメ『坂道のアポロン』(全12話)。原作は小学館の少女マンガ誌月刊「フラワーズ」に連載され、第1巻の発売が2008年4月。今年の1月には第57回小学館漫画賞(一般向け部門)を受賞している。
私がこの話を知ったのは、たまたま木曜日の深夜まで、うとうとしながらテレビを見ていた時。たまたま、第2回の放送を目にしたのだが、一気に引き込まれ、以来毎週録画予約をして欠かさず見た。
舞台は1960年代半ばの長崎県佐世保市の東高校。横須賀から高校1年生の西見薫が転校してくる。前の高校では首席だったという薫だが、父は外航船の船員、母は離婚して薫が幼い頃に家を出ており、船員の父は航海でほとんど家にはいない。今回の転校も佐世保の親戚の家に預けられためだ。父の仕事の関係で、たびたび転校を繰り返してきた薫は、どこにも自分の居場所はないと思う孤独な青年だ。
薫は同じクラスの迎律子に好意を抱くが、彼女はやはり同じクラスでいつも誰かとケンカばかりしているバンカラな幼なじみの川渕千太郎に思いを寄せている。
律子の家はレコード店で、千太郎の家と隣どうし。また律子の家の地下には、ジャズの練習のためのスタジオがあり、千太郎がドラムを叩き、律子の父がベースを弾く。クラシックピアノを習っている薫は、ひょんなことから、千太郎とジャズのセッションをすることになり、薫・律子・千太郎の青春ストーリーが始まる。
そこに、仙太郎の兄貴分である東京の大学に通う桂木淳一、薫たち三人の高校の1年先輩である深堀百合香が加わり、憧れ、恋、妬み、落胆といった様々な人間模様が繰り広げられる。
結局のところ、この青春ストーリーにすっかりはまってしまい、原作のコミック全9巻を買いそろえ、放送終了後の7月から順次発売されたブルーディスク4巻も買い揃えた。
11月にマンガのメインストーリーの番外編として10冊目の『坂道のアポロン BONUS TRACK』が発売されたため購入。また、小学館から「坂道のアポロン公式ファンブック」、学研から「坂道のアポロン オフィシャルログブック」が発売されているのを知り、ネットで3冊まとめて注文した。
坂道のアポロン BONUS TRACK サントラCD付 特別版 (小学館プラス・アンコミックスシリーズ)
坂道のアポロン Official Fan Book (フラワーコミックス〔スペシャル〕)
ログブック、ファンブック、ブルーレイのメイキング映像には、原作者の小玉ユキ、アニメの監督渡辺信一郎、音楽を担当した菅野よう子、またアニメ化でのポイントとなる薫のピアノを実際に演奏した松永貴志、千太郎のドラムを叩いた石若駿、また薫、律子、千太郎の声優を務めた木村良平、南里侑香、細谷佳正など関係者のインタビューや対談がおさめられている。
これらのインタビューや対談を見て思うのは、特にアニメ制作に関わった関係者は、原作をこよなく愛し、いい作品を作ろうと本気で取り組んでいるということだ。
実際のピアノやドラムの演奏をビデオで様々な角度から撮影し、まず、映像を編集したうえで、アニメの原画を描くという手間のかかる作業をしている。
私が第2回の1話だけを見て、引き込まれたのは、制作に関わった人たちの本気が映像を伝わったからだろうと思った。
この作品に描かれているる1960年代の世相は、1960年生まれの自分にとっては、自分が育った時代と重なるものであり、描かれる高校生活はこんな思いをしたこともあったなと思わせるものだった。
原作は少女マンガ誌に掲載されたものだが、マンガもアニメも、男女や世代を超越した作品になっていると思う。
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