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2013年4月の記事

2013年4月18日 (木)

郷田真隆九段、今年度3連勝のスタートで 第84期棋聖戦の挑戦者決定戦に進む

3月(2013年)に棋王位のタイトルを失った郷田真隆九段。しかし、新年度入りした4月以降、4月2日に棋聖戦の挑戦者決定トーナメント2回戦で木村一基八段を破り4年連続のベスト4に駒を進め、王座戦の挑戦者決定トーナメント1回戦ではB級1組昇級を決めた若手のホープ豊島将之七段を破り2連勝のスタートを切った。
ここ何年か、郷田九段は春先なかなか調子が出ず、黒星が先行することが多く、秋口でようやく指し分け、年末年始にかけて調子をあげ、年度トータルでは勝ち越しという展開が多かったように思う。

今期3局めは、棋聖戦の準決勝でこれも若手の成長株で昨年の棋聖戦挑戦者中村太地六段との対戦である。
郷田九段はこれまで2回(第69期、第72期)棋聖タイトルを獲得していることもあってか、棋聖戦ではよく勝っている。過去6年でベスト4が5回。しかし、準決勝まで進むものの、第79期は羽生善治、第81期は深浦康市、第82期は佐藤天彦、昨年(第83期)も深浦に敗れて挑戦者決定戦には一歩及んでいない。

中村六段とは初手合い。振り駒で後手となった郷田九段は、先手▲7六歩に対し、二手目△8四歩。▲6八銀として先手は矢倉を宣言。後手も望むところだったようで、戦型は相矢倉の戦いとなった。
途中までは、3月のA級順位戦最終局の渡辺vs郷田戦、竜王戦1組2回戦の森内vs郷田戦と同手順で進んだ。先手に攻めさせて、後手の郷田はカウンター狙い。
中村六段の攻めが切れ気味となったところで、攻めに転じる。しかし、一気に詰みまでは至らず、中村六段が反転攻勢、あと一枚あればというところまで郷田を追い詰める。しかし、これも詰みはないと言われていた順で、再度郷田に手番が回る。今度は詰ませに行ったが詰め切れず、一端自陣に手を入れ玉を逃がす。
矢倉の端の1筋から入玉を目指す郷田玉を逃さないと中村六段は手持ちの金銀の中から▲2五銀と打って逃げ道を封鎖する。しかし、これが敗着だったようで、ここで▲2五金と打って銀を手元に残しておけば助かったということらしい。当然、郷田は容赦なく、再び詰ませに行き、程なく中村六段の投了となった。
これで決勝に駒を進めるとともに、開幕3連勝のスタートダッシュである。

羽生棋聖への挑戦者を決める決勝の相手は、久保利明九段を破った渡辺明竜王。3月の第38期棋王戦五番勝負で棋王位を奪っていった相手である。なんとか、棋王戦の借りを返し、挑戦者に名乗りをあげて、当時の羽生棋聖からタイトルを奪った第72期棋聖戦五番勝負を再現してもらいたい。
また、現在、棋聖2期の実績もつ郷田九段にとっては棋聖は、永世棋士にもっとも近いタイトルである。あと3期棋聖を獲得し、永世棋士として将棋界の歴史にさらに大きく名を残してほしいものだ。

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2013年4月 7日 (日)

郷田真隆棋王無念のタイトル失冠、でもさらなる飛躍を予感したい

昨年(2012)年3月17日の第37期棋王戦五番勝負第4局で久保利明棋王に挑戦していた郷田真隆九段が3勝目をあげ、10年ぶりにタイトルホルダーに返り咲いた時、郷田ファンはみな諸手をあげて歓喜したに違いない。
振り飛車党のリーダーとして棋王3期・王将2期、二年間二冠として君臨した久保棋王のゴキゲン中飛車や石田流三間飛車に挑み、初戦に敗れた後の3連勝はどれも居飛車党の郷田九段の面目躍如の指し回しで、10年前の棋聖失冠後、二度の名人挑戦もあと一歩のところで届かず、力がありながら、優勝やタイトルにあと一歩届かない姿にじれったい思いをしていたからだ。

それから1年を経て、第38期棋王戦五番勝負ではタイトルホルダーとして最強の挑戦者渡辺明竜王を迎えた。郷田棋王は、過去王位1期、棋聖2期のタイトル獲得実績があるが、いずれも防衛に失敗し、1期でタイトルを失っている。「タイトルは防衛して一人前」とも言われる中、「今度こそはタイトル防衛を!」という思いはファン以上に本人が強く念じていただろう。

先手番となった第1局は、渡辺竜王の攻めを受けてたち、勝ちきる堂々の内容で、防衛に向けて好スタートを切った。しかし、第2局は渡辺竜王の勝利。相手も竜王位を9連覇中の実力者、2連勝は難しい。
ポイントは再び郷田が先手番となった第3局だったろう。どちらも得意とする相矢倉の駒組みとなった戦いは、郷田棋王が銀得とするものの、自陣の玉頭に渡辺竜王の攻め駒が揃い虎視眈々と狙われるという展開に。結局、渡辺竜王の堅陣を攻めあぐねた郷田棋王は自ら自玉周辺でにらみ合い複雑に均衡していたお互いの駒の精算に活路を求めた。結果的には、自ら死地に飛び込むことになり、投了。貴重な先手番を落とし、1勝2敗とあとがなくなった。なんとか、お互い神経質駆け引きをしながら銀得を活かせる展開に持ち込めれば、まだ勝機はあったのではないかと素人目には見えたが、どうだったのだろう?

2013年3月24日、第4局の会場は1年前、タイトル奪取を果たした栃木県宇都宮市の宇都宮グランドホテル。挑戦者として2勝1敗でタイトル獲得に王手をかけて迎えた昨年とは立場が入れ替わり、あとがない状況で宇都宮入りである。
第4局は、角換り腰掛け銀の戦いに。後手番の角換りは郷田棋王にとってもテーマのひとつ。先手が若干有利と言われる中、どうのような策があるのか?
先手の渡辺竜王が角を切って郷田玉に攻めかかる。渡辺が攻めきるか、郷田が受けきって攻めを切らすか、息詰まる展開が続く。ネット中継を見ながら、ニコニコ生放送の中村太地六段の解説を聞き、将棋ソフト「撃指」を立ち上げ1手毎に形勢分析の変化を眺める観戦。形勢分析の点数は攻められていた郷田棋王が若干不利のまま推移する。第4局は投了すればその時点でタイトルを失う。
これまで郷田棋王には、負けるしても美学を求めるようなところがあり、まだ指せば逆転の可能性があるかもしれないというようなところで、見苦しいところはみせたくないと思うのか、投了してしまうようなところもあった。
しかし、この第4局は違った。ネットを中継で示される指し手は、最後の最後まであきらめないという執念を感じさせるものだった。途中、渡辺竜王の緩手が出たのか「撃指」の形勢分析が二度ほど郷田有利に傾いたことがあった。しかし、この時も、第3局と同じく、自ら形勢を損ねるような手を指してしまい、最後は投了のやむなきに至った。
昨年、久保棋王からタイトルを奪取した時には、ほとんどの指し手が「撃指」が示す最善手、次善手だった郷田棋王だが、今年の第3局、第4局では自ら形勢を損ねるような手を指さざるをえなかったということは、それだけ挑戦者の渡辺竜王のオーラが強く郷田棋王の微妙な判断を狂わせたということだろう。

また本来の九段に戻り、5度目のタイトル獲得、7回目の棋戦優勝を目指す戦いが始まる。今回の第4局で見せた郷田棋王の執拗なまでの粘りには、今までにはない「郷田真隆」を見た気がする。
2年前の東日本大震災当日に千駄ヶ谷の将棋会館で対局をしていた郷田九段。米長邦雄追悼号となった「将棋世界」2013年3月号では、升田幸三、米長邦雄の「力と創造の将棋の系譜を汲むのは自分」と宣言している。
棋王失冠はファンとしては残念無念であるが、これで終わりではない。40代半ばに向けて、「郷田真隆」がさらに変化し大きく飛躍する予感がしている。

まずは、2013年度のタイトル戦で挑戦の可能性を残す、棋聖戦、王座戦、竜王戦で挑戦者に名乗りをあげてくれ!

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