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2013年4月 7日 (日)

郷田真隆棋王無念のタイトル失冠、でもさらなる飛躍を予感したい

昨年(2012)年3月17日の第37期棋王戦五番勝負第4局で久保利明棋王に挑戦していた郷田真隆九段が3勝目をあげ、10年ぶりにタイトルホルダーに返り咲いた時、郷田ファンはみな諸手をあげて歓喜したに違いない。
振り飛車党のリーダーとして棋王3期・王将2期、二年間二冠として君臨した久保棋王のゴキゲン中飛車や石田流三間飛車に挑み、初戦に敗れた後の3連勝はどれも居飛車党の郷田九段の面目躍如の指し回しで、10年前の棋聖失冠後、二度の名人挑戦もあと一歩のところで届かず、力がありながら、優勝やタイトルにあと一歩届かない姿にじれったい思いをしていたからだ。

それから1年を経て、第38期棋王戦五番勝負ではタイトルホルダーとして最強の挑戦者渡辺明竜王を迎えた。郷田棋王は、過去王位1期、棋聖2期のタイトル獲得実績があるが、いずれも防衛に失敗し、1期でタイトルを失っている。「タイトルは防衛して一人前」とも言われる中、「今度こそはタイトル防衛を!」という思いはファン以上に本人が強く念じていただろう。

先手番となった第1局は、渡辺竜王の攻めを受けてたち、勝ちきる堂々の内容で、防衛に向けて好スタートを切った。しかし、第2局は渡辺竜王の勝利。相手も竜王位を9連覇中の実力者、2連勝は難しい。
ポイントは再び郷田が先手番となった第3局だったろう。どちらも得意とする相矢倉の駒組みとなった戦いは、郷田棋王が銀得とするものの、自陣の玉頭に渡辺竜王の攻め駒が揃い虎視眈々と狙われるという展開に。結局、渡辺竜王の堅陣を攻めあぐねた郷田棋王は自ら自玉周辺でにらみ合い複雑に均衡していたお互いの駒の精算に活路を求めた。結果的には、自ら死地に飛び込むことになり、投了。貴重な先手番を落とし、1勝2敗とあとがなくなった。なんとか、お互い神経質駆け引きをしながら銀得を活かせる展開に持ち込めれば、まだ勝機はあったのではないかと素人目には見えたが、どうだったのだろう?

2013年3月24日、第4局の会場は1年前、タイトル奪取を果たした栃木県宇都宮市の宇都宮グランドホテル。挑戦者として2勝1敗でタイトル獲得に王手をかけて迎えた昨年とは立場が入れ替わり、あとがない状況で宇都宮入りである。
第4局は、角換り腰掛け銀の戦いに。後手番の角換りは郷田棋王にとってもテーマのひとつ。先手が若干有利と言われる中、どうのような策があるのか?
先手の渡辺竜王が角を切って郷田玉に攻めかかる。渡辺が攻めきるか、郷田が受けきって攻めを切らすか、息詰まる展開が続く。ネット中継を見ながら、ニコニコ生放送の中村太地六段の解説を聞き、将棋ソフト「撃指」を立ち上げ1手毎に形勢分析の変化を眺める観戦。形勢分析の点数は攻められていた郷田棋王が若干不利のまま推移する。第4局は投了すればその時点でタイトルを失う。
これまで郷田棋王には、負けるしても美学を求めるようなところがあり、まだ指せば逆転の可能性があるかもしれないというようなところで、見苦しいところはみせたくないと思うのか、投了してしまうようなところもあった。
しかし、この第4局は違った。ネットを中継で示される指し手は、最後の最後まであきらめないという執念を感じさせるものだった。途中、渡辺竜王の緩手が出たのか「撃指」の形勢分析が二度ほど郷田有利に傾いたことがあった。しかし、この時も、第3局と同じく、自ら形勢を損ねるような手を指してしまい、最後は投了のやむなきに至った。
昨年、久保棋王からタイトルを奪取した時には、ほとんどの指し手が「撃指」が示す最善手、次善手だった郷田棋王だが、今年の第3局、第4局では自ら形勢を損ねるような手を指さざるをえなかったということは、それだけ挑戦者の渡辺竜王のオーラが強く郷田棋王の微妙な判断を狂わせたということだろう。

また本来の九段に戻り、5度目のタイトル獲得、7回目の棋戦優勝を目指す戦いが始まる。今回の第4局で見せた郷田棋王の執拗なまでの粘りには、今までにはない「郷田真隆」を見た気がする。
2年前の東日本大震災当日に千駄ヶ谷の将棋会館で対局をしていた郷田九段。米長邦雄追悼号となった「将棋世界」2013年3月号では、升田幸三、米長邦雄の「力と創造の将棋の系譜を汲むのは自分」と宣言している。
棋王失冠はファンとしては残念無念であるが、これで終わりではない。40代半ばに向けて、「郷田真隆」がさらに変化し大きく飛躍する予感がしている。

まずは、2013年度のタイトル戦で挑戦の可能性を残す、棋聖戦、王座戦、竜王戦で挑戦者に名乗りをあげてくれ!

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コメント

郷田将棋がどこに向かうのか楽しみです( ̄▽ ̄)

投稿: サンタ | 2013年4月16日 (火) 18時40分

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