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2013年8月の記事

2013年8月17日 (土)

第26期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局、郷田真隆九段が森内俊之名人を破り挑戦権獲得まであと1勝

第26期竜王戦七番勝負での渡辺明竜王への挑戦者を決める三番勝負が始まった。

準決勝で羽生善治三冠(1組3位)を破って一足先に三番勝負への進出を決めた森内俊之名人(1組準優勝)。渡辺竜王の9連覇のスタートは、第17期の七番勝負で森内からの竜王位奪取である。さらに森内は第22期に挑戦者となり、タイトル奪還を目指したが4連敗で奪還はならなかった。今期、挑戦者となれば竜王戦で渡辺との三度目の対決となる。今度こそという思いは強いだろう。

一方、1組優勝を果たし最後の決勝トーナメントに登場した佐藤康光九段を破って、初めて三番勝負に名乗りをあげた郷田真隆九段(1組4位)。郷田は今シーズン棋聖戦と王座戦で挑戦者決定戦まで進みながら、決定戦で敗れている。竜王戦は今期3度目の挑戦者決定戦。なんとか「三度目の正直」で挑戦権をつかみたいところだ。

二人の公式戦での対戦成績は45戦で森内24勝、郷田21勝。今期の竜王戦のランキング戦1組では2回戦で対戦、森内が勝ってランキング戦の決勝に進み、佐藤康光九段の敗れて1組準優勝で決勝トーナメントへ進んだ。
2回戦で森内に敗れた郷田九段は、4位決定トーナメントに回り、藤井猛九段、丸山忠久九段という同世代の2人を破り1組4位で決勝トーナメントに進んだ。特に丸山戦は、千日手指し直しの末の勝利だった。

森内vs郷田戦で思い出されるのは、2007年4月から6月まで戦われた第65期名人戦七番勝負。18世名人がかかった森内に郷田が挑んだ七番勝負。郷田2連勝で始まったが、そこから森内が3連勝して名人防衛に王手。第6局も森内必勝で終盤戦を迎えたが、粘る郷田が放った最後の勝負手に森内が間違えて、大逆転。七番勝負は最終局にもつれこんだが、郷田はあと一歩及ばず、名人位獲得はならなかった。

一昨日(2013年8月15日)に行われた挑戦者三番勝負第1局は、振り駒で郷田の先手。先手番の勝率が高い2人の対戦、先手となった郷田としてはなんとしてもこの初戦を勝っておきたい。
郷田の初手は▲2六歩。森内が△8四歩で応じ、お互い飛車先の歩を切りあって「相掛かり」に進んだ。郷田は銀を中心に駒をどんどんと前に進め、押さえ込みを目指す。森内はひねり飛車に構え、郷田から見ると、右側にに飛車、左側に玉が布陣しお互いに向かい合っている。ただ、郷田が歩や銀を前進させている分、飛車角が接近している森内のひねり飛車はなんとも窮屈だ。
中盤までの駒組みでは郷田が一歩リードで終盤を迎えるが、森内は飛車を郷田の玉が布陣する8筋に飛車を戻し郷田玉をにらむ。郷田は2筋を捌いて飛車成りに成功するが、まだ森内玉は遠い。森内は隙を見て、郷田玉の守りも兼ねる角の背後と横腹に銀を2枚を打ち付け虎視眈々と逆転への布陣を敷く。その上で、飛車を背にして郷田玉の上部から攻めかかるが、郷田が少し余していたようで、森内の攻めは及ばず、反転に出た郷田が攻めきり
森内は110手目を指さずに投了。結局、森内が郷田陣に埋め込んだ2枚の銀の地雷は不発のまま終った。

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第26期竜王戦挑戦者決定三番勝負 第1局 森内名人対郷田九段戦の棋譜

先手番の初戦を取った郷田九段。今期19戦で13勝で、対局数と勝ち数ではともに全棋士中2位となった。挑戦者決定三番勝負第2局は9月2日。後手番となるが、なんとかこの勢いで一気に挑戦を決めてもらいたい。

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(終局後の郷田九段)

(棋譜と写真は「竜王戦中継ブログ」より)

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2013年8月13日 (火)

第26期竜王戦決勝トーナメント準決勝:郷田真隆九段が1組優勝の佐藤康光九段を破り挑戦者決定三番勝負進出

先週金曜日(2013年8月9日)、既に渡辺明竜王への挑戦者決定三番勝負に進出を決めた森内俊之名人と三番勝負での対戦相手を決める第26期竜王戦決勝トーナメント準決勝、佐藤康光九段(1組優勝)と郷田真隆九段(1組4位)の対局が行われた。

今回の第26期竜王戦の1組、決勝トーナメントは羽生世代、中でも奨励会に昭和57年に入会した佐藤康光九段(1組優勝)、森内俊之名人(1組準優勝)、羽生善治三冠(1組3位)、郷田真隆九段(1組4位)の4名が1組のベスト4を占め、さらに決勝トーナメントでも勝ち抜いて、準決勝が森内と羽生(森内勝ち)、佐藤と郷田が戦い、挑戦者決定三番勝負もこのうちの二人が戦う羽生世代シリーズとなった。

佐藤vs郷田戦は、振り駒で郷田九段の先手。後手の佐藤九段は角交換のダイレクト向飛車から穴熊に守りを固め必勝を目指す。対する郷田九段は守りは銀冠、攻めは▲4七銀から3筋への展開を展望する。
3筋への銀上がりは許さじと佐藤九段が3筋で戦端を開いた。至る所で駒がぶつかり合う。お互いの自分の主張を通そうと意地の張り合いになる。 お互いの飛車を取り合い、どちらが先に相手の守りを崩せるかのスピード勝負となった。

後から感想戦の内容を見る限り、郷田九段の構想を進めるには序盤で郷田九段により良い選択肢があったようだ。その後の展開では先手に若干無理なところがあり、佐藤九段が的確に指し回していれば、佐藤優位の展開が見込まれたようだ。
しかし、終盤、郷田九段の一気に攻めかかったところで、佐藤九段も攻め手のバランスを欠き受け偏重となった。郷田九段が必勝に持ち込んだところで、佐藤九段に手番が回る。佐藤九段が郷田玉を詰ませられるか否かの勝負となったが、郷田玉は詰まず、佐藤九段の投了となった。

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攻めと守りのバランスを欠いたことで、佐藤九段が郷田陣に迫るための攻め手が足らなくなった格好だ。郷田九段は詰みがないことを読み切った上で、最後の決め手に出たということだろう。

第26期竜王戦決勝トーナメント 佐藤康光九段対郷田真隆九段戦の棋譜
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/26/ryuou201308090101.html

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同世代の難敵佐藤康光九段を破り、郷田九段は竜王戦で初めての挑戦者決定三番勝負へ進出となった。棋王を奪った渡辺明竜王の本丸へ乗り込むまであと2勝。

渡辺竜王の9連覇のうち、うち8回は羽生世代が相手だ。渡辺に竜王位を明け渡した森内から始まり、佐藤が2回、羽生が2回、森内が1回挑み奪回に至らず、第24期・25期の直近2年はこれも羽生世代の丸山忠久九段が挑んだが、跳ね返されている。郷田は、いわば、渡辺竜王に対する羽生世代の「最後の刺客」といえるだろう。
「最後の刺客」に名乗りをあげるためには、世代内戦争で森内俊之名人を倒す必要がある。今年のここまでの勝負にこだわり、しぶとさをみせてきた郷田将棋であれば、森内名人と3 戦して2勝することは十分可能だろう。
その上で、2日制持ち時間8時間の竜王戦七番勝負で、1日制持ち時間4時間の棋王戦五番勝負での借りをしっかり返してほしいものである。

(写真・棋譜は「竜王戦中継ブログ」より)

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2013年8月 6日 (火)

第26期竜王戦決勝トーナメント:郷田真隆九段は山崎隆之八段を破り、挑戦者決定三番勝負進出を賭け佐藤康光九段と対戦へ

1組2位・3位、2組優勝・2位、3組優勝で戦う山では既に森内俊之名人(1組2位)が挑戦者決定三番勝負への進出を決め、 大詰めを迎える第26期竜王戦決勝トーナメント。残るは4組~6組の優勝者、1組の優勝・4位・5位がパラマストーナメント方式で戦うもう一方の山の戦い。既に4組・5組・6組優勝者から勝ち残った永瀬拓矢六段(5組優勝)を山崎隆之七段(1組5位、山崎七段はこの勝利で勝ち星規定に達し八段昇段)が破り、2組以下の決勝トーナメント進出者は姿を消した。

永瀬六段を破った山崎八段を1組4位の郷田真隆九段が迎え撃つ。勝った方が、挑戦者決定三番勝負進出を賭け1組優勝の佐藤康光九段と戦う。

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竜王戦決勝トーナメントでの郷田・山崎戦は5年前の第21期以来。その時は郷田が1組3位、山崎が2組優勝者として相まみえ、先手郷田九段が後手山崎七段の中飛車を粉砕、77手の短手数で郷田九段が勝利している。

振り駒の結果、今回も郷田九段が先手。相矢倉模様から、山崎八段が△5三銀、△5二飛車と急戦模様の展開となった。郷田陣からは攻めに使う左の銀がどんどん前線へ進出する。山崎八段は中央に進出して銀に狙われた角を手損を承知で自陣へ戻す。出過ぎた郷田の銀は詰んでしまうが、かまわず攻め続ける郷田九段。結局、郷田九段の桂損となった。
しかし、後手の山崎も手損の上に歩切れ。後手陣はバラバラで飛車角が隣り合って働きが今ひとつ。先手の郷田の飛車角は遠く▲2四の地点に焦点があっており、玉の守りも郷田陣がまさる。
山崎八段も反撃を見せるが、郷田九段が攻めきって、5年前に続き85手という比較的短手数で山崎八段の投了となった。

Ryuou201308060101_85_2第26期竜王戦決勝トーナメント:郷田九段vs山崎八段戦の棋譜

http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/26/ryuou201308090101.html

郷田九段は、今年度出だし好調で、棋聖戦・王座戦とも挑戦者決定戦まで進んだ。だが、棋聖戦では準決勝で中村太地六段に勝って、挑戦者決定戦で渡辺明竜王に敗れ挑戦権を逃し、王座戦では準決勝で渡辺明竜王を破ったが、挑戦者決定戦で中村太地六段に敗れるという皮肉な結果になっている。勝ち星がどちらかに集まっていれば・・・と思うのは私だけではあるまい。

次のチャンスはこの竜王戦。佐藤康光九段を破り、森内俊之名人にも2勝して、秋の竜王戦七番勝負で渡辺竜王の10連覇を阻み、今年年初の棋王失冠の仇討ちをしてほしいものだ。

(写真、棋譜は第26期竜王戦中継ブログより)

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