« 2015年9月 | トップページ | 2019年12月 »

2016年1月の記事

2016年1月11日 (月)

第65期王将戦七番勝負第1局、郷田真隆王将が最強の挑戦者羽生善治名人に完勝

昨年(2015年)1月~3月の第64期王将戦七番勝負で渡辺明前王将と激闘の末、4勝3敗で王将位を奪取した郷田真隆王将。ファンとしては、王将戦リーグ3回目のプレーオフして初めて挑戦権を獲得し、七番勝負のタイトル戦で3勝3敗となった7戦目に初めて勝利しての44歳にして5回目のタイトル獲得はうれしい限りだが、あと一つこれまでの負の記録を払拭してほしいことがある。
過去4回のタイトル獲得(王位、棋聖、棋聖、棋王)があるものの、そのすべてで翌年のの防衛戦に敗れ、一期でタイトルを失っているという記録である。多くの負の記録を払拭した昨年の王将戦に続き、今回こそはタイトル初防衛を果たしてほしいというのが、ファンの切なる願いである。

郷田王将への挑戦者を決める第65期の挑戦者決定リーグ戦は、前王将の渡辺棋王、羽生善治名人、佐藤康光九段、深浦耕市九段という前期からのリーグ残留組に、糸谷哲郎竜王(当時)、森内俊之九段、久保利明九段という7名の強豪が名を連ねた。郷田以外の全タイトル保持者が含まれ、なおかつ第45期以降前期まで20年間の王将タイトル獲得者5名全員(羽生、佐藤、森内、久保、渡辺)が揃うという豪華な顔ぶれだ。
この中で、第7戦が抜け番の久保が羽生に敗れた以外は勝って最終一斉対局を前に6勝1敗でプレーオフ以上を決め、高見の見物。4戦目まで糸谷に敗れて3勝1敗の羽生が5戦目の抜け番を終えた時点で、羽生以外は挑戦の可能性がなく、羽生が残り森内、渡辺に連勝するして初めてプレーオフという久保が相当有利な状況となった。
しかし、羽生はここから森内、渡辺を連破、プレーオフで久保も粉砕し、王将挑戦を決めた。2015年度は保持するすべての4つのタイトルを防衛し、久しぶりの五冠王となるべく2年ぶりに王将戦七番勝負に登場した。郷田王将にとっては、過去6回タイトル戦を戦い、勝ったのは棋聖戦のわずか1回だけ。4回ある七番勝負はすべて敗れているという相手。まさに最強の挑戦者の登場だ。

一方の郷田王将は、王将タイトル獲得後、不調だった。王将戦後に控えるタイトル戦の予選は、前期王将戦七番勝負と並行して行われていたA級順位戦は残留争いで名人挑戦レースからは既に脱落、王座戦も前期七番勝負中に2次予選敗退。棋聖戦、竜王戦、王位戦、棋王戦といずれも挑戦者決定戦のかなり前の段階で敗退している。竜王戦では長らく維持してきたランキング戦1組16名から2組に降級。また5月から8月にかけ5連敗で、後ろ向きの話題が多かった。
NHK杯ベスト8に勝ち残っているのと、新棋戦の叡王戦では決勝三番勝負まで進んだが、その叡王戦も山崎八段の前に勝ち筋がありながら、勝利をものにできず連敗で栄冠を逃した。2015年4月~12月の9ヵ月で対局数21局10勝11敗というタイトルホルダーとしてはやや物足りない成績で王将戦七番勝負を迎えることになった。

しかし、郷田王将はそんな細かいことは気にしていないだろう。どうすれば、七番勝負のうち、羽生名人に4回勝ってタイトル防衛を果たせるか。それだけを考えて、年を越したに違いない。

2016年1月10日、11日の2日にかけて行われる第65期王将戦七番勝負第1局の舞台は、いまや王将戦第1局の定番となっている静岡県掛川市の掛川城二の丸である。掛川市松井市長の振り駒で郷田の先手が決まる。
多少なりとも有利といえる先手番で確実に勝つことが防衛には必須。郷田にとっては負けられない第1局となった。戦型は矢倉に進む。
郷田が手数を省略して早々に玉を矢倉で囲おうとする「早囲い」の気配を見せると、羽生が許すまじと先端を開く。1日目の午後には駒がぶつかる展開。郷田の早囲いを咎めようとする羽生の指し手に対し、郷田は2日目初手で飛車を七筋に寄せ、玉と飛車が並ぶ形で対抗。羽生の仕掛けから飛車交換となったが、双方持ち合った飛車を相手陣に打ち込んで竜はできたものの底歩に阻まれどちらも大暴れはできない。一方、角の働きでは、自陣にとどまった羽生の角に対し、羽生の竜に追われながらも羽生陣に成り込み馬となった郷田の角。徐々に先手有利から優勢に傾く中で、87手目、郷田が▲6六馬と△2二の羽生玉をにらむ攻防の要の位置に馬を引きも戻したところで、羽生の投了となった。
振り返ってみれば、郷田の完勝。郷田の早囲いを咎めようとする羽生に手のどこかにに緩手があったののだろう。そこをすかさず、見逃さず押し切った郷田。初防衛に向け、幸先のよい1勝となった。残り6戦でなんとか3勝して念願のタイトル初防衛を果たしてほしい。

Photo_2

87手目▲6六馬まで

| | | コメント (1) | トラックバック (0)

2016年1月 3日 (日)

大原櫻子は2010年代の歌姫になれるか

2015年の年末の第66回NHK紅白歌合戦は、白組が郷ひろみ、紅組が大原櫻子がそれぞれトップを飾る歌手として登場した。
郷ひろみは1970年代にアイドルとしてデビューし、紅白出場28回目、60歳還暦を迎えた今でも現役として活躍するベテラン。一方の大原櫻子は、郷ひろみとは親子以上に年の離れた19歳で紅白は初出場。
この新旧の極端な対比にNHKのスタッフがどんな意味を込めたのかは知るよしもないが、私個人の印象は、新世代を代表する大原櫻子に対し、郷ひろみは高度成長時代をいまだに忘れられない旧世代の象徴のように写った。

少し脱線するが、過去の紅白でトップに登場した歌手を第60回(2009年)まで遡って調べてみると、次の通りだった。
第65回(2014年)白:SexyZone、紅:HKT48
第64回(2013年)白:SexyZone、紅:浜崎あゆみ
第63回(2012年)白:NYC、紅:浜崎あゆみ
第62回(2011年)白:NYC、紅:浜崎あゆみ
第61回(2010年)白:EXILE、紅:浜崎あゆみ
第60回(2009年)白:EXILE、紅:浜崎あゆみ

ここ数年は、白組はジャニーズ事務所の若手グループの指定席、紅組は昨年のHKT48を除くと、第59回も含め第64回まで浜崎あゆみだった。浜崎あゆみが連続しているのは、本人のスケジュールの都合などもあるかも知れないが、こちらはバブル期が忘れられない世代の象徴のようにも見える。閑話休題。

私が取り上げたいのは、今回の紅組のトップ大原櫻子である。

時々、近くのゲオに行って、レンタルCDの新着コーナを眺め、ジャケットを見て気になるものを借りる。もちろん、聞いてみて「はずれ」も多々あるが、今まで知らなかった世界を知るにはいいやり方だと今でも続けている。
そのジャケ買いならぬジャケ借りをした中に、大原櫻子のファーストアルバム「HAPPY」があった。聞いてみると、1990年代に一世を風靡した広瀬香美を思わせるような曲、素直な歌詞をじっくり聴かせる歌、聞いているとこちらまで元気になる歌もあり、「当たり」だった。(これも余談だが、ジャケ借りでももう一組の「当たり」が女性3人のボーカルユニット「Kalafina(カラフィナ)」だった)

その後、彼女が、佐藤健主演の映画『カノジョは嘘を愛しすぎている』のオーデションで5000人の中から歌えるヒロインの座を射止めデビューしたことを知った。ちょうど、CATVで映画が放映された機会に映画も見た。アルバム「HAPPY」の収録曲のうち2曲は映画の劇中歌だった。

大原櫻子は絶世の美女というよりは、どこにでもいそうな等身大の女の子のイメージである。しかし、最近はやりの束物アイドルとは一線を画す歌のうまさ、またひとたび歌い出せば、一人でステージを飛び跳ね、観客を魅了し元気を与える。

同世代の女性にも、絶大な支持を受けているようだ。スタート時から女優と歌手の二足のわらじでスタートした大原櫻子、どちらの世界でも活躍してほしいが、より今の日本で求められているのは、聞く人たちに元気を与えてくれる歌手「大原櫻子」のように思う。

大原櫻子は2016年1月に20歳を迎える。今年2016年は彼女が更にステップアップし、2010年代の歌姫に近づく年になるのではないかと密かに思っている。おそらく近々まとめられるであろう2作目のアルバムが楽しみだ。

| | | コメント (1) | トラックバック (1)

« 2015年9月 | トップページ | 2019年12月 »