バレーボールに賭けた長男の中3の夏が終わる
我が家の長男は、中学に入ってバレーボールを始めた。たまたま、中学1年生で身長が170cmあり、同じクラスの中の良い友達がバレー好きで、誘ってくれたのがきっかけだった。当時、長男の中学の男子バレー部は人数も少なく、1年先輩は4名しかおらず、自分の身長なら、新チームになればすぐにレギュラーになれそうだったのも、目立ちたがり屋の長男にとっては、バレーを選ぶ理由の一つだったようだ。
しかし、新チーム2年生4名、1年生2名のギリギリのメンバーで、レギュラーにはなったものの、背が高いだけで、レシーブはできない、スパイクは当たらない、運よく当たっても行く先はボールに聞いてくれという状態だった。
なんとか、練習は続けたものの、チームの足を引っ張るお荷物的存在であった。それでも、先生や先輩たちは、懲りずに長男を使ってくれた。
長男が2年生の春、1年後輩が3名入部。バレー経験者ばかりで、余計に長男の下手さが目立つ。長男が後衛に回った時には、守備強化に1年生と交代させられることもあった。
結局、1年先輩のチームでは、ほとんど勝つことがないまま、2年目の夏のシーズンも終わり、1年先輩が引退、長男たち2人が最上級生となった。なんと、長男はいつも試合中声だけは出して、元気だけはよかったからか、新チームのキャプテンを務めることになった。
しかし、1年後輩が3人しかおらず、6人のチームが組めない。バレー部存続に危機である。このときは、体育の教師だったバレー部の顧問の先生が、長男と同級生の2年生で地域の野球と掛け持ちなら出てもよいという生徒と、1年生を一人勧誘してなんとか、人数をそろえ、危機を回避した。
その後も、危機は続く。バレー経験者の1年後輩から、威勢はいいものの実力が伴わない長男は、キャプテン・上級生としての信頼を得られなかったようだ。家では、後輩たちに対する不満をよく口にしていた。
その頃のチームは、個々人はそれなりに技術はあるのだが、チームプレーに必要なお互いの信頼関係に乏しく、やはり負け続けた。はた目から見れば、すでに身長が175cmを超えていた長男がエースとして相手を打ち負かすしか勝ちパターンはなく、とにかく長男にトスを上げ続けるしかないのだが、セッターを務める1年後輩は、長男をそこまで信頼はしておらず、チームが自分たちの勝ちパターンを作れず、ミスで自滅することが多かった。
チームが変わり出したのは、長男が3年生となり、1年後輩が2年生となり、新1年生を迎えた今年の4月からである。ギリギリの人数しかいなかったチームになんと新1年生が7人入部したのだ。長男に言わせると、後輩が入ったことで、自分たちも先輩となった2年生が、ようやく自分の言うことを聞くようになったという。自分たちも後輩を持つ身になって、初めて先輩の苦労がわかったということだろうか。
もう一つの転機がGWのさなかに出場した少し広めの地域の大会である。普段は自分の学校の近郊の地域の中学どうしの試合だが、このときは、いつもは対戦しなチームが集まった。もちろん、長男の所属チームはいいところなく負けたのだが、そこで、大会終了後、必死に声を出し、キャプテンとしてチームを引っ張る長男の姿を見て、ある学校の顧問の先生が、スパイクの打ち方を教えてやると声をかけてくれたらしい。そこで、ちょっとしたコツをつかんだようで、以来、長男のスパイクの決定率が一気に高くなった。
長男の中学最後の夏の大会は、6月の中旬から始まった。まず、地区のブロック予選。ここを1勝1敗で地区予選に進出。地区予選は6月末、8チーム中6チームまで都大会に出場できる。8チームを4チームずつに分けてリーグ戦を行い、それぞれ3位までが都大会に進める。
長男のチームは3位狙い。当初の予想通り、2敗を喫し、同じく2敗のチームと都大会をかけて戦うことになった。第1セット、シーソーゲームだったが後半長男のチームが突き放し、24対16でセットポイントを握った。しかし、ここから信じられないことが起きる。
あと1点が取れずに相手チームに迫られ、とうとう24対24のヂュースに。そこからは、取ったり取られたりを繰り返し、最後は32対34でほぼ手中にしていた1セットを落とした。
うーん、ここで心ならずも引退か。応援しているこちら側も、いやな思いがよぎる。第2セットもシーソーゲームだったが、中盤から突き放し、5点ほど差をつけて2セット目は取った。相手チームは1セット目を逆転したことで力尽きたのか、3セット目は2セット目以上に差をつけて、何とか都大会への最後のキップを手にした。
そして、今日が都大会の予選。都全域で64チームが都大会に出場。まず、8ブロックに分けて予選トーナメントが行われ、各ブロックの優勝チームが、都大会の決勝リーグに進出する。
長男たちの目標は都大会予選で1勝すること。今日の最初の試合が、ポイントである。出だし、相手に連続ポイントを許す。いつもの出足が悪いのは、長男のチームの悪いところである。目標の都大会出場で、緊張しているのだろうか。勝ち負けはどうでもいいが、自分たちの実力は100%発揮してほしい。
ようやくエンジンがかかったのか、徐々に差を詰めて逆転、第1セットをものにした。調子に乗ると、突っ走るのも、長男のチームの特徴で、第2セットはこちらの勢いに相手チームも萎縮したのか、ミスを連発。第2セットも取って、目標の都大会1勝を実現した。
その後の2回戦(都大会予選準決勝)では、格の違いもあり、敗退。長男のバレーボールに賭けた夏が終わった。
一時はチームの存続が危ぶまれ、信頼関係もなくバラバラだったチームが、都大会まで進み1勝をあげたことは、信じられない。長男を含む、中学生チームのメンバーそれぞれの成長を見せてもらった1年間だった。
長男の役目は、これからは受験生。こちらもバレーに劣らない成果を残してほしいものである。
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