2008年7月 2日 (水)

将棋の第79期棋聖戦5番勝負第3局は、挑戦者の羽生善治名人が佐藤康光棋聖に勝ち、カド番をしのぐ

第1局で『ウェブ進化論』の著者梅田望夫氏が観戦記を書いたことで注目された今期(第79期)の棋聖戦も、佐藤康光棋聖の2連勝を受け、今日(2008年7月2日)が第3局。今日、佐藤棋聖が勝てば3-0で防衛が決まる。

一昨年度(2006年度)は、5期連続タイトル挑戦をしながらも羽生三冠(当時)には3タイトル連続で敗れた佐藤棋聖。しかし、5戦目の棋王戦で森内名人・棋王(当時)から棋王位を奪い、二冠となった。今年の年初の行われた棋王戦の防衛戦では、挑戦者となった羽生二冠(当時)に2勝1敗とリードされたところから、2連勝し、3勝2敗でタイトル防衛に成功した。
棋聖戦での2連勝とあわせ、佐藤棋聖にとって対羽生戦4連勝は、初めての事らしい。(羽生名人の側は、過去には対佐藤戦12連勝という記録もある。=「玲瓏:羽生善治(棋士)データベース」より)

将棋は、中原16世名人が第一人者として君臨していた昭和50年代には盛んにタイトル戦で戦われた相矢倉模様に。後手の佐藤棋聖側は、玉を矢倉の囲いの中に入れないまま、戦うという新趣向を見せたが、羽生名人の攻めに受けきれず、投了となった。勝てば防衛が決まるという大一番で、「一度はやってっみたかった」という新趣向を取り入れるあたりは「新手の佐藤」の面目躍如というところだが、そのような冒険が出来たのも、2連勝しているという余裕と、後手という不利な立場なので、勝てばよし、負けてもいたしかたないというシリーズ5戦全体の中での戦略だったのかも知れない。

次回第4局は、来週7月8日(火)に松山市で行われる。先手番となる佐藤棋聖にとっては、2勝2敗のタイに追いつかれる前に、有利な先手番で決めてしまいたいところ。防衛が決まれば、7連覇となり棋聖戦の歴史では、大山15世名人の記録と並ぶ偉業となる。
決めたい勝負で、「新手の佐藤」がどのような戦い方を見せるのか、楽しみである。

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2008年6月28日 (土)

将棋第56期王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦で郷田真隆九段が中川大輔七段を破り準決勝進出

昨日(2008年6月27日)は、第56期王座戦五番勝負で羽生善治王座への挑戦者決定トーナメントの2回戦の最終局に郷田真隆九段が登場、1回戦で渡辺明竜王を破って2回戦に進出した中川大輔七段と対戦した。
今朝更新された将棋連盟ホームページの「最近1週間の結果」では、後手の郷田九段の「○(白星)=勝ち」。将棋の内容はわからないが、挑戦者にむけ、また一歩前進である。

これでベスト4が出そろい、準決勝の組合せも決まった。一方が、谷川浩司九段×鈴木大介八段、こちらが郷田真隆九段×木村一基八段である。4人は来期の挑戦者決定トーナメントのシードの権利も獲得した。
残った4人はいずれも順位戦A級の在籍棋士。この4人の争いを勝ち抜いた1人が、9月から10月にかけて行われる五番勝負で羽生王座に挑戦する。郷田九段の挑戦まであと2勝。前期は、準決勝で森内名人に敗れ挑戦権を逃してしるので、今年こそは、挑戦者に名乗りをあげてほしい。

また、昨日の勝利で、2008年度の郷田九段のここまでの成績は9戦して7勝2敗、勝率0.778となった。
4月に棋聖戦の挑戦者決定トーナメントの準決勝で羽生二冠、竜王戦1組準決勝で丸山忠久九段に続けて敗れた時には心配したが、その後、昨日まで負けなしの6連勝。6連勝の中には、ネット将棋最強戦での森内名人(当時)からの勝利、A級順位戦での深浦王位からの勝利も含まれており、前期からの好調を今期も維持しているようだ。

この王座戦での挑戦はもちろん、7年ぶりの決勝トーナメントに進んだ竜王戦。この二期戦では挑戦者となってぜひタイトルを奪取してほしいし、過去、たび挑戦者決定リーグ入りしている王将戦のリーグ入りを争う二次予選、挑戦者になったこともある棋王戦の挑戦者決定トーメントにも、これから登場する。

最近の郷田九段の戦いぶりをみれば、三強と言われる同世代の羽生名人、佐藤康光二冠(棋聖・棋王)、森内前名人と、ほぼ互角の戦いをしている。第65期名人戦でも森内前名人を苦しめたように、タイトル戦に出場できれば、タイトルを狙える力は十分にある。
今期こそは、少なくともタイトルを1つは奪取して、自らの扇子の揮毫「晩成」を実現させてほしいものである。

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2008年6月25日 (水)

将棋第67期順位戦B級1組2回戦、屋敷伸之九段が2連勝の好スタート

もう先週の話になるが、A級順位戦の郷田真隆九段と深浦康市王位の対局が行われた2008年6月20日にB級1組2回戦6局が東京・大阪の将棋会館でいっせいに行われた。

私が今期B級1組で注目しているのは、B級2組から昇級直後の屋敷伸之九段である。難関の奨励会三段段リーグを1期で通過し、プロ棋士となったC級2組も1期で通過。さらに10代で棋聖のタイトルを獲得し、一気にトップ棋士へ駆け上がるかと思われていた中、次のC級1組を勝ち上がるのに14年を要し、その間も棋聖位を獲得するなど非凡なところみせる。しかし、順位戦では、後からプロ入りした棋士に追い抜かれていく中、次のB級2組を抜けるのにも4年を要し、ようやくB級1組に昇級、かつて追い抜いて行った棋士の何人かには追いつき、あとはトップ10のA級まで上り詰められるかどうかである。
ちなみに、屋敷九段の通算成績は6月24日現在で908戦で585勝323敗、勝率0.6443とA級棋士と比較しても遜色ない成績である。(A級となると順位戦での対戦相手のレベルがトップクラスなので、勝率だけの比較には問題もあるが、屋敷九段も棋聖タイトル3期、王位戦挑戦の実績がある)

6月20日のB級1組2回戦では、畠山鎮七段と対戦。畠山七段の攻めに屋敷玉が危うい場面もあったが、しのいで最後は畠山玉を追い詰めた。初戦の高橋道雄八段戦に続き、2連勝。激しい星のつぶし合いが続くB級1組では2回戦を終え、13人の棋士の中で2連勝はA級から降級直後の久保利明八段と屋敷九段の2人だけとなった。このまま一気に突っ走り、A級昇級を勝ち取れるか注目し続けて行きたい。

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2008年6月21日 (土)

将棋第67期A級順位戦、郷田真隆九段は深浦康市王位を破り、今期も白星スタート

森内名人×羽生挑戦者の第66期名人戦の激闘がまだ続く6月11日から、次の名人挑戦者を決める第67期のA級順位戦がスタートした。

1回戦は
第1局(6月11日)谷川浩司九段×藤井猛九段戦(谷川九段勝ち)
第2局(6月17日)佐藤康光二冠(棋聖・棋王)×鈴木大介八段戦(佐藤二冠勝ち)
第3局(6月19日)丸山忠久九段×三浦弘行八段戦(丸山九段勝ち))
と行われ、
昨日(2008年6月20日)が
第4局となる郷田真隆九段×深浦康市王位戦だった。

郷田九段も深浦王位も、A級に昇級しながら1期で陥落するという辛酸をなめる思いを2回経験しながら、三度(みたび)、A級に返り咲いた苦労人であり不屈の棋士である。

郷田九段は3回目の復帰である20005年の第64期順位戦でA級10位の位置で5勝4敗と勝ち越し、ようやくA級残留を果たし、翌年の第65期ではA級4位の位置で7勝2敗でA級を制し名人挑戦者となった。第65期名人戦では3勝4敗で惜しくも敗れたが、A級1位の地位で迎えた前期(第66期)も、最後まで出だし4連勝で飛び出し、最後まで挑戦者争に絡み6勝3敗で終了、今期のA級3位の位置を確保した。前期、挑戦者となった羽生現名人は8勝1敗でA級を制したが、その1敗の相手が郷田九段である。

一方の深浦王位は、以前にもこのブログでも紹介したが、第63期(2004年)、第65期(2006年)と過去2回のA級昇級時はいずれも4勝5敗ながら、降級するという憂き目にあった。今回は、これまでの深浦八段としてではなく、王位のタイトルホルダーとしてA級定着に3度目の挑戦である。

過去の2人の対戦成績は深浦王位11勝、郷田九段7勝と郷田九段の負け越しであるが、これは、郷田九段が2001年から2003年にかけ4連敗したことが響いていて、2005年以降は逆に郷田九段の3勝1敗である。

昨日の将棋の内容は、先手が深浦王位。お互いに飛車先の歩を突きあう相掛かりの将棋。序盤の駒組の段階での深浦王位の一瞬に隙を郷田九段がとらえ、開戦。まず一歩駒得を確保した上で、深浦陣の端を攻め、深浦玉の守りが固まる前に深浦陣を攪乱、飛車や歩が次々と成り、一気の終盤戦に。
しかし、郷田九段も持ち駒は少なく、攻めが途切れると反転攻勢を受けるおそれがある。少ない攻め駒で、少しづつ包囲網を狭めるようにして攻めをつなげ、最後に形作りの深浦王位の攻めもあったものの、郷田玉を脅かすには至らず、郷田九段が着実の包囲網を狭め、最後は詰み筋が見えたところで、深浦王位の投了となった。すでに時計は午前0時を回り、21日の0時23分だった。

途中、深浦王位の受け方次第では、まだ難しかったという局面もあったようで、対局後の感想戦は午前3時半を過ぎても続いていたとのこと。
勝っても、負けても、どの手が正解・最善手なのか、極めようとするプロ棋士の世界は、凡人の想像を絶する世界である。

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2008年6月19日 (木)

将棋の第49期王位戦での深浦康市王位への挑戦者も羽生善治新名人が名乗り

羽生善治新名人誕生の興奮さめやらぬ中、今日(2008年6月19日)の東京・千駄ヶ谷の将棋会館では、7月から始まる第49期王位戦七番勝負での深浦康市王位への挑戦者を決める決定戦が行われた。
それぞれ、6人総当たりの紅組・白組のリーグ戦を制した、羽生善治名人と注目の若手棋士の一人橋本崇載七段の対決である。

戦型は、先日の第66期名人戦でもたびたびたび登場した互いに飛車先の歩を突きあう相掛かりの将棋。途中、羽生名人が橋本陣に角を打ち込み、自陣に引き戻し「馬」を作る事に成功。馬が玉をがっちりと守る形となった。さらに羽生名人は2枚の「と金」作りに成功、と金2枚で橋本陣の金を剥がし、「金」得に。本格的な戦いが始まる前に、戦局はは羽生名人勝勢となり、橋本七段が投了。羽生名人が王位戦挑戦者にも名乗りを上げた。

これで、羽生名人は、昨年暮れから棋王戦、名人戦、棋聖戦、王位戦と4 タイトル戦に連続して挑戦者として登場することになった。かつて7つのタイトル全てを制し7冠となった頃の勢いを思わせる快進撃である。
王位戦では、前期自らがタイトルホルダーとして、深浦八段の挑戦を受け、3勝4敗で敗れた。深浦八段は、初めてのタイトル獲得となった。
しかし、その王位失冠が羽生二冠の闘争心に火をつけたのか、その後の挑戦者としての連続登場は、前々期の佐藤康光棋聖の5連続タイトル挑戦に迫る勢いだ。

7月から始まる第49期王位戦七番勝負では、深浦王位が虎の子のタイトルを守れるかどうか。上位棋士の中では、対羽生戦の成績が18勝20敗とほぼ互角の成績を維持している深浦王位。今回、防衛に成功すれば、準タイトル扱いだった朝日オープン選手権1期、王位2期で、タイトル3期獲得の扱いとなり「九段」に昇段するはずである。タイトルは獲るのも難しいが、それを守るのも難しい。タイトルを獲った棋士だけでも、将棋界の歴史の中で数えるほどだが、それを防衛した棋士となるとさらに限られてくる。
今の羽生名人の勢いを止め、タイトル防衛を果たせるか、深浦王位の真価が問われる七番勝負になるだろう。

明日は、その深浦王位と私が応援する郷田真隆九段のA級順位戦もある。しばらく、将棋の記事が続きそうだ。

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2008年6月18日 (水)

2年連続で永世名人誕生という快挙と森内俊之前名人の今後

将棋界の話題は、羽生新名人&永世(19世)名人の話題で持ちきりである。毎日新聞社と共催ではあるものの、今期から名人戦の主催社に復帰した朝日新聞社にとっても、格好の話題で、今日の朝日新聞では、1面に「羽生、永世名人に」という記事を大きく載せ、2面の「ひと」のコーナーでも羽生新名人をとりあげ、夕刊でも一夜あけた羽生名人の声が伝えられていた。(しかし、もう一方の主催社である毎日新聞でどのような報道がされているのかを確認するのに、駅の売店で毎日新聞を買うのをすっかり忘れてしまったのは、自分としては大失敗である。比較がブログのネタになったに違いないのに)

思い起こせば、1年前、同じように、名人位在位通算5期とし、永世名人(18世)資格を獲得した森内前名人の一夜あけた翌朝の声が伝えられていた。
片上大輔五段は自身のブログの中で「二年連続で永世名人の資格者が誕生するというのは、将棋界400年の歴史の中では初めてのことと思います。おそらく、空前絶後となるのではないでしょうか。」と書いていたが、おそらくその通りであろう。

昨年の名人戦では、森内名人の対戦相手で、惜しくも敗れた郷田真隆九段をずっと応援していた私は、森内名人の翌朝のインタビュー記事を複雑な思いで読んだが、当然ながら、そのような際に敗者については、一切伝えられることはない。
森内名人は、昨年は自らが永世名人となるという主役の座にあり、今年は、一転、「敗軍の将兵を語らず」で、羽生新名人の引き立て役に回ることになった。勝ち負けは、勝負の世界の常とはいえ、その心中を察すると、余りあるものがある。

前回、丸山忠久名人を4連勝で破り、初タイトルとして名人位を獲得(2002年、第60期)した翌年の第61期(2003年)名人戦は、2度目の森内×羽生戦となり、4連敗で名人位を奪われる。しかし、その時は、昨日も書いた通り、戻ったA級順位戦を9戦全勝で制して、第62期(2004年)名人戦では、羽生名人にリターンマッチを挑み、4勝2敗で名人位を取り返している。
今回は、どうであろうか。

森内前名人の2000年度以降の成績を見ると次のようになっている。

年度 対局 勝率 トピック
2000 56 41 15 0.7321
2001 58 38 20 0.6551
2002 44 26 18 0.5909 名人獲得
2003 64 46 18 0.7187 名人失冠、竜王・王将獲得
2004 55 29 26 0.5272 名人獲得、竜王・王将失冠
2005 49 32 17 0.6530 棋王獲得
2006 47 28 19 0.5957 棋王失冠
2007 45 24 21 0.5333
2008 9 3 6 0.3333 名人失冠

(出所:将棋連盟ホームページ等)

最初の名人位失冠後は、その後奮起し、同じ2003年度中に竜王、王将を羽生名人から奪い、翌年の名人位奪回とあわせ、一時名人・竜王・王将の三冠を保有した時期もある。
少々気になるのは、2005年度以降、年々勝率が下降していることである。タイトル戦でも、今年これから始まる王位戦、王座戦、竜王戦ではすでに挑戦者争いから名前が消えており、半年間は前名人・九段の状態続くことになりそうである。
敗軍の将、森内前名人がどのような形で復活を遂げるかも、しばらく注目していきたい。

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2008年6月17日 (火)

第66期名人戦第6局、挑戦者の羽生善治二冠が森内俊之名人を破り、4勝2敗で名人位奪回、羽生19世名人誕生

昨日(2008年6月16日)から行われていた将棋の第66期名人戦七番勝負第6局は、3勝2敗で名人位奪回まであと1勝と迫っていた挑戦者の羽生善治二冠(王座・王将)が、森内俊之名人を破り、この七番勝負で4勝目をあげ、名人位復帰を果たした。
名人位在位が通算5期となったことで、永世名人資格もあわせて獲得。昨年の森内18世名人に続く、羽生19世名人の誕生である。

将棋の内容は、このシリーズ第3局、第5局と森内名人が先手番だった時に採用したお互いに飛車先の歩を伸ばしあう相掛かり戦法を、羽生二冠が採用。森内名人が優位を築いた戦法を採用し、自らの先手番が確定している第6局で決めてしまいたいという意思表示でもあったのだろう。

羽生陣営が飛車、角、銀、桂を森内玉の向け攻撃の焦点を絞り込む。途中、森内名人も羽生陣に歩を打ち込み、「と金」作りに成功したが、十分活用しきれないまま終わり、羽生二冠は飛車捨てて、森内玉の逃げ道にふたをした上で、寄せにかかる。森内名人も角を捨てて最後の反撃を試みるが、形作りの感も否めず、再び羽生二冠が攻めに転じると、ほどなく森内名人の投了となった。
その時点で、森内名人は、無冠の前名人・九段となり、羽生二冠は羽生名人(・王座・王将)となった。

羽生新名人にとって、名人位奪回は永年の悲願だったに違いない。以前もこのブログで書いたことがあるが、トーナメントが中心の他のタイトル戦と違い、名人への挑戦権は、プロ棋士の頂点とも言える順位戦のA級に在籍する10人の総当たりリーグ戦を制したものに与えられる。毎年下位2名は、一つ下のB級1組に降級し、B級1組の上位2名が昇級してくる。6月から3月までの10ヵ月間、毎月1局ずつ。おそらく、気を抜ける戦いなど1局もない。このトップ10によるリーグ戦で最も多くの勝ち星をあげなくてはならない。
誰が見ても、現在の将棋界の第一人者の羽生新名人であっても、毎年、A級を制することは容易なことではなかった。

羽生新名人は、初めてA級に昇級した第52期順位戦(1993年度)でA級を7勝2敗で制し、第52期名人戦(1994年)に、前年史上最年長の49歳で新名人となった米長邦雄名人の挑戦者として登場し、米長名人を4勝2敗で降して、初の名人位に着く。その後、それぞれ自分と同じようにA級昇級初年度でA級を制した森下卓八段(第53期)、森内俊之八段(第54期)をそれぞれ4勝1敗で降し、3連覇を達成した。この時点は、通算5期の永世名人位獲得も時間の問題と誰もが考えていたに違いない。

しかし、ここで谷川浩司竜王が待ったをかけた。前年(1996年)秋に将棋界のもう一つのビッグタイトル竜王位を羽生から奪還した谷川は、第55期(1996年度)の A級順位戦も8勝1敗で制し、名人挑戦者として登場し、七番勝負では4勝2敗で羽生名人を破り、3度め、通算5期目の名人位獲得を果たし、永世名人(17世名人)資格を獲得した。
その後、同世代の強者が続々とA級に昇級してくる中、A級を制することさえ難しくなった。その間、名人位は谷川(第55期)から佐藤康光(第56期・第57期)、丸山忠久(第58期・第59期)と森内俊之(第60期)と羽生世代の棋士達の間を転々とする。

久々のチャンスが巡って来たのは、第61期(2002年度)のA級順位戦。この時は、佐藤康光王将、羽生竜王、藤井猛九段との3人が6勝3敗で並んだ。下位から順に組まれるトーナメントのプレーオフで初戦藤井九段、そして佐藤王将を破って森内名人への挑戦者となり、第61期名人戦では4連勝で森内名人から名人位を奪回し、7期ぶり通算4期目の名人位獲得を果たした。永世名人まであと1期となった。

しかし、ここから、ライバル森内俊之が立ちはだかる。名人失冠後の2003年度の第62期順位戦を9戦全勝という圧倒的強さで勝ち抜いた森内は、第62期名人戦(2004年)で4勝2敗で羽生名人を降し、1年のブランクで再び名人に復位。翌年の第63期(2005年)でも、リターンマッチに登場した羽生を4勝3敗の激戦の末降し、名人戦2連覇。通算3期とし、さらに第64期谷川浩司九段を4勝2敗、第65期郷田真隆九段を4勝3敗と毎期挑戦者を退け、名人戦4連覇、通算5期となり、すでに永世名人にリーチをかけていた羽生の永世名人獲得を2度阻んだ後、羽生より先に永世名人位(18世名人)資格を得た。

今期は、すでに永世名人を獲得した森内名人とあと1期の羽生挑戦者の戦い。将棋ファンの気分は「羽生二冠が永世名人になるのは当然」ということだったと思う。守る側の森内名人も相当意識していただろう。実力が拮抗する両者の戦いでは、やはり先に指す先手が有利という近年の実績である。シリーズを振り返って見れば、第3局を除き先手が勝っている。森内名人先手で途中勝勢とまで言われた第3局を、執念で後手番の羽生二冠が逆転勝利したことが、今期の名人戦のキー・ポイントだった。

永世名人位を獲得したことで、現在ある7つのタイトル戦のうち、永世称号を獲得していないのは、竜王位だけとなった。こちらは、連続5期か通算7期という条件で、現在竜王位にある渡辺明竜王が4連覇しており、今期連続5期目の永世竜王位獲得に挑む。
ランキング戦1組の1回戦で深浦王位に敗れた羽生新名人は挑戦者決定の決勝トーナメント進出に黄色信号がともったが、そこから1回戦の敗者8人で行う5位決定トーナメントを制し、1組5位となり、挑戦者への可能性を残した。

郷田真隆九段のファンである私としては、1組3位で竜王戦決勝トーナメント進出を決めた郷田九段に渡辺竜王の永世竜王位獲得を阻む挑戦者となってほしいが、世間は羽生「永世7冠」を期待することだろう。これから始まる竜王戦の決勝トーナメントもおもしろくなってきた。

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2008年6月12日 (木)

将棋第21期竜王戦1組3位決定戦で、郷田真隆九段が鈴木大介八段を破り、第14期以来7年ぶりの決勝トーナメント進出を決める

昨日(2008年6月11日)は、新潟で第79期棋聖戦5番勝負の開幕、大阪でA級順位戦の開幕戦である1回戦第1局の谷川九段×藤井九段戦があり、東京では竜王戦の1組3位決定戦郷田真隆九段×鈴木大介八段戦が行われた。
将棋連盟のホームページに掲載された昨日の対局の結果を見ると、3位決定戦は後手の郷田九段の勝ち。7年前の2001年、第14期竜王戦で1組3位となって以来、久しぶりの決勝トーナメント入りである。

竜王戦の予選の最上位クラスである1組は定員16名のトーナメント。1組決勝の勝者が1位、敗者が2位、準決勝の敗者2名で3位決定戦、2回戦の敗者4名で4位決定トーナメント、1回戦の敗者8名が5位決定トーナメントを戦う。要するに、全勝(1位)と3勝1敗の4名が挑戦者を決める決勝トーナメントに進出する。
今期の1組は優勝(1位)丸山忠久九段、2位木村一基八段、3位郷田九段、4位深浦康市王位(松尾歩七段を破る)、5位羽生善治二冠(中原誠16世名人を破る)となり全員A級棋士が顔を揃えた。
今回、1回戦で郷田九段に敗れた中原16世名人は5位決定トーナメント1回戦で森内名人、2回戦で2年連続竜王戦挑戦者でもある佐藤康光二冠と2人の最強世代の現役タイトルホルダーを破って5位決定決勝戦まで駒を進めたが、決勝では最強世代第一人者羽生二冠に敗れた。
また、羽生二冠は1組1回戦で深浦王位に敗れたものの、5位。その深浦王位も2回戦で鈴木八段に敗れたが4位、一方の鈴木八段は準決勝で木村八段に敗れ、3位決定戦に回り、そこでも郷田九段に敗れ、決勝トーナメント進出を逃すという結果になった。

竜王戦の決勝トーナメントは、2組以下は2組優勝(山崎隆之七段)、2組2位(久保利明八段)、3組優勝阿久津主税六段、5組優勝糸谷哲郎五段、6組優勝豊島将之四段と各年代の実力者が揃った。残る4組決勝増田裕司五段×伊奈祐介六段戦が、今日(6月12日)、大阪で行われている。4組優勝者が決まれば、いよいよ秋の竜王戦七番勝負にむけ、挑戦者を選ぶトーナメントが始まる。決勝トーナメントは、棋譜のネット中継が行われるので、郷田ファンとしては、これから夏場にかけての楽しみが一つ増えた。

郷田九段の初戦の相手は2組優勝の山崎隆之七段。今期からB級1組の昇級した若手のホープではあるが、郷田九段は今年度に入って、7戦して負けた相手は棋聖戦予選準決勝の羽生二冠と竜王戦1組準決勝の丸山九段戦だけ。従来、時折みせた順位が下位のクラスの棋士との対戦での敗戦がなくなった。格下に確実に勝ち、同世代のタイトルホルダー羽生・佐藤・森内の3強、これまで相性の悪かった丸山九段らと互角の星を残していけば、再びタイトルを手にする日も遠くないと思う。まずは、この竜王戦、さらにベスト8まで駒を進めた王座戦で挑戦者となって、タイトル獲得を実現させてほしいものだ。

なお、昨日、大阪で行われたA級順位戦の開幕戦、谷川九段×藤井九段戦は、78手で谷川九段の勝ち。やや精彩を欠いた感のある藤井九段の指し回しが気になるところである。

<追記:2008年6月15日>従来「挑戦者決定トーナメント」と表記していたものを、竜王戦での呼び方である「決勝トーナメント」に訂正しました。

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2008年6月11日 (水)

将棋の第79期棋聖戦5番勝負第1局は、佐藤康光棋聖が挑戦者の羽生善治二冠に勝利

第66期名人戦が森内名人2勝、挑戦者の羽生善治二冠(王座・王将)3勝と名人位の行方を第6局以降に持ち越している中、次のタイトル戦である第79期棋聖戦5番勝負の第1局が新潟市で始まった。
こちらは、7連覇を目指す佐藤康光棋聖(・棋王)に、羽生善治二冠が挑戦する。佐藤棋聖が7連覇を達成すれば、棋聖戦の歴史の記録である大山康晴15名人の7連覇に並ぶことになる。今回は、年初に佐藤棋聖と対談した、『ウェブ進化論』の著者梅田望夫さんが、アメリカシリコンバレーから来日し、ウェブ観戦記を書くというイベントも企画されている。(梅田氏の観戦記はこちら
梅田氏が観戦記執筆のために来日するということで、解説の仕事のために現地入りした渡辺明竜王に加え、深浦康市王位と遠山雄亮四段(梅田氏の『ウェブ時代をゆく』で紹介された棋士)の2人も解説のため新潟入りしている。将棋のタイトルは7つあるが、対局者の2人と解説の2人で併せて6冠が新潟に揃うことになった。

梅田さんは5回に分けてウェブ観戦記を書いているが、その初回で羽生二冠が駒の中で「銀」をもっともよく使うという話を紹介し、一方、佐藤棋聖には、自らメールで質問し、
佐藤棋聖が一番使い方に気を遣っている「桂馬」という答えを得ている。

将棋の内容の方は、後手となった佐藤棋聖が角交換に出て、双方「角」を持ち駒として持つ一方、先手となった挑戦者羽生二冠が居飛車に構え右の銀を前線に繰り出し、羽生の「銀」が焦点となった。佐藤棋聖は、銀とともに前線に飛びだいして来た飛車の動きを咎めるように飛車取りの角打ちをみせ、飛車が逃げたところで羽生陣に角が成り込み、「馬」を作ることに成功。羽生二冠はその「馬」を消すべく自陣で角をあわせるが、佐藤棋聖がせっかく作った「馬」と角の交換に応じるはずもなく、「馬」は佐藤陣に引き戻され、のちのち手薄になった佐藤玉のを守りの駒として、重要な役目を担うことになった。
一方、攻めかけていた羽生二冠側は、「馬」が佐藤陣に引かれたことで、攻め駒の飛車が佐藤陣を攻め崩すには至らず、むしろ、どこに飛車を動かしても、佐藤棋聖から狙われて、右往左往させられているようにも見えた。
羽生二冠の飛車が追われ、定位置が定まらない中、序盤で佐藤棋聖の「馬」を追うため、羽生二冠が自陣に打ち、遠く佐藤陣をにらんだまま、働いていなかった角が狙われる。佐藤棋聖の「桂」打ちとその後の桂成りで、羽生二冠の角は逃げ場を失う。
最終的に、馬でがっちりと守られる佐藤玉を攻める有効な手だてがなく、自玉はいくらでも攻められる筋があるというワンサイドの状態になったところで、羽生二冠が投了した。全体を通してみれば、序盤に交換し、お互いに打ち合った角の働きの差、一方は「馬」として守りで大きな威力を発揮し、一方はほとんど働かないまま逃げ場を失なったことの差が、第1局の勝敗の差になのではないだろうか。(棋譜はこちら

今日は、さらに第67期A級順位戦の開幕戦谷川浩司九段×藤井猛九段戦が大阪の将棋会館で行われている。また、棋譜は公開されないが、竜王戦の挑戦者決定トーナメント進出をかけた竜王戦1組の3位決定戦で私が応援する郷田真隆九段と鈴木大介八段が東京の将棋会館で対戦している。
この2局については、明日、書くことにしたい。

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2008年6月10日 (火)

『将棋世界』「初段コース」2回めの結果は4問中1問正解にの100点、初段まであと4問400点

先週末に、先月応募した『将棋世界』6月号の「初段・二段・三段コース」の採結果のハガキが返送されてきた。自分としては、4問中2~3問は正解できているのではないかと期待していたが、やはりそれほど甘くはなくて、かろうじて1問正解の100点という結果だった。

5月号の3問正解の時と比べると、各設問の盤面図の次の一手は、間違いなくこの手だと確信できていたものは少なく、なんとなく「この手ではないかな」程度のレベルで応募していたので、文字通り「詰め」が甘かったということだろう。

5月号、6月号の2回分の得点累計が400点で、初段の条件の800点のようやく半分、残りあと400点が必要だ。7月号で4問前回正解すれば、届くところまで来た。7月号の問題は、前回の反省もあり、自分でも将棋盤に駒を並べ、納得・確信が得られるまで、何度も考えて、4問中3問までは、それなりの次の一手を思いついたのだが、残る1問が、どうしても、確信が持てないでいる。どこかで、もう1回問題図を並べて、考えて見た上で、それでも答えが変わらなければ、それで応募しようと思う。

なんとかあと1ヵ月で、初段の資格を確保したいものである。

過去の関連記事
2008年4月6日:将棋のアマチュア初段のチャレンジ開始
2008年5月3日:『将棋世界』の「初段コース」の第1回応募の結果は4問中3問正解の300点

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2008年6月 6日 (金)

第66期将棋名人戦第5局は、森内俊之名人が羽生善治二冠を破り、カド番をしのぐ

昨日(2008年6月5日)から、山梨県甲府市で行われていた第66期将棋名人戦七番勝負第5局は1勝3敗でカド番に追い詰められていた森内俊之名人が勝って、対戦成績を2勝3敗とし、シリーズの決着は第6局以降に持ち越されることとなった。

将棋の内容は、先手番の森内名人が飛車先の歩を互いに伸ばす相掛かりの戦法を採用。素人目に見ると、終始、森内名人のペースで、いつの間にか名人が優勢と築いていたという展開だ。最後は、自玉も決してえ余裕のある状態ではなかたものの、羽生玉を、守りの金銀から引き離し、持ち駒にしていた金3枚で追い詰め、羽生二冠の投了となった。

これで成績は2勝3敗。森内名人から見て○●●●○という展開である。第6局目までは、先手・後手が交互に入れ替わるので、第3局を除いて先手が勝っている。森内名人が先手で敗戦した福岡での第3局は、途中まで森内名人が圧倒的な優位を築いていながら、羽生二冠の粘りが大逆転を呼び込んだ。
そもそも、力が拮抗しているトッププロ同士の対戦なので、先手・後手のわずかな差も、勝敗に影響する。森内名人にとっては、今日の勝利はむしろ計算のうちで、問題は羽生二冠先手の第6局であろう。第3局の借りを返せるか。

羽生二冠としては、自分が先手の第6局で決めたいだろう。負けて、3勝3敗となれば、第7局の先手・後手は再度振り駒で決める。どちらが先手をなるかは神のみぞ知る世界。自分の先手で、主導権が握れる第6局で決めに来るだろう。

第6局は、6月16(月)・17日(火)の両日、将棋の駒の産地でもある山形県天童市で行われる。

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2008年6月 4日 (水)

将棋第67期順位戦開幕、屋敷伸之九段がB級1組初戦勝利

まだ、第66期将棋名人戦は続いているが、昨日(2008年6月3日)、第67期順位戦が開幕した。プロ棋士たちの序列を決める10ヵ月に及ぶ戦いの始まりである。

昨日はC級2組の21局とB級1組の高橋道雄九段×屋敷伸之九段戦が行われた。A級以外は毎回いっせい対局が原則の中、B級1組の他の対局に先駆けて高橋×屋敷戦が行われた理由のは、2人が本来のB級1組の対局が行われる6月6日(金)に、名人戦第5局(6月5日・6日)の立会人(高橋九段)、副立会人(屋敷九段)をつとめるからということらしい。ネット中継(「名人戦棋譜速報」)では、高橋×屋敷戦を見ていた。

屋敷九段の先手だが、陣形は高橋九段の得意の横歩取りという戦法に。高橋九段が攻め、屋敷九段が受けるという展開が続いたが、屋敷九段は、高橋九段が屋敷玉を守る銀を取りに歩をぶつけて来た一手を、手抜き(受けをせず)をして、高橋陣に銀を打ち込んだ。そこから、攻めの主導権を握り、20手足らずで、一気の寄せきってしまった。

2人の戦いは、順位戦では初対戦。他の棋戦も含めると、過去、屋敷10勝、高橋5勝という成績で、過去タイトル5回獲得の実績を持つベテラン高橋九段も屋敷九段にとっては相性の良い相手だったようだ。

前期B級2組で、最終戦勝てば自力昇級という位置につけながら、最終戦を落とし、競争相手の敗戦で、7勝3敗という成績で辛くも昇級した屋敷九段。これまで、3度棋聖のタイトルを取っていながら、順位戦では実績に見合わないC級1組に14年間低迷してきた。B級2組は4期で抜け、ようやく実績相応のB級1組に。タイトル戦での活躍を考えれば、A級に上がってもおかしくない。今期のB級1組では、屋敷九段に注目していきたい。

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2008年6月 2日 (月)

第79期棋聖戦、挑戦者決定トーナメント準決勝郷田真隆九段×羽生善治二冠戦の棋譜が公開された

佐藤康光棋聖に羽生善治二冠が挑戦する将棋の第79期棋聖戦5番勝負は今月11日に開幕する。6連覇中の佐藤棋聖に同じく過去6期棋聖位を獲得している羽生二冠が挑む。羽生二冠は、現在挑戦中の名人戦とこの棋聖戦をあわせて制すれば、一気に二冠から四冠に復帰となる。絶好調ともいえる羽生二冠の勢いを佐藤二冠が止められるのか、興味深い。

その棋聖戦の挑戦者決定トーナメント準決勝の郷田九段×羽生二冠戦の棋譜が、主催社産経新聞社のウエブサイトで公開された。郷田ファンとしては、応援する郷田九段が負けた対局は見たくないという思いは強いが、この準決勝はかなりの146手とかなり長手数を要しており、どんな展開だったのかが、気になっていた。

棋聖戦の棋譜は解説が入らないので、素人目には細かい綾はわからないが、この対局は後手の羽生二冠が序盤の駒組みで優位を確保し、そのまま押し切った感じだ。
最初、駒組みは相矢倉の様相で進んだが、その後羽生陣二2にいた角が5五に飛び出し、5 四に銀を上がって角にひもをつけ、さらに、5筋に飛車が回り中飛車に。5五に出た角は、もと飛車のいた8二角に戻るというダイナミックな駒組を進めた。
郷田九段は、見慣れない形に振り回されたかなという印象である。その後も、囲いに入った玉に近い9筋を破られ、郷田玉は放浪の旅へ。逃げる中、何とか逆転を狙い羽生玉に迫ろうとするが、形勢を逆転するには程遠く、最後、郷田玉が盤面中央の5五まで逃げたが、羽生二冠の的確な切り返しに、郷田九段の投了となった。
郷田九段にとっては、反省点の多い敗戦だったのではないかと思われる。

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2008年6月 1日 (日)

ネット将棋最強戦、ディフェンディング・チャンピオンの郷田真隆九段は1回戦で森内俊之名人を破る

羽生二冠のクリックミスによる思わぬ敗戦という話題で有名になった第2回ネット将棋最強戦。毎週日曜日夜8時からの対局で、お茶の間ネット観戦を可能にしているファンに見せることを考えている棋戦である。

第1回の優勝者である郷田真隆九段は、今日(2008年6月1日)1回戦の第5局に登場。対戦相手は昨年の第65期名人戦でフルセットの死闘を演じた森内俊之名人である。
ネット将棋最強戦の第2回大会の出場者コメントには、

【出場に対しての抱負】
連覇を目指して頑張ります。
【1回戦対戦相手に一言】
名人戦以来勝てていません。星を返したい。

郷田九段の自分の将棋をファンにどう見てもらうか、常にファンに見られていることを意識している郷田九段にとって、この棋戦の昨年の優勝はうれしいことだったと思うし、ネットの向こうで、戦いの行方をかたずを飲んで見つめているファンの姿を意識することは、励みとなり、さらにやる気を奮い立たせる材料に違いない。

対局は郷田九段の先手。お互い飛車先の歩を突きだし、相手陣の角頭の歩を取り合い、郷田九段の飛車は2八、森内名人の飛車は8六に構えた。その後、先手の郷田九段主導で駒組みが進む。
郷田九段の攻め側の銀が盤面中央の5五まで進出、飛車を4八に回し、4筋を攻め崩そうという形があきらかになる中、森内名人が銀取りに△6四銀と銀取りにぶつけて、一気に戦いが始まった。しかし、終始、郷田九段ペースで郷田九段が一手先に踏み込んで攻める形が続き、森内名人が攻めの主導権を取るべく5五に打ち込んだ角も、郷田九段が攻め手順の中でで逃げ道をなくし、森内名人は駒損を承知で角を切って角銀交換をせざるを得なくなった。

ほぼ力が拮抗している2人の対戦で角銀交換による駒損は大きい。相手の打った角を仕留めたところで、郷田九段も勝ちを意識したようだ。その後は、寄せに向けての手順が続く。森内名人側に反撃らしい反撃もなく、郷田九段が森内玉を追い詰め、郷田九段が105手目を指したところで、森内名人の投了となった。

森内名人は、終局後のコメントで「完敗」と書いている。最近、中原16世名人に敗れ、竜王戦の1組からの陥落、第66期名人戦で挑戦者羽生二冠に初戦勝ったあと3連敗。王座戦挑戦者決定トーナメントでは1回戦で新鋭阿久津六段に敗れるなど、今期は4月以降、1勝5敗となった。前期も年間で45戦で24勝21敗、勝率0.5333と決して好調とは言えず、カド番に追い詰められている 名人戦の第5局で、踏ん張れるのかは気になるところである。

一方、大会前のコメントで森内名人に対し、「星を返したい」としていた郷田九段の終局後のコメントは「強敵に勝つことができてうれしく思います」というものだった。2回戦は、来週1回戦を戦う木村一基八段×阿久津主税六段の勝者と相まみえることになる。

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2008年5月30日 (金)

将棋の第49期王位戦の挑戦者は、羽生善治二冠と橋本崇載七段の戦いに

昨日(2008年5月29日)は、王位戦の挑戦者決定リーグ戦の最終日。シード棋士4名と予選通過者8名の計12名が6名ずつに分かれ、紅組・白組のリーグで戦い、それぞれのリーグのトップ同士で、挑戦者決定戦を行う。

紅組は、4勝の羽生二冠を3勝1敗の木村一基八段と阿久津主税六段が追う展開。最終戦では、羽生×木村の直接対決があり、阿久津六段は2勝2敗の山崎隆之七段との対戦。木村八段が勝てば、4勝1敗で3人が並ぶ可能性がある。
結果は、羽生×木村戦は羽生二冠の勝利で5戦全勝。白組のトップが確定し、挑戦者決定戦に進出した。阿久津六段も勝って4勝1敗で2位が確定。リーグ残留を決めた。
以下、3位木村八段3勝2敗、4位山崎七段2勝3敗、5位松尾歩七段1勝4敗、6位井上慶太八段0勝5敗という順になった。3位以下の4名はリーグ落ちが決まり、来期は再び予選から参加である。

白組は、3勝1敗で丸山忠久九段と橋本崇載七段が並び、2勝2敗が久保利明八段、島朗九段、1勝3敗が渡辺明竜王と中座真七段。
最終戦で丸山九段×橋本七段戦が組まれており、勝者が白組トップとなる。結果は、橋本七段が、名人経験者でもある丸山九段を降し、白組を制し、挑戦者決定戦への進出を決めた。
白組の最終結果は、2位丸山九段3勝2敗、3位久保八段3勝2敗、4位島九段、中座七段2勝3敗、6位渡辺竜王1勝5敗、となった。(2位、3位は今期リーグ開始時の順位による。丸山九段はシード棋士で白組2位、予選通過者4名は3位のいうポジション)。リーグ残留は橋本七段と丸山九段に決まった。

挑戦者決定戦は、羽生善治二冠と橋本崇載七段の対戦となった。両者の対戦は過去1回しかないらしく、2005年1月にNHK杯で対戦し羽生二冠が勝っている。

これまでの実績からすれば、羽生二冠有利の下馬評だが、若手の注目棋士の一人橋本七段が一矢報いて、タイトル戦という大舞台に登場することができるかが、一番の見どころだろう。将来、A級棋士を目指し、名人やタイトルを争う棋士を目指すには、羽生二冠の壁を一度は超えて起きたいところ。

羽生二冠が勝って、前期失冠した王位戦でも深浦康市王位へのリターンマッチに登場するとなると、以前も書いた通り、棋王、名人、棋聖、王位と、自らタイトル保持者でないタイトル戦で4タイトル連続挑戦者となる。その間、自らタイトルを持つ王将の防衛、王位戦の後には、王座の防衛戦もあり、タイトル戦への羽生二冠の登場が続くことになる。

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2008年5月29日 (木)

将棋第56期王座戦挑戦者決定トーナメントで、郷田真隆九段が杉本昌隆七段を破りベスト8進出

羽生善治王座への挑戦者を決める第56期王座戦の挑戦者決定トーナメントの最終第8局郷田真隆九段×杉本昌隆七段戦が、昨日(2008年5月28日)に東京の将棋会館で行われた。郷田九段が「マサタカ」対決を制し、2回戦進出を決めた。

郷田九段は、昨年の挑戦者決定トーナメントベスト4なので、予選免除のシード棋士として今期の王座戦初登場。一方、杉本七段は、2次予選で阿部八段、橋本七段を破ってのトーメント進出だった。

これで、シード棋士5名、2次予選通過者11名の計16名で戦われた挑戦者決定トーナメント1回戦も全対局を終え、ベスト8が出揃った。ベスト8の顔ぶれは、トーナメント表の左から順に次の通りである。なお、( )内は1回戦で破った相手。★印はシード棋士。

阿久津主税六段(★森内名人)
谷川浩司九段(村山五段)
鈴木大介八段(藤井九段)
畠山鎮七段(★佐藤二冠)
★郷田真隆九段(杉本七段)
中川大輔七段(★渡辺竜王)
木村一基八段(飯塚六段)
★久保利明八段(堀口七段)

Chouketsu_8 1回戦で森内名人、佐藤二冠、渡辺竜王というタイトルホルダーのシード棋士3名が敗れる波乱があり、挑戦者争いは混沌としている。
郷田九段の2回戦の相手は、中川大輔七段である。2001年度以降、3回対戦があり郷田九段の3戦全勝である。まずは、2回戦の中川七段戦に勝って、来期のシードも確定させた上、今期こそは挑戦者に名乗りをあげてもらいたいものである。

郷田九段の今期の成績は、これで2勝2敗。次の対局は、6月1日(日)に、前期優勝したネット将棋最強戦で、森内俊之名人と戦う。

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2008年5月22日 (木)

郷田真隆九段、第56期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦にようやく登場

私は、将棋の郷田真隆九段のファンだが、ここのところ手持ち無沙汰であった。4月25日の竜王戦のランキング戦1組準決勝で丸山忠久九段に敗れて以降、対局がないのだ。昨年のこの時期は、名人戦の挑戦者として森内名人と死闘を繰り広げ、ネット中継に一喜一憂していただけに、拍子抜けである。

当面の棋戦としては、先日も書いた竜王戦の1組3位決定戦鈴木大介八段戦と王座戦の挑戦者決定トーナメント1回戦の杉本昌隆七段戦である。
ようやく、将棋連盟のホープページの今後1週間の予定で王座戦の杉本七段戦が5月28日(水)と告知された。1ヵ月ぶりである。

王座戦の予選は1次予選、2次予選、挑戦者決定トーナメントの三段階に分かれており、順位戦のC級1組・2組が第1次予選で、2次予選の進出する6つの枠を争い、2次予選では1次予選勝ち抜き者とB級2組・1組、A級の棋士で、挑戦者決定トーナメント進出の10~12枠を争うという仕組みのようだ。挑戦者決定トーナメントは2次予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士計16名のトーナメントである。
前期のトーナメントベスト4と名人・竜王が、翌期の挑戦者決定トーナメントでシードされるようで、前期のトーナメントで名人・竜王がともにベスト4だった第49期王座戦の2次予選では、2次予選の挑戦者決定トーナメント進出枠が12になっている。(今期は森内名人が前期決勝進出(渡辺竜王は1回戦敗退)のため11枠となっている。)

郷田真隆九段は、前期第55期の挑戦者決定トーナメントの準決勝まで進んだため、この56期はシードされ、挑戦者決定トーナメントからの登場。1回戦の相手は、2次予選を勝ち上がってきた杉本昌隆七段である。杉本七段は、現在NHKの将棋講座の講師を務める名古屋在住の棋士。奇しくも「マサタカ」対決である。

今期の挑戦者決定トーナメントでは、シード棋士5名のうち、森内名人が阿久津五段に、佐藤康光二冠(棋聖・棋王)が畠山鎮七段に、渡辺竜王が中川七段にそれぞれ1回戦で敗れる波乱が起きている。有力棋士がすでに敗退しているということは、挑戦権獲得のチャンスでもある。郷田九段には、A級棋士、前期ベスト4の貫禄を見せつけて、挑戦者に名乗りをあげてほしいものである。

なお、産経新聞のウェブサイトには、棋聖戦最終予選(本戦)1回戦の渡辺竜王×郷田九段戦の棋譜がアップされたが、195手目に渡辺竜王が投了するという及ぶ凄まじい戦いだった。

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2008年5月21日 (水)

第66期将棋名人戦第4局は、挑戦者羽生善治二冠が森内俊之名人を破り3勝目、19世名人に王手

今日(2008年5月21日)、2日目を迎えた名人戦第4局。
羽生二冠(先手)、森内名人(後手)とも、駒組みに時間をかけ、なかなか戦いが始まらない。2日目の夕食休憩(18時)の前までに55手しか進まないという超スローペース。
夕食後の56手目で森内名人が△3五歩と歩を突きだし戦端が開かれた。その後は、名人戦棋譜速報の解説を拾い読みしていくと、羽生二冠ペースだった感じ、森内名人も攻め手を繰り出すものの、羽生玉を脅かすところまで至らない。一方、自陣は下からと上から徐々に玉の逃げ場を狭められる。95手目の羽生二冠の▲7三金を見て森内名人が投了した。

これで羽生二冠の3勝1敗。2004年6月11日の第62期名人戦第6局で森内現名人に敗れ2勝4敗で名人位を失冠して以来の、4年ぶりの名人位復位、通算5期の名人位獲得による永世名人資格(第19世名人)獲得まであと1勝と迫った。
森内名人のこれまでの防衛戦の中で、1勝3敗でのカド番は、羽生竜王を相手にした迎えた初防衛戦(第61期名人戦)で3連敗した時に次ぐ厳しい状況である(この時は4連敗で失冠)。次の第5局は森内名人の先手番なので、入念な準備をして臨んでくると思われるが、ここで勝てても、第6局は羽生二冠の先手となり、主導権は渡さざるを得ない。

どこまで森内名人が踏ん張れるかが、今後のみどころだろう。このピンチを跳ね返して、名人位を守れれば、5連覇・通算6期となり谷川九段(17世名人有資格者・通算5期)を超えて、大山(15世・通算18期)、中原(16世・通算15期)、木村(14世・通算8期)の大名人に次ぐ存在となる。一方、敗れると下野して無冠の王者に逆戻りである。
森内名人が奮起し、シリーズを盛り上げてくれることを期待したい。

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2008年5月20日 (火)

第21期将棋竜王戦のランキング1組の決勝から3位、4位、5位決定戦の組み合わせ決まる

第66期の将棋名人戦第4局は、今日(2008年5月20日)が1日目。森内名人 が32手目を封じて、初日が終了した。森内名人が勝てば2勝2敗のタイ。挑戦者の羽生二冠がかてば3勝1敗となるので、森内名人には、特に負けられない一戦だが、どうなるだろうか。
結果は、明日、あらためて記事にしたい。

一方、名人戦と並ぶ竜王戦も挑戦者決定トーナメントへの出場者を決める戦いが佳境を迎えている。全棋士が毎期の勝敗に結