2008年6月24日 (火)

従来の色彩の考え方を見直しを提起する南雲治嘉著『色の新しい捉え方』

私は、いつの頃からか「色」というものにすごく興味を持つようになって、色彩について書いた本をいろいろ読んだり、色彩に関する検定のひとつである東京商工会議所の「カラーコーディネート」検定の3級を受験した(1回目は失敗し、2回目になんとか合格)りしてきた。
特に、「色」が人にどのような影響を与えるのかということに関心があり、色彩心理学的なことに興味があって何冊かその手の本も読んだのだが、どれも今ひとつ腑に落ちなかった。
例えば、一般的に、「青」は男性が好み、「赤」は女性が好むという傾向にあるが、それがすでに、そのような色づかいが身の回りでされている中で育つから、そのように感じてしまうか、それとももっと別の科学的な根拠があるのか、どの本を読んでもその辺りが曖昧で、いつも消化不良というか、喉に魚の骨が引っかかったままのような、気分だった。

光文社新書の2008年6月の新刊の一冊、南雲治嘉著『色の新しい捉え方』は、そんな私のもやもやした思いを、一気に解消してくれそうな本である。
著者は現役のデザイナーであるが、現在、大学などで教えられている色彩学や、色彩検定で資格は「デザインの現場では役に立たない」し、現在、世間に出回っている色彩の本には、根拠がはっきりしない間違ったものの多いという話から始まる。
近年、著しい発達をみせる脳科学や、物理学(素粒子論)を取り入れた色彩論、色彩学に変えていかなければならないと著者は強調している。その思いが『色の新しい捉え方』というタイトルにも反映されている。

脳科学の発達の中で、特定の色とホルモンの分泌との関係が明らかになってきているとのことで、先ほどの青と赤の例でいえば、人間は、青い色を見ると「セロトニン」というホルモンの分泌が促され、セロトニンは血液の生成と神経の安定に貢献するので、結果としてリラックス効果と集中心が生まれ、興奮を鎮める効果をもたらすという。一方、赤い色を見ると「アドレナリン」が分泌され血流が促されるという。
赤は女性が好み、青は男性が好むということの説明として、「子どもを生む女性は血行が良い必要があり、古来、直感的・経験的に「赤」を好んできたのではないか。一方、男性は生活において冷静さを求められることが多く、そのため「青」を好んできたのではないか。」という説があり、それは、上記のホルモンの分泌からも裏付けられていると著者は語る。
全体を通して、それぞれの色の持つ波長やエネルギーを物理的にとらえ、それを知覚した脳がどのような反応を示すかということをベースに「色」が人間に与える影響を捉え直そうとしている。それら、最新の科学により明らかになった成果を踏まえると現在の色彩論のは根拠が薄弱な論・説が多く、見直さなければならない時期に来ているということのようだ。
「色」について関心がある方には、一読を勧めたい。

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2006年9月21日 (木)

テンプレート秋バージョン、世界遺産「五箇山の合掌造り」

19971102b_1 今日から、テンプレートを自作の秋バージョンに変更した。写真は、富山県の上平村(かみたいらむら)菅沼(すがぬま)集落の「合掌造り」である。お隣、岐阜県の白川郷、同じ富山県の平村(たいらむら)相倉(あいのくら)集落の三地区の合掌造り集落が、1995年12月に「白川郷、五箇山(ごかやま)の合掌造り集落」として世界遺産に登録された。(なお、五箇山の由来は、赤尾谷・上梨谷・下梨谷・小谷・利賀谷というの5つの谷に集落があり、それを「五箇谷間」と言ったことから「五箇山」と変じたらしい。上平、平という地名が示す通り、平家の落人伝説もある)

私が転勤で、富山で暮らし始めたのが、ちょうど1995年の12月。写真は2年後の1997年の秋に、妻の母が富山を訪ねてきた際に、家族で五箇山を案内した時のもので、9年前ということになる。その後、近くに高速道路(東海北陸自動車道)が開通したので、周りはずいぶん変化しているかも知れない。

富山は四季折々に変化が、五感で感じられるところだった。2週間毎に、季節が変わっていく様が、自然の変化として目に見えたし、気温の変化として肌で感じられた。富山湾で取れる「ブリ」を筆頭にした季節の魚介類、加賀百万石を支えた砺波平野の米(コシヒカリ)、呉羽の梨などが「食」として、季節を感じさせてくれた。

合掌造りは、雪に埋もれる冬が絵になるが、山あいの紅葉を背景にした姿も、なかなか、美しいものである。富山を未体験の方は、ぜひ一度訪ねられることを、お勧めしたい。

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2006年9月19日 (火)

『図解!売れる色の法則』で知るヒット商品のカラー戦略

高坂美紀著『図解!売れる色の法則』(秀和システム発行)を読んでいる。カラーコンサルタントの高坂美紀女史が食品、薬、文具等ヒット商品45点につき、「色」の使い方という点から、解説した本である。

図解!売れる色の法則―思わず手に取ってしまう人気商品のカラー戦略
図解!売れる色の法則―思わず手に取ってしまう人気商品のカラー戦略

売れる商品の色使いにはどのような意味がこめられ、消費者はどこに反応して、その商品を手に取り買ってしまうのか。見開き2ページに商品が一つ取り上げられ、商品の写真と基本となる配色について解説されている。
いくつか例として見出しだけ並べると

法則01:「緑色」は「白」と「赤」と「黒」で強化するとロングヒットする(ハイネケンジャパン[ハイネケン330mlボトル])
法則15:「黄色」を入れると、手に取りやすくなる(ライオン[バファリン])
法則16:ピンクを多くすると、若々しくきれいになりたい人が買いやすくなる(花王[ブローネ シャイニングヘアカラー])

いつも身近で、目にする商品ばかりなので、なるほどと思わされることが多い。

私は、昔から「色」が人に与える印象や効果といったものに興味があって、服やインテリアのカラーコーディネートの本やカラーセラピーに関する本などを読んできた。
数年前には、東京商工会議所が主催する「カラーコーディネート検定」3級試験に合格したので「アシスタント・カラーコーディネーター」を名乗ってもよいことになっている(中途半端な勉強で1回目は不合格、2回目の挑戦でなんとか合格したのだが)。

そのような、「色」好きの私にとって、この本は興味が尽きない本である。先々週、一度、吉祥寺のパルコの地下の書店で見かけ、買おうかどうしようか悩んだあげく、その日は他にも沢山本を買ったこともあって買うのをやめて、他の書店で会社の帰りにでも買おうと思っていたら、書名もうろ覚えで、よその書店では上手く見つけられなかったので、昨日、長男を連れて吉祥寺に行った際に、再度、パルコに行って買ってきた。

このブログも、近いうちに秋バージョンの配色に変えたいと思っているが、その際にも参考にしたいと思っている。

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